肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

埼玉県比企郡嵐山町「菅谷館(続日本百名城)と嵐山史跡の博物館」

 

畠山重忠さん所縁の菅谷館にようやく行けたのと、併設の嵐山史跡の博物館で手に入るガイドブック類がとても充実していたことにかんたんしました。

 

www.ranzan-shiseki.spec.ed.jp

 

 

前も畠山重忠さん目当てで埼玉県を訪れたことがあり、今回が2回目の訪問です。

埼玉県「大里郡寄居町の鉢形城(長尾景春&北条氏邦)」と「深谷市の畠山重忠公史跡公園」 - 肝胆ブログ

 

 

菅谷館にいらっしゃる畠山重忠さん。

f:id:trillion-3934p:20181028002501j:plain

 

馬を背負う重忠像もいいですが、こちらの仕事が出来そうな重忠像もいいですね。

 

 

こちらは重忠さんを顕彰する石碑。

f:id:trillion-3934p:20181028002840j:plain

 

人柄を褒めつつ非業の最期を遂げたことを端的に説明されています。

自分でもなんでこんなに畠山重忠さんのことが好きなのかよく分からないんですけど、なんか惹かれちゃうんですよ。

 

 

ちなみに嵐山史跡の博物館では「畠山重忠ロボット」がいて何やら解説いただけます。

f:id:trillion-3934p:20181028002638j:plain

 

武将ロボを作ろうという発想がすごい。

 

 

 

菅谷館は畠山重忠さんの居館と伝えられているところで、その後は山内上杉家扇谷上杉家の争い等で再整備されたりしたようです。

f:id:trillion-3934p:20181028003219j:plain

f:id:trillion-3934p:20181028002412j:plain

 

都幾川の地勢を巧みに活かした縄張りになっています。

 

 

この埼玉県比企郡のあたりは鎌倉街道があったりする関係で城がすこぶる多いですね。

f:id:trillion-3934p:20181028002341j:plain

 

 

たぶん畠山重忠さんではなく山内上杉家あたりの整備によるものだと思いますが、立派な土塁があります。

f:id:trillion-3934p:20181028004320j:plain

f:id:trillion-3934p:20181028004348j:plain

 

「出枡型土塁」と言って、土塁の一部を入り口の外側に飛び出させて侵入してくる敵に横矢を放てる仕組みになっていたりするのが見応えございますよ。

 

草花に恵まれているので散歩にもよい感じです。

 

 

館の隣にある嵐山史跡の博物館では、先ほど貼った重忠ロボの他、館跡からの出土品や、関西では珍しい「板碑」なんかを見ることができてとても興味深いです。

ビデオコーナーでは比企郡の城の数々を解説いただけるのも親切。

 

わけても出色なのは、ガイドブック類の充実具合です。

f:id:trillion-3934p:20181028005621j:plain

 

どの資料も概要や直近の発掘成果等が分かりやすく整理されていて重宝します。

こういうものは現地に来ないとなかなか手に入らないですね。

 

秩父氏の歴史」は特によございました。

畠山氏、小山田氏、河越氏、豊島氏、江戸氏、葛西氏などなどのルーツである秩父氏。

名前は知っていても細かいことまでは存じないので、こうした出会いがとっかかりになれば幸いです。

もとは名馬を擁する牧の管理に長じていたそうで。

 

 

比企郡、町として真摯に地域の歴史に向き合っている感じがしてとても好印象でした。

こうした優れた研究・整備の姿勢が受け継がれていきますように。

 

 

埼玉県比企郡嵐山町「杉山城(続日本百名城)」 - 肝胆ブログ

 

 

「戦国の肥前と龍造寺隆信 感想」川副義敦さん(宮帯出版社)

 

龍造寺隆信さんの生涯をまとめた本が売っていてかんたんしました。

 

宮帯出版社/商品詳細 戦国の肥前と龍造寺隆信 川副義敦 著

f:id:trillion-3934p:20181021211833j:plain

 

 

