短編小説「松山新介重治 1/5 松山新介の手妻」 - 肝胆ブログ
短編小説「松山新介重治 2/5 織田信長の依頼」 - 肝胆ブログ
短編小説「松山新介重治 3/5 松永久秀の迷い」 - 肝胆ブログ
短編小説「松山新介重治 4/5 松山新介の稲妻」 - 肝胆ブログ
短編小説「松山新介重治 5/5 織田信長の幸若舞」 - 肝胆ブログ
※続編
短編小説「松山新介重治 一万貫の夢 1/5 松山新介 屋根を往く」 - 肝胆ブログ
久しぶりに小説を書いてみました。
小説を書くのは人生で2回目、信長の野望20XXの二次創作を含めれば3回目です。
松山新介重治さんをご存知な方は、
堺史のコアなファン、
菊池寛さん「形」のコアなファン、
あるいは斎藤利三さんのコアなファン……
くらいではないかと思います。
それくらいマイナーな人物ではありますが、調べれば調べるほど(といっても調べる対象の文献があまりないのですけれども)味のあるお方でして、
少なくとも
- 強い
- 芸達者
- 人気者
- 素性不明
- からの大出世
- でも忽然と姿を消す
- でも後にひょっこり現れる
- 戦国時代の有名人と絡んで違和感がない
- いい意味で記録が少ないので創作しやすい
といった要素を兼ね備えておられます。
雑に言えば三好家版「花の慶次」なポジションですね。
あちらは秀吉さん時代と家康さん時代をまたいで活躍されていますが、
こちらは長慶さん時代と信長さん時代をまたいで活躍できるキャラです。
残っているエピソードからも、傾奇者のルーツ的な人なのかもしれません。
松山新介重治さんについての史実研究については、
最近では畿内戦国史の本や記事を読んでいると「三好長慶による家格にとらわれない能力主義の人材登用~」的な文脈で登場することがありますし、
岩倉哲夫さんが「松山新介の人物像と行動」という論文を2020年6月の「和歌山城郭研究 第19号」(和歌山県立博物館で手に入ります)へ寄稿されていますし、
何よりも三好家ファンやウルトラマン(特にUFZ)ファン的に見逃せないサイト「志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』」さんで詳しい記事が書かれていますので、
以前よりも格段にアクセスしやすくなっております。
「志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』」さんの三好家記事は、諸将に対する光の当て方が素晴らしいので是非多くの方に読んでいただきたいです。
ちなみに私が特におすすめしたい記事は三好三人衆の概念が一新される三好長逸さんの記事ですね。
この小説も、こうした研究成果からインスピレーションをいただいて書いています。
松山重治さんの史実的な魅力の掘り下げはすべて彼らのおかげであり、
雑な史実解釈や乱暴な創作要素等はすべて私の責任ですのでお含みおきください。
とはいえ、こうした素晴らしい研究成果があっても、それだけではなかなか「小説でも書くか」とはならないですよね。
私も「いずれ機会ができたら短編小説を書いてみようかな、その時は松山重治さんを主人公にした歴史ものか、ものすごくいかがわしい官能小説に挑戦したいなあ」と長年ぼんやり考えていたんですが。
さいきんプレイした某フリーゲームのアクションRPGが大傑作で、しかもそのゲームは製作者さんが素人の状態から10年以上かけて試行錯誤してつくりあげた、まさに製作者さんの生きた証的なものが詰まった熱意あふれる逸品でして、まっことかんたんしたんですよね。
そういう偉大なクリエイト魂に触れると、自分も素人ながら「ああ、何か創作してみたいな」という気持ちが湧きまして、今回短編小説に挑戦したという次第です。
これまでに書いた小説も「Ruina」「信長の野望20XX」というゲームプレイをきっかけにしていますので、私はゲーム体験に触発されやすい性癖があるのかもしれません。
初めて書いた小説はうっかり長すぎる作品にしてしまったので、
次に書く小説は短編でサクッと読める作品にしようと思っていました。
この作品は全部で約一万字、ワードファイル10ページになっています。
執筆時間は見直しや修正も含めて12時間くらい。
実日数でいえば1日30分~1時間、合計1か月弱くらいの期間でしょうか。
上述のゲームをやるのに忙しくて、なかなか毎日書けませんでした。
事前に年表のような参考資料をつくったりはせず、頭の中でプロットだけ組み立てて、サラサラ書き始めました。
特に、墓参りしている辺りから愛着が湧いてきて書くのが楽になった感じです。
やっぱり登場人物への理解が深まってくると書いていて楽しいですね。
できばえは「自分で読む分には面白い」としか言えません……。
読者様的には読みにくかったり分かりにくかったりノリきれなかったりするところ大なりだと思いますから、感想とかイイねとかバッドだねとか、コメント等いただければ勉強になってありがたいです。
最後に、何回か小説を書いてみた感想をひとつ備忘的に。
たぶん小説に限らない話だと思いますが、「こういうのがほしかった」というのを自分の手でつくる楽しさもさることながら、「創作の難しさを知って、世の中の創作作品に対するリスペクトと喜びが増した」というのが自分にとって一番の効能だと思います。
(そういう余波でこのブログもやっています)
小説を書く前よりも書いた後の方が、インプットが深くなった感覚があるんですよね。
私は本もゲームもアートも映像作品も大好きで、世の中には素晴らしい創作作品がたくさんあって、更に(僅かながらも)創作体験を経て「楽しむ深さ」が増したと。
要するに、私の人生幸せ度が格段に増したということなのであります。
たぶん、頭もたくさん使うようになって、ボケ予防にも役立ってると思う。たぶん。
なお、私が創作体験を通じてそういうことを学んだだけなので、みんな創作しろオラァ! と言いたい訳ではなく、創作作品の楽しみ方って色んな筋道があるんだね知らなかったわ、という話です。
また気が向いたり刺激を受けたりしたら、松山重治さんの他の時代の話であったり、全然違う作品であったりを書いてみるかもしれません。
いずれにせよ私の小説が間口になることはないと思いますが、松山重治さんのファンがぼちぼち増えていって信長の野望に登場したりする日がいつか訪れますように。