麗らかなゴールデンウィーク。
滋賀県までドライブして珍しい六角氏の企画展示を見たり、軽い気持ちで観音寺城と安土城を登ったらめっちゃ疲弊したりしてかんたんしました。
戦国時代の近江・京都(六角氏展)
安土城ゆかりの博物館で、開館30周年記念の企画が六角氏展というのがまことにイケてますね。
京都新聞さんがスポンサードしてくれているそうですが、内容としましては村井祐樹さんの著書「六角定頼」に沿ったものになっている気がします。
こういう企画が実現していること自体、やっぱり本を出版するのは大事ですね。
「六角定頼 感想」村井祐樹さん(ミネルヴァ書房) - 肝胆ブログ
展示構成としては、六角氏の成り立ちから高頼さん、定頼さん、義賢さんを中心に書状や肖像画等が並べられている感じです。
六角氏ファンや畿内戦国史ファンなら間違いのない展示になっていますので、近江八幡方面に遊びに行く機会があるならついでに寄ってみるといいと思いますよ。
個人的にドキドキしたやつは次の通り。
- 観音寺城から出土した中国の絵付陶磁器、観音寺城下町から出土した将棋のコマ、等から察せられる当時の賑わい・文化度の高さ。
- 蜷川親元さん(一休さんの新右衛門さんモデルの息子さん)肖像画の、穏やかで賢そうな表情、緻密なヒゲ。
- 充実している伊庭貞隆さんの書状類。
- 細川澄元さん肖像画の、兜・鎧の模様の細やかさ、朱色の差し色の美しさ。
- 桑実寺縁起絵巻の、田園表現の立体感・写実性。
- あらためて証如さんの肖像画をよく見ると、けっこう迫力あるというか押し出しの強そうな顔つきで、本人も意外と強硬派だったりしてという気持ちになる。
- 顔を描き直しされてる三好実休さん肖像画にウケる。クレームでもついたのだろうか。
- 現物を見るとめっちゃビッシリと字で埋められている六角承禎条書写―春日家文書―(有名な、斎藤家との婚姻同盟にキレてたりするやつ)。
- 「安土記」に、天正十年正月一日、織田信長さんが大名や家臣に本丸御殿の他、本丸御殿近くの「江雲寺御殿」も見学させたとの記述あり。江雲寺は六角定頼さんの法名。安土城に六角定頼さんゆかりの施設があったり、織田信長さんが六角定頼さんを意識したりしていた……?? というロマンで展示を締めくくる構成。
加えて、常設展示とあわせて、六角義賢(承禎)さんの書状類、やたら食べ物の御礼文書が多いのがチャーミングです。
そういうイメージ戦略で展示しているのだろうか。
ことにかわいいのが常設展にある「鮎ありがとう」という文書で、単なる「ありがとう」だけでなく、「めっちゃ美味かったです」と本人感想付きの文章になっていてほんまに嬉しかったんやろなあ感に溢れている名手紙だと思いまする。
「鮎」の字だけめっちゃ墨濃いし。
六角義賢さん、帆掛け船みたいな形の花押もかわいいんですよね。
近江の大名アピールにすごく成功していると思う。
知れば知るほど魅力が出てくるタイプのおじさんなのかもしれません。
ところで、安土城考古博物館は、観音寺城のふもとにあるのがウケます。
もともと織田家施設と見せかけた六角家施設なのかもしれない。
山と田園に囲まれた西洋風建築で、ビジュアルがいいですね。
観音寺城(観音正寺)
さて、六角氏展を見たので、せっかくだから観音寺城にも寄ってみるか、でも観音寺城ってガチ山城だから軽い気持ちでは登れないって聞くよなあ……と逡巡していたところ、「車だったら、有料林道で観音正寺の近くまで登ることができる。観音正寺から観音寺城まではすぐだよ」という情報を入手しまして。
なるほど! じゃあ行ってみるか!
と有料林道で観音正寺入口まで行ってみたところ。
石碑脇に置いてある杖に一抹の不安を感じつつ、石段を登り始めたら……
石段が果てしなく続いている!!