龍造寺家の本ってレアで、意外とこれまで見かけなかったんですよね。

ちょっと前に鍋島直茂さんの本も売っているのを見つけましたが、小さな龍造寺ブームでも来ているのでしょうか。

「鍋島直茂」岩松要輔さん(戎光祥出版 シリーズ【実像に迫る】004) - 肝胆ブログ

 

 

本は龍造寺隆信さんの生涯を分かりやすくまとめたものとなっています。

「はじめに」でも記載されているのですが、龍造寺家の一次史料は数が少ないようで、この本も江戸時代に成立した軍記を基に執筆しているところが多く、信憑性が不鮮明であることは否めないとのことです。

それを承知の上で、龍造寺家ドラマの面白さを味わいましょう。

 

 

目次を引用します。

【目次】
第一章 龍造寺氏のおこり
第二章 龍造寺家兼
第三章 隆信の登場
第四章 東肥前の経略
第五章 大友氏の肥前干渉
第六章 大友軍の来襲
第七章 東肥前再征服
第八章 西肥前経略と筑後・肥後出馬
第九章 肥前統一
第十章 筑後経略
第十一章 五州二島の太守
第十二章 龍造寺領国の終焉と鍋島氏
龍造寺関係資料・古記録解題
龍造寺隆信略年譜
参考文献

 

ご覧の通り、龍造寺家兼さんを襲った悲劇から、龍造寺隆信さんの活躍、そして敗死、鍋島直茂さんへのバトンタッチまでをきれいにまとめてくださっていますね。

 

 

 

私の感想としましては、

 

龍造寺隆信さんについては新たな発見や意外な一面というのは少なく、一般的なイメージ通り、戦と謀略の上手さでのし上がり、晩年は増長して太り、鍋島直茂さんの忠告を聞かずに沖田畷に出陣して島津家久さんに討ち取られる……という感じでした。

その上で、「五州二島の太守というけど対馬との関係は薄い。三前二島の守護だった少弐氏が元ネタ?」「肥前の熊という異名の元ネタも不明だわ」とあとがきでサラッと触れられていたのが面白かったです。

 

鍋島直茂さんについては細かな戦でも逐一彼がアゲられていることが多く、この辺は「江戸時代に成立した軍記」をソースにしている関係もあるのかな、という印象です。なんせ佐賀藩0代ですからね。

 

若干マイナーながら「毎回渋く活躍してるなあ」と印象に残ったのが納富信景さん。

色んな戦でいい仕事をしてはります。

龍造寺家中というと四天王の五人組が目立ちがちですが、もっと彼も愛でられてほしいものだと思いました。

 

龍造寺家兼さんについては、佐賀県ご当地の話として、一昔前まで古い時代のことを「剛忠さん(家兼さんの法名)の時代」と呼んでいたという挿話がよございました。

こうした土地に根差したエピソードって好きです。

この本は佐賀県民をメイン読者に想定しているのか、「あの町にこういう山があるでしょう、あそこのことですよ」みたいなニュアンスの記述が多く、これを読んでから佐賀県を散歩したりドライブしたりしたら楽しかろうな、と思います。

 

松永久秀さんの弟と名乗って玉砕したことで有名な、光照寺の空円さんも登場します。

著者さんは「松永久秀の勇名が当時天下に轟いており、敵兵を驚かすためだったろうか」と考察されていますが、真偽含め実際どうだったんでしょうね。

 

女性陣だと、有名な隆信さんの母「慶誾尼」さんの他、百武賢兼さんの妻「円久尼」さんも印象的でした。

「九州治乱記」という戦記では、「比類なき剛の者」「大力の荒馬乗りなり」「大長刀を横たへ城戸口に出で、手の者を励まし防戦す」などと女性とは思えない記述がされているそうです。

女丈夫が多いですね、九州。

 

 

かように、龍造寺家にまつわる主要なエピソードが包括的に描かれていますので、龍造寺ファンには非常にありがたい一冊になっていると思います。

こうした入り口からファンや研究者が増えて、もっと研究が進むといいですね。

 

