大相撲春場所、相変わらずコロナで東京開催が続いているのがいい加減寂しい感じもしますが、内容としては横綱たちの出場/休場騒ぎだったり鶴竜関の引退であったり高安関の奮闘であったり照ノ富士関の完全復活であったりこれまであまり目立たなかった力士たちの目覚ましい活躍であったり、いい意味でも悪い意味でも賑やかな場所になりましてかんたんしました。
今場所、幕内の勝ち越し勢は次のとおりです。
12勝 照ノ富士(優勝・殊勲賞)
11勝 碧山(敢闘賞)
10勝 朝乃山、貴景勝、高安、若隆景(技能賞)、明生(敢闘賞)、
翔猿、英乃海
8勝 隆の勝、御嶽海、大栄翔、千代翔馬、照強、琴恵光、魁聖、
豊昇龍
かなり、面子が入れ替わった気がしませんか。
この'21春場所はターニングポイントになったような気がしないでもないです。
白鵬関は7月場所に全てを懸ける、
鶴竜関は引退ということになりました。
白鵬関は身体が限界を迎えていることは自身でもたぶん分かっているのだろうと思いますが、引導を渡す後継が出てきていないことが最大の難点ですね。
相撲ファンやメディアが口を揃えるように、いまはどんぐり状態で、毎場所誰が優勝するのか分からない状況……世間イメージ以上に白鵬関不在の穴はどでかいなあと。
あと二場所で「ケガ知らずの照ノ富士関」「えげつない立ち合いを体得した朝乃山関」等が出てきて、白鵬関を気持ちよく決心させてあげられるような活躍をしてくださるといいんですけどね。
外野からやいや言われて去っていく、というかたちにならないことを祈ります。
鶴竜関は、ホッとした顔をされていたのが印象的でした。
やはり綱の重みというのは半端ないのでありましょう。
力士方からもファンからも愛されている方ですから、これからは親方として永く活躍いただきたいものです。
個人的には、今場所惜しくも負け越し(上位で7勝8敗)はしましたが、霧馬山関がまわし取り合い攻防のよい技術を引き継いでくれている感じがしますので寂しい気持ちが和らいだんですよね。霧馬山関にいままで以上に注目していきたいと思います。
優勝された照ノ富士関は本当におめでとうございます。
見事過ぎる復活劇に、勇気をもらったファンも多いはず。
伊勢ヶ浜部屋の絆の強さに涙ぐんだファンも多いことでしょう。
優勝インタビューで、あの手この手で照ノ富士関を泣かそう、涙ぐましいエピソードを引き出そうとされていたのに、柔らかい笑顔でさばききった照ノ富士関もほっこり面白かったですね。
照ノ富士関の強さは言わずもがなです。
知ってた。帰ってきてくれた。
あとは心底ケガしないでいただきたい。
大きすぎる苦難を経験してきた男が今後の相撲界を締める存在になるなら、新たな時代の訪れを実感できやすいかもしれません。
ベテラン勢の中では、碧山関、高安関、北勝富士関あたりの活躍が目を引きました。
高安関は終盤の失速がさぞショックかと思いますけど、この構図こそかつて荒磯親方が現役時代に散々苦しんだやつですから、これを糧に一層の活躍を祈りたいですね。
新しい世代の中では、若隆景関、明生関、豊昇龍関あたりが印象深いです。
一番かんたんしたのは明生関で、あくまで私見ですが、飛躍的な成長を感じました。
具体的に何が変わったのかは正直よく分からないのですけど、踏み込みや、身体の芯の強さがハネ上がったような印象です。
あの愛くるしい表情含め、これから明生関の応援に力が入ってしまいそうです。
若隆景関もものすごいですね。
この方はもともとポテンシャルをみんな感じていたと思いますが、今場所はコロナ休場の悔しさもあったのか、そうとう相手力士を研究していたんだろうなあと感じました。
研究と地力が噛み合っていて、今後も相手からすると怖い力士ですね。
相撲界の毛利三兄弟といった目線先行で注目するのはもうやめようと思います。
豊昇龍関は地味に更に瞬発力、足腰の強さが増している気がします。
まだまだ化けそうで楽しみ。
あとは、もともと推している大栄翔関や隆の勝関がしっかりと勝ち越しを決めてくれて、実力の確かさは見せてくれたので安堵しています。
多少崩れても大負けはしないところが嬉しい。
いよいよ相撲界の潮目が変わって参りました。
寂しい気持ちと、いままでと異なる顔ぶれが活躍する楽しみとを抱きつつ、今後も豊かな土俵を目撃していけますように。