80年代の特撮作品「アンドロメロス」を初めて視聴したところ、ウルトラファイトシリーズとはまた違った低予算な楽しさがある上、「凶器って怖いよね」という社会勉強もすることができてかんたんしました。
(参考)既に販売終了していたメロスさんのフィギュア
メタル塗装が格好いいじゃないか。復刻しないかなあ。
私も詳しくないので耳かじった程度の知識ですが、
「アンドロメロス」はウルトラマンの親戚的な宇宙人がコスモテクターという鎧をまとって悪者「グア軍団」と戦う、という物語になります。
内山まもるさんのウルトラマン漫画に登場する「メロス」さんをベースに新規製作した作品みたいですね。
こちらの作品、いい意味で大変心に残りました。
- 1話6分
- 主題歌で1分強を使用、しかもめっちゃ主題歌が耳に残る
- 回想で2分ほど使用、しかも同じ回想が頻繁に登場する
- その後少し戦い、少し会話すると「つづく」
- ユルい会話
- スタジオセットが大変シャビィ
- 味方の鎧も敵の鎧も大変シャビィ
- 敵の得物(斧、サーベル)がダルンダルン
等々、現代で放映したら視聴者の前にスポンサーさんがブチ切れそうなパッと見要素がふんだんにあるんですけれども。
実際に視聴していると、
まず主題歌の「アンドロメロッス~♪ メロッス~♪」で全てを受入可能なモードに脳が切り替わり。
長い回想シーンを観て「ビデオが普及していなかった時代の子ども目線に立ってて親切やなあ」と感心し。
低予算インフラをものともせずに迫力のある殺陣を観て「大事なのは予算じゃないよね」という気持ちになってアンドロ警備隊と製作スタッフの活躍を応援してしまう。
そのうち「怪獣戦艦の迫力は発明やな!」「グア様の異次元戦法は邪悪過ぎるな!」「アンドロ警備隊のその上をいく強過ぎさが素敵やな!」とむしろアンドロメロス発の要素にハマっていく……
というですね。
非常に不思議な、コアでサイケな中毒要素があるんですよ。
特にストレスなく、45話を楽しんで観終えることができました。
たいへん印象に残ったのはアンドロ警備隊、とりわけ主人公メロスさんの強さです。
近頃では「ギャラクシーファイト 大いなる陰謀」や各種ステージにも登場して、特に詳しい説明もなく無双されておりますけれども。実際に原典に当たってみたら「メロスさんマジ強いんだな」と納得できること請け合いであります。
この作品の敵組織「グア軍団」、首魁のグアさん、大幹部のモルド、ギナ、ジュダの三兄弟、配下の怪獣戦艦や宇宙人やファイティング・ベム等々……
設定を聞く限り、あるいは他のシリーズでの描かれ方を見る限り、ウルトラシリーズにおける大ボス相当の強大な実力をお持ちなんです。
その強い敵を、アンドロ警備隊のメロス、マルス、ウルフ、フロルがたった4人でギッタギタにしてしまいますからね。
終盤で伝説の最終兵器「グランテクター」を発見してからは更に戦力が過剰になってしまいますし。
わけても凶悪なのが、メロスさんの得物「ダブルランサー」の威力。
長い棒の両端にアイスラッガーをつけたような、よく考えたらほぼゼロツインソードな武器なんですけれども。
この光り物でぶった切られたら、怪獣だろうが大ボスだろうが即死するんですよね。
ドグシュ(斬る) ⇒ グエー(倒れる) ⇒ チュドーン(爆発する)という、鉄板の処刑シーンが繰り広げられるんです。
この、「刃物で斬られたら死にます」という生物の原則に則った作劇、あらためて観るととてもいいんですよね。
初期ウルトラシリーズのアイスラッガーやウルトラスパークに通ずるというか、時代劇マインドを感じるというか。
ウルトラシリーズに限らず、特撮やアニメや漫画の戦闘表現が「一撃必殺」から「連打・乱舞」にシフトしていった関係で、最近のニュージェネレーション作品ではオーブカリバーで斬ろうがタイガトライブレードで斬ろうが敵の致命傷にはならなくて、それはそれで色んな技や展開を楽しめて好きなんだけれども、そうした作劇に充分慣れ親しんだ今だからこそ、ダブルランサーで一刀のもとに強敵を屠っていくメロスさんの強さ格好良さ演出が引き立つなあと思った次第です。
以前観た舞台「博品館劇場ゾフィー編」でゾフィーさんが銀河連邦の皆さまの助力を得ていたり、ギャラクシーレスキューフォースにメロスさんが参加したり、ツブラヤイマジネーションでこうした過去作品をかんたんに視聴できるようになってきたり。
過去のコンテンツの魅力を引き出して、再度活躍いただいているというのは夢のある話だと思います。
(こうした流れがゾフィーさんの魅力深掘りにも繋がっていてとても嬉しい)
アンドロ警備隊の掘り下げやリブートがこの調子で今後も進んでいきますように。