とりあえず佐賀県に行ってみたくなりました。

そのうち機会が訪れますように。

ロマンシング佐賀を体験してみたいのです。

f:id:trillion-3934p:20181021223557p:plain

 

romasaga.jp

 

 

 

 

「河内国飯盛古城追想記 感想」阿牧次郎さん

 

三好一族を軸に戦国時代を俯瞰した内容の小説がamazonでダウンロードできるようになっていてかんたんしました。

 ※Kindleアプリ(無料)をダウンロードする必要はあります

 

河内国飯盛古城追想記: 電子書籍版

河内国飯盛古城追想記: 電子書籍版

 

 

 

f:id:trillion-3934p:20181020232814j:plain

 

 

三好一族の中で江戸時代まで生き残った数少ない人物、三好為三さんが昔をしみじみと思い出すような流れで構成されています。

 

三好為三さんは三好宗三さんの息子、三好宗渭(政勝/政生)さんの弟ですね。

信長の野望等の戦国コンテンツでは三好政康(宗渭)・政勝(為三)兄弟として、政康は早くから長慶さんに降り、政勝さんは反抗を続けた……となっていることが多いのですが、実際はいままで政勝(為三)だと思われていたのが政勝(政生/宗渭)で、その更に弟が為三さん、じゃあ政康さんってなんやったんだろう……というのが最近の研究成果のようです。

ややこしい三好一族の中でも特にややこしい兄弟であります。

 

 

この作品は紙の本だと70ページ程度の短編で、その気になればあっという間に読み終えることができます。

その短さで、応仁の乱、両細川家の争い、三好一族の台頭、織田信長豊臣秀吉徳川家康までの経緯を全部詰め込んでいるんですよ。

しかも端的に分かりやすく。

もちろん一般的には馴染みのない人名が多いのは否めませんが、読みやすい文章・分量で戦国史と三好史の概要をざっと知れるのは素晴らしいことだと思います。

 

ふりがながしっかり振られていているのもいい。

この界隈の間口を広げる配慮が行き届いています。

 

 

話のコアは三好長慶さんすごい」でまことにけっこうなのですが、個人的には、作者の阿牧次郎さんが様々な文献をしっかり読み込まれているのが伝わる、個々のエピソードの取り上げ方が特にキュンときました。

 

例えば三好之長さんのヤカラエピソード

土一揆を堂々と扇動し、都の真ん中で証文を破り捨てたりしていたこと、都人や同僚から嫌われまくっていたこと等が取り上げられています。

 

例えば十河一存さんの脳筋エピソード

(真偽は分かりませんが)江口の戦いの際、当初はうっかり三好宗三さんの味方をしてしまい、途中で長慶さんの方に戻ってきた説が取り上げられています。

 

主人公が為三さんということもあって、宗三さんが長慶さんと争った理由も細川晴元さんに直に仕えていた宗三さんの意地」という表現になっているのもイイ。

 

三好家中心の物語として足利義輝さんがどうしても残念な悪役になりがちなのは気の毒ですけれど。

 

小牧長久手の戦いでの池田教正さんの奮戦などが紹介されているのも嬉しいですね。

 

 

電子版であれ紙版であれ、広く配布されるといいな、と思います。

知名度はコンテンツの量に比例するはずですし、これからも多くの方がどんどん素敵な作品を発表してくださいますように。

 

  

 

 

「三好義賢(実休)さんと足利義栄さん」信長の野望201X 薬師コレクション・弐

 

信長の野望201X、遂に三好義賢(実休)さんが星4で登場した上に、なんと足利義栄さんまで登場しはるというサプライズがあってかんたんしました。

 

↓薬師コレクション・弐のリリース

お知らせ

 

f:id:trillion-3934p:20181009223556p:plain

f:id:trillion-3934p:20181009223607p:plain

 

ジュリアさんは一瞬内藤ジュリアさんかと思ってどんなけ畿内国史優遇ガチャやねんと思ったらおたあさんの方でしたね。

早とちり早とちり。

 

 

 

やーー遂に来ましたね実休さん。

 

これで三好四兄弟で星4未済は安宅冬康さんのみとなりました。

きっと凄い射撃手とかになっていつか登場してくれるはず。

 

