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かんたんにかんたんします。

「アクタージュ6巻感想 星アリサこそが裏ヒロインか」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ)

 

アクタージュ6巻、「銀河鉄道の夜」編の荘厳なフィナーレにかんたんしました。

 

www.shonenjump.com

 

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特定の本屋さんでは銀河鉄道の夜のミニパンフも同封されていてお得感がありますね。

ミニパンフの内容は、まさに劇団系のインタビュービラっぽくて面白かったです。

 

 

以下、ややネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀河鉄道の夜編、めちゃくちゃ良かったですね。

巻頭カラーに合わせてスローペース調整していた気もしますが、結果として舞台演劇的な、何度も見せ場を繰り返すような演出に繋がって、私の感動度は高まりました。

 

白眉はこの6巻で、5巻までの助走を充分に活かしたうえで、星アキラさんの体当たりの表現、夜凪景さんの“死者”の隔絶感の表現、明神阿良也さんの“成長”の表現、それぞれの凄まじさに、比喩ではなく心が震えましたよ。

 

作画表現が本当にいいですね。

単純に画力が高い、というより、各人物の感情を表す線の一つひとつ、表情、目元、構図に、本当に各人物の魂が乗り移っているかのよう。

こういうのを「漫画力が高い絵」と言うのでしょうか。

 

 

この銀河鉄道の夜編は「死とは」「幸いとは」とおよそ少年漫画と思えないようなテーマを扱い、見事にそれを描き切ったという点で大変な偉業だと思っています。

死と幸いを主軸に、振れ幅の大きな事象を演技に落とし込んで表現できているのがマジ凄い。

 

前段階で星アキラさんが「正しさ」と「ダサさ」という大きな振れ幅を魅せてくれて、観客の心を揺さぶってくれてからの。

 

明神阿良也さんの「虚無」と「幸福」、そして「別れ」と「明日へ」の振れ幅。

 

そして、台詞はほとんどないんですが、明神阿良也ジョバンニと対をなす、夜凪景カムパネルラの表情がね。

「いやだ」のシーンの半端ない「冷たく見下ろす表情」と、「僕は行くよ」のシーンの何かがあふれ出すかのような「柔らかな笑顔」の振れ幅がね。

 

 

これら舞台の全てを通して、言葉や台詞でというより、実感として「死と幸いが両存しうる」人生の醍醐味みたいなものを与えてくださっているように思います。

 

死と幸いを矛盾させずに通過し、巌裕次郎さんを救い、天球のメンバーを救い、たぶん観客の心も救っている。

 

凄いよ。

 

 

この「銀河鉄道の夜編」を、リアルタイムで読むことができて私は幸いです。

 

 

 

あと、カバー裏の「ちょばんに」と「ちよぱねるら」の圧倒的説得力に驚きました。

なんでどっちの役にもこんなにハマっているんだ。

百城千世子さんは、本当にどんな役でも異常な美しさで演じ切ってくれるんだろうな、という頼もしさがありありと。

これが天使か。

 

 

他、コミックスおまけページ。

和歌月千さんの好感度がストップ高です。
こういうメインストーリー外で進展している関係っていいですよね。

裕次郎さんの格ゲー成長力にも驚きました。
持ちキャラ誰なんだろう。やはり元とかタン・フー・ルーなんだろうか。

 

 

 

 

 

さて、感想に続いて、少し考察じみたことを。

 

 

アクタージュの主要人物の現在の立ち位置って、星アリサさんから出発している人が多いですよね。

 

詳細は不明ながら、星アリサさんは巌裕次郎さんとの仕事で役者人生を終え。

(役に入りすぎて現実に戻ってこれなくなった?) 

 

 

その後…… 

 

 

星アリサさんはプロダクション「スターズ」を立ち上げ、役に入りこまずに役者として成功できるスターづくりを志し。

 

裕次郎さんは劇団「天球」を立ち上げ、世間からは全盛期を過ぎたと見做されつつも、芝居が必要な人間たちが輝ける居場所をつくり。

 

黒山墨字さんはかつての星アリサさんの演技を求めて独自の作品づくりや役者探しに奔走してはります。

 

 

また一方で、星アリサさんへの憧れや邂逅を経て、百城千世子さんや明神阿良也さん等の若い世代が役者の道を歩き始めており。

(星アキラさんのキャリアは言わずもがな)

 

 

星アリサさんの存在に囚われていない、フリーな立場の主要人物は夜凪景さんと柊雪さんくらいなんですよね。

 

 

で、アクタージュの物語が始まり、夜凪景さんの登場、百城千世子さんの目覚め、明神阿良也さんの成長と巌裕次郎さんの死を経て……

 

 

いま、いちばん揺らいでいるのが星アリサさんだと思いませんか。

 

 

かつての自分のような悲劇を繰り返さないためにスターズをやってきたのに。

 

かつての自分のような夜凪景さんが現れ、

手塩にかけて育てた百城千世子さんもかつての自分方向に領域展開し始め、

明神阿良也さんはかつての自分の状態に陥りかけつつも巌裕次郎さんや天球の導きで悲劇を回避するという。

 

 

強い信念や価値観を持ってはる人ほど、こういう状況には揺らぎますよね。

スターズや星アキラさんの来し方も含め、実は星アリサさんはかつての悲劇以来、真の意味では救われていなかったのかもしれません。

 

 

銀河鉄道の夜編で巌裕次郎さんが救済されたように。

アクタージュの物語を通じて救済すべき対象こそ、星アリサさんなのかもですね。

 

星アリサ=裏ヒロイン説。

ラスボスとみせかけてのプリンセスハオ。

 

ていうか明神阿良也さん回想時のやや若星アリサさん、美人すぎやしませんか。

これは世の男性はおろか、時代そのものが彼女に熱狂したんだろうなと納得せずにはいられません。

 

 

ほら、ジャンプの、若い世代の活躍で大人が救済される展開、イイじゃないですか。

 

ドラゴンボールの神様とか。

キン肉マンの完璧超人始祖とか。

幽遊白書の戸愚呂弟さんや黄泉さんや躯さんとか(仙水さんはちょっと違うかな)。

NARUTOの親世代師匠世代先輩世代なんてそんな面々ばかりだし。

 

 

そんな訳で、少年誌で美熟女の過去や心情を掘り下げる必要があるのかはちょっと判断できませんが、叶うことならアクタージュの連載が続く中で星アリサさんもなんか幸せな感じに救われて更には江田島塾長ばりの「先達の本気」みたいな演技シーンで読者を震撼させてくれたりしますように。

 

 

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