甘かった……。
お年寄りが大好きな西国三十三所、
清水寺さんや長谷寺さんと同じくらい気楽に観光できるだろうと思っていたらとんだ見込み違いでしたわ……。
石段、おじいちゃんおばあちゃんも大勢登ってはりましたけど、みんなゼイゼイ。
よく見たら「天空の寺院」とか書いてあるし。
ということがよく分かりました。
たとえ六角氏ファンの方々でも、ここは近江八幡観光とかクラブハリエとかのついでくらいの気持ちで寄ると不意打ちを喰らうので気をつけましょう。
歩きやすい靴、ハンドタオル、水筒やペットボトル等々は必須です。間違っても気合いいれたメイク、かわいいスカート、おろしたての靴とかで来てはいけません。
しんどい分、観音正寺さんにたどり着いた時の解放感は素晴らしいですよ!
ここから。
10分ほど歩く(また少し登る)と、本丸にたどり着きます。
有名な石垣は、ここから更に歩く必要があるので今回は断念しました。
というか、ひと気のない本丸のところで、なぜかスキンヘッドのお兄さんが何かの歌を熱唱しているというシュールな光景に出会ってしまい、深入りする前に引き返そうという判断が働いたんですよね。
もしかしたらあのお兄さんは人間ではなく危険を知らせる観音様の使いとか山の精とかだったのかもしれません。
安土城
せっかく安土まで来たんだから、安土城にも寄っていくか……でも行ったことあるし観音寺城で疲弊したしなあ……でも六角定頼さんゆかりの施設があったのかもしれないみたいな話を知ってしまったしなあ……と逡巡しつつ、安土城にも行ってしまいました。
安土城の入り口。
昔より整備されてきれいになった気がしますね。
昔より観光客もたくさん。よかったよかった。
有名な大手道。
安土城もけっこうな登り道です。
それにしても、石段の段差がけっこう高いんですよね。
私は背が高い方なので歩幅は平均よりもあるはずなのですが、ちょいちょい大きく足を広げる必要があります。
今より平均身長が低いであろう戦国時代の人たち、そうとう大股で歩いていたんでしょうか。江戸時代よりは戦国時代の方が背は高いという説を聞いたこともありますけど。
羽柴秀吉さんの屋敷があったとされる場所。
目立つ看板。勝手に史跡ガイドを始める人が実際にいたのでしょうか。
本丸付近、黒金門の石垣。立派だわあ。
天守跡付近。
この付近に六角定頼さんゆかりの施設があったんでしょうか。
真偽は分かりませんが、ロマンのある説を聞けてよかったですわ。
天守跡からの景色。昔はもっと手前まで湖が広がっていたそうです。
昔よりも多くの城を見た後に、あらためて安土城を訪れると、縄張りの良さや広大さ、石垣等の立派さに圧倒されますね。
さすがの貫禄です。
ドラマの多さも含めて、惹かれる人が多い・増えているのも納得。
あと、信長公本廟付近に天下布武デザインの絵馬がたくさん吊られていたのですが、その中に「信長の野望ミュージカルの大成功を願う稲葉良通さん」の絵馬があって驚きました。
ファンの熱い魂を感じますね。
以上、六角氏の企画展が開催されていることだけでも驚きですし、観音寺城・観音正寺は想像以上に大変だけど想像以上に立派で、安土城もイメージよりはるかに多くの観光客を呼び寄せていて、それぞれポジティブサプライズでございました。
近江八幡はもとより優れた観光地で散歩するにも楽しい街ですし、そこに戦国時代ファンも加わって、一層多くの人から愛されていくといいですね。
その中で六角氏の人気もじわりじわりと高まってまいりますように。
おまけ
近江八幡城から眺める琵琶湖。
近江八幡城はロープウェイで登れるのでらくちんです。
なお、カップルの聖地化しているので、近江八幡城は逆に清潔な恰好で訪れた方がいいと思います。