 

 

さっそくガチャを引いてみました。

 

 

……なかなか当たんねーなと思ったら星4倍率2倍じゃなかったんですね。

しまった。

皆さまお気を付けください。

 

 

とはいえ、運よく紹介状30枚ほどで目当ての2人が来てくれました。

 

f:id:trillion-3934p:20181009224017p:plain

 

f:id:trillion-3934p:20181009224204p:plain

 

 

足利義栄さんの人相の悪さが凄いですね。

これでは畿内衆の支持は得られそうにない……。

 

 

と思いきや。

f:id:trillion-3934p:20181009224329p:plain

 

お薬をお持ちになっていました。

どうやら体調悪いのに摂津に引っ張ってこられてしんどい模様です。

貴人に無理させちゃいけませんね。

 

 

一方の実休さんは。

f:id:trillion-3934p:20181009224542p:plain

 

やだ、やり手の若手ベンチャー経営者みたいで格好いい。

ちょんまげベストなのに切れ者に見えるのはさすがの貫禄ですね。

 

 

 

以下、少しだけお二人のことを書いてみることにいたします。

 

 

 

三好義賢(実休、あるいは之虎、之康)さん

薬師で、全体に+40%(最大で+70%)の攻撃バフスキル持ちです。

特性の三日月葉茶壷もまとまりのよい内容なので、バフ&兵器人材として活躍が見込めそうですね。

スキルの内容を踏まえれば、起死回生前提の強敵との戦いに向いてる感じでしょうか。

あるいは味方の与ダメージアップ系の特性を重ねたりしてみようかなあ。

 

育て方に迷ってしまいます。

単なるバッファー薬師なら三好康長さんの方がコストが低くて使いやすいし。

なんらかの役割に寄せて個性を出したいところだ……。

レギュラーで使いたいけど、我が陣営のバッファーは寿桂尼さんと岡部元信さんが鉄板過ぎて押しのけられそうにないんですよね。

準三好家として千利休さんをフル開眼兵器特化させるか迷っていまだ実行していないのと同じ悩みなんだよな……うーむ。

 

信長の野望201X「三好家パーティ(隣接武将の与ダメージ増加特性は便利)」 - 肝胆ブログ

 

 

 

スキル名の「鑓場の怜謀」は、久米義広さんを討った鑓場の戦い由来なのでしょう。

 

実休さんは戦国時代でも数少ない「主君を殺して下剋上をやっちゃった方です。

陶晴賢さんや長尾為景さんなんかもそういう系ですね。

実は大半の下剋上は「主君追放」で、「主君殺害」はけっこうレアなんですよ。

 

しかも実休さん、主君の仇討ちにやってきた方たちを返り討ちにしてますからね。

それが鑓場の戦いなんですけど。

 

三好家界隈だと松永久秀さんがダークヒーローのように扱われることがありますけど、史実で一番ダークヒーローなのは間違いなく三好実休さんだと思います。

 

 

しかも、たいそう魅力的なんだよな。

 

 

なんせ戦が強い。

長慶さんより強いかもしれない。

 

201Xの実休さんは

f:id:trillion-3934p:20181009230902p:plain

 

だなんてカマトトぶってますが、史実の実休さんは三好家の決戦兵器ですからね。

実休さんが海を越えて畿内に上陸してくる=相手は死ぬですからね。

長慶さんがインテグラだとしたら実休さんはアーカードですからね。

遊佐長教さんや安見宗房さんや足利義輝さんからしたら実休さんは阿波の黒渦そのものですからね。こいつは素敵だ、全部台無しだってなものなのです。

 

 

しかも派手に格好いい。

禅とか連歌とかストイックにやっている陰キャ兄上とは違うぞ。

阿波藍染めの振興やら瀬戸内交易やら河内利権分捕りやらで荒稼ぎ。

稼いだ銭は名物茶器やら名刀やらの収集につぎ込んで山上宗二さんに一目置かれる。

三好宗三さん亡き後の代表的数寄者武人として堺に君臨していた方なのです。

 

ちなみに織田信長さんは三好長慶さんの政権運営を参考にしていたんじゃねとも言われていますが(諸説あり)、風流面では三好実休さんを参考にしていたんじゃねという節もあり。

三日月葉茶壷実休光忠妙国寺の蘇鉄と、実休さん由来の名物をやたら愛玩されていたことにも定評があるんですよ。

 

 

そういう訳で。

 

長慶さんと久秀さん主従も光と影みたいなコントラスト味があって魅力的なんですが、実休さんは一人で「光と影」を抱いてはる感じなのが格好いいのです。

yes、私の主観ですのでご留意ください。

 

 

「鑓場」が取り上げられたのが個人的に嬉しいんですよね。

大恩ある細川持隆さんをなぜ殺めたのか、単なる権力奪取なのか、持隆さんが義冬さんを担ごうとしたからなのか、持隆さんが実休さんを危険視したので先手を打ったのか、あるいは1553年という時期的に持隆さんが義輝さん&晴元さんと組んだのか等々……。

史料のなさもあって、いずれも推測の域を出ない、大きな謎なのです。

もし持隆さんが蘇るような異聞が実装されたら……私は涙なしにはプレイできないぞ。

 

 

大阪府岸和田市の「三好実休戦没地」「貝吹山古墳」「久米田寺」「久米田池」 - 肝胆ブログ

 

信長の野望201X「木沢長政さん登場」&「全体攻撃バフのロマン」 - 肝胆ブログ

 

 

 

足利義栄さん

忘れ去られた足利14代将軍。

下手したら鎌倉時代の宮将軍よりもマイナーな将軍。

それが足利義栄さんであります。

 

おおきくは三好三人衆と篠原長房さんに担ぎ上げられたけど京に入ることもないまま、足利義昭さん・織田信長さん上洛時にタイミングよく病死した気の毒な人として知られていますね。

 

ガチャ説明文の「背後の味方を超絶強化!」とは篠原長房さんのことなのでしょう。

ちなみに篠原長房さんにスキル発動すると篠原長房さんが星4仕様に変化しません。

 

バフ倍率は驚愕の+125%

本当に超絶強化でした。

でも背後の味方。使いづらい。劣化伊達輝宗さんなのか、そうなのか。

 

 

この義栄さん、史実ではあまりにも活動期間が短すぎて評価は困難なのですが、最近は義栄幕府体制を築くべく独自の人事や利害調整を試みていたのでは等とフォローの声も出てきてはります。

また、「二つに分かれた足利家」という視点は、明応の政変以後の畿内史の流れを読み解く上で以前よりも注目されている気がします。

 

事績どうこうよりも気の毒っぷりの方がどうしても目立つ方ですけどね……。

 

201Xでも

f:id:trillion-3934p:20181010000440p:plain

 

等と哀しみを背負って出陣式に出ておられるのが涙を誘います。

お父君の義冬(義維)さんはあんなに元気だったのにね。

 

所属が足利家ということで、二つに分かれていないことが救いかもしれません。

 

 

 

 

以上、実休さんと義栄さんが星4実装されてわーいという記事でした。

 

だんだん三好家界隈の主要メンバーが揃ってきましたね。

異聞来ちゃう……?

 

さいきんの201Xは「渡し」一家の中間管理職っぷりが敵ながらストレスたまってそうで心配になりませんか。

ここはいっちょう木沢長政さんが颯爽と登場して、虐げられている幽魔中下位層を扇動して山津見さんたちに叛旗を翻させるような現役武将置いてけぼりの下剋上ワンダーなストーリーを期待したいところであります。

 

ていうのは冗談ですが、引き続き201Xが楽しくバージョンアップしていきますように。

 

 

 

「修羅外道 本家襲撃 感想」片岡修二監督(オールインエンタテイメント)

 

白竜さん主演のVシネマが、相当低予算っぽいのにカメラ・音楽・編集の巧みな演出により迫力とテンポのよい娯楽作品に仕上がっていて、職人さん方の腕前にかんたんしました。 

 

 

 

白竜さんと竹内力さん(特別出演)の名前でVシネマ好きを手堅く掴み、

中山麻里さんや堀田眞三さんや荒木しげるさんが画面にしっかり重みを与え、

山口祥行さんや嘉門洋子さんがセクシー要素をきっちり抑えてくださる。

 

「なるほど」と納得してしまう布陣であります。

 

 

以下、ネタバレ要素を含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白竜さんが珍しくインテリクールヤクザではなく、武闘派暴走ヤクザを演じてはる作品になります。

 

生まれついてのヤクザとして、敵対組織のバックにいはる巨大暴力団の幹部を殺害してしまい、そのせいで自分が服役中に、仕える組長たちが暗殺されてしまうという。

そこからの復讐譚がストーリーの主軸です。

「飼い主を失った猟犬」としての扱いが悲哀を帯びていたりしますが、そこはちゃんと強姦やお薬をやっている場面により「この人は感情移入してはいけない“悪”ですよ」と戒めてくれているのがいいですね。

良心的なヤクザ映画だ。

 

ストーリーラインはシンプルですし、全編通じて白竜さんがやりたい放題に無双し続けますので、テンポのよいヤクザ映画を求めている方にはちょうどいいと思います。

拳銃を乱射せず、必要な相手だけに必中必殺でぶち込んでいくスタイルのアクションは格好いいですね。

殴り込んだ際、棒立ちになってすくんでいる敵対組織の若い衆の演技もかえってリアルに感じられていい。

 

 

白竜さんに巻き込まれるチンピラ役の山口祥行さんの演技がまたいいんですよ。

ほんまこの方がたくさん出てくるVシネマは当たり率がだいぶ増しますね。

カオルちゃん最強伝説のイサミちゃんとか。

 

堀田眞三さん、白竜さんが仕える組長は、あまり活躍する場面は多くないものの、人格や器量が充分に感じられてこれまたよかった。

必要以上に彼の紹介に尺を割かずとも、いい組長やったんやろなあというのが視聴者の想像で充分に補える感じ。

ナレ死の淡々さが好き。

 

竹内力さんは終盤のみの登場ですが、存在感の大きさでストーリー後半のダレを見事に防いでくださっています。

いかにもVシネマっぽい銃撃戦が楽しい。

 

あとは、荒木しげるさん登場時のおでんがやたらおいしそうだったのと、「戦国時代の武将はみんなヤクザ」みたいなセリフが共感性高くてよございました。

そうだそうだ。

 

 

 

そして、以上のような俳優陣の演技を、カメラの構図、画面演出、BGM、効果音、編集等ですげぇ盛り上げているんですよ。

たぶん少人数で頑張ってつくったんだと思いますが、それ故のまとまりのよさ、演出の一貫性があるといいますか。

OPのケレン味からしてイイですからね。

自主制作で映画とか動画つくっている人には参考になる! かもしれないです。

 

 

濃厚重厚な作品ではなく、気軽に楽しめるヤクザアクションVシネマです。

ヤクザ映画ってどんなもんか観てみたい、という入門編的作品としておすすめですね。

 

 

アウトレイジ等で若干注目も増しましたし、時代劇同様、よき娯楽作品として任侠モノが生き残っていきますように。

 

 

 

 

 

 

 

「鉱物の人類史」サリーム・H・アリさん / 訳:村尾智さん(青土社)

 

「鉱物の人類史」という本を読んだのですが、内容は看板に偽りという感じであんまり史書的要素はなく、むしろ未来に向かって我々はどんなことを考えなければならないのだろうか的な内容になっていてうーむとは思ったのですが、それはそれでけっこう面白かったのでまあいいやとかんたんしました。

 

青土社 ||科学/数学/生物:鉱物の人類史

 

f:id:trillion-3934p:20181007234645j:plain

 

 

原著のタイトルは「Treasures of the Earth   Need,Greed,and a Sustainable」。

こっちの方が本の中身を正しく表現していますね。

地球から得られる大事な資源を、需要と持続性を意識しながら扱っていこうよ的な。

 

日本の書籍マーケットでは衣食住だとか宗教だとか特定の切り口で歴史を扱った「●●の歴史」系の本が手堅く売れる印象がありますので、そっちの読者層も取り込もうとスレスレなタイトル調整をしたのかもしれません。

 

歴史ファンのニーズに応える本では正直ないと思いますが、一方で環境保全や資源開発やグローバル経営やSDGs等の潮流に興味があれば意外と楽しめるかと思いますよ。

 

 

 

本は3部構成になっています。

 

 

1部は鉱物……鉛、銅、鉄、塩、石材、金、銀、ダイヤ、石炭、石油……等の採掘や交易にまつわる様々なエピソードをご教示いただけるパート。

個人的には

モーツアルトが生まれる前、ザルツブルグは音楽ではなく塩で有名な町だった。

というウンチクが妙に頭に残りました。

他にも金や宝石のマーケット動向、オイルサンド活用の模索等、ところどころ興味深い事例が出てきます。

 

いちばん「鉱物の人類史」っぽい部ではありますが、シュメールだのヒッタイトだのの要素はなく、近現代の資源開発の描写が中心ですのでお含みおきください。

 

 

2部は鉱物が引き起こす尽きることのない人類の消費・欲望、あるいは鉱業が引き起こす環境への著しいダメージ……といった、資源開発の負の側面、留意せねばならない要素をさまざま開陳いただけるパートです。

「そもそも人間にとって幸福とは何か」みたいな領域まで踏み込んで、思う存分著者が語っているのが好印象ですね。

西洋実務書独特の、著者が思想信条までオブラートに包まずガシガシ所信表明していくスタイルの文章、嫌いではありません(読みにくくはありますけど)。

明らかに環境保護を重視する立場にありながら、企業経営や消費行動を全否定しない、可能な限りフェアなスタンスを保とうとしている姿勢もよいと思います。

環境系の話をする人には極論的イメージが付きまといがちですが、中には全体バランスを重視する人もきちんといる訳ですよ。

 

 

3部はますます環境系の話になり、循環社会、それを達成するためのイノベーション、地域社会や顧客との対話……などなどの先進事例(とはいえ原著は2009年発行なのですが)を取り上げていただきます。

この頃になると「人類史どこ行った」みたいな気持ちは薄れ(諦め)、代わりに、環境も含めて「資源開発系経営者たるものアレもコレも念頭に置いたバランスよく持続性のあるマネジメントを行うべし」という主張に理解と共感の気持ちが湧いてきました。

 

この本で私が言いたかったのは、人口、非再生資源の消費、そして環境について、我々はもっと広い視野をもって(貧困削減、人間の開発、究極の目標である人類のサバイバルなど)議論すべきという事だ。

我々は、個人的な好みや感情によって歴史や科学を理解し、それに基づいて単純な考えに傾きがちだ。従って、百家争鳴の民主主義やひどく不平等な社会において環境に取り組む場合、結果は最適ではなく、ほどほどになる可能性がある。一方、功利主義な消費を徹底すると、味気なく進取の気性に乏しい社会が出現することになるだろう。物欲を認めることから出発しよう。そして地球を構成する要素や原料物質の複雑な関係を理解しようではないか。そうすれば人間が世界を滅ぼす自業自得な結果にはならないであろう。

 

SDGsなんかもそうですが、これから人の上に立って組織を牽引していくような立場の人は、異常なほど広範で繊細なバランス感が必須になっていくのでしょうね。

世の中の大半の人は専門職になっていって、数少ない、半端ない目配り気配りのできる人だけが適切なリーダーシップをとれるようになっていくんだろう、ハードル高ぇな、でもそういう時代なんだろうな……資源開発系に限らず……という覚悟を迫られるというかね。

現代や未来では……複雑系的、統合的な姿勢と思考が必要にならざるを得ないんだろうと、かねて漠然と感じていたテーマを、こんなところでも突き付けられた思いです。

単純な物語が人を動かしきれない時代に突入ですね。

 

 

まあもちろん難しい話はよく分かりませんが、これから先も環境とかがなんかこういい感じでありますように。

 

 

「めしばな刑事タチバナ 31巻 感想 社会人百合に慄く」原作:坂戸佐兵衛さん / 作画:旅井とりさん(徳間書店)

 

タチバナ31巻を読んでいたら不意打ち百合を喰らってかんたんして「あ゛~、あ゛~~!」って画太郎漫画のババアみたいな変な声が出ました。

 

これが……「私のカムパネルラ」というやつか

 

めしばな刑事タチバナ 31 | 徳間書店

 

f:id:trillion-3934p:20181004002446j:plain

 

 

以前も紹介しましたが、めしばな刑事タチバナは主に中高齢のおっさんたちが身近な食について語り合う地味なおっさん漫画であります。

 

「めしばな刑事タチバナ 27巻 大江戸すぺしゃる編」原作 坂戸佐兵衛先生 / 作画 旅井とり先生(徳間書店) - 肝胆ブログ

 

表紙の帯には「シリーズ累計150万部突破中!」とありますが、実は24巻からずっと150万部突破が謳われているのは内緒です。

 

 

 

この31巻では私が気に入っているルノアール好きの“社長”が再登場してくれたりして、安定のおっさんハードボイルド味を楽しませてくださっていたのですが。

31巻を通じて同じく私が気に入っている韮澤課長が高い画力で大活躍していてその点についても非常に嬉しいのですが。

 

 

それらの高品質話よりも何よりも、恒例辛味部の話が……

なんかもう、えらいことになっていたんですよ。

 

しかしこのえらいことさ、上手く伝えられないんです。

セリフを引用しても、該当箇所の画像をアップしたとしても、この31巻を単独で読んでいただいたとしても、正確に気持ちを共有することはできないんじゃないかと思う。

 

 

端的に言えば社会人百合なんですけどね。

しかも内容は村中さんと代々木さんの何気ない一夜に過ぎないんですけどね。

前にもこんな場面があったりもしたんですけどね、シャワー一緒に浴びるかの話で。

 

 

……この話から喰らった主観的衝撃。韻波句徒。

頭からつま先までの衝撃のイナズマ。

 

 

思えば、私の身には前フリがありました。

 

アクタージュだってそう。

某ミステリ小説だってそう。(重大なネタバレになるのでタイトルは伏せます)

 

さいきん、別に百合を求めて読んでいる訳ではないのに、やたらクオリティの高い百合要素をぶつけられることが多かったのです。

刃牙ドラえもんにおけるグルメシーンなんかと同じで、そういうのメインな作品じゃないのに、やたら場景が印象に残ることってあるんですよね。

 

何を言っているのか自分でも分からなくなってきていますが、私の人生で百合に接する場面なんてひとかけらもなかったのに。

 

ここにきていきなり……百合神様が舞い降りた。

閾値を超えた。

私の中の獅子吼ダムが決壊したのであります。

 

 

31巻も続く長期漫画における、1-2巻に1回くらいのささやかな百合味描写により、私の中で少しずつ水位が増していたのでしょう。

気づいた時には遅かった。

やべえな、百合系コンテンツにハマるとはさすがに思わないが、おっさんグルメ漫画を求めているのに心のどこかでは次の辛味部活動を渇望している自分を否定できない。

そして辛味部……からの真夜中のスイーツ製作部。

代々木さんの早とちり傾向、いいよね……。

私がいちばん好きな登場人物はあくまで韮澤課長なんだけど、だけどもよ、真夜中のスイーツ製作部の眩暈と幻惑がね。

くるよね。

 

あ゛~あ゛~~。

 

 

 

いつにもまして訳の分からない記事ですが、ひょっとしたら日本で何人かくらいは同じ気持ちになった人がいるんじゃないかなと思って正直にいまの心境を書きあげました。

 

早く私の頭が冷静さを取り戻しますように。

 

 

 

興味がない領域のコンテンツでも、一流のコンテンツに接し続ければ、いつかは閾値を超えて取り込まれちまうんだ。

覚えておこうぜガイズ。