じゃりン子チエ本編の文庫版復刻同様、猫の小鉄を主役に据えた番外篇も復刻されましてかんたんしました。
レアな漫画が手軽に入手できるようになるのはありがたいですね。
表紙はもちろん小鉄とアントニオジュニア。
この二本足でニヤニヤ歩いているのがじゃりン子チエ独特でかわいいですよね。
収録されているお話は次のとおりです。
- プロローグ1 必殺タマつぶし
- プロローグ2 ケンカは大きらい
- あの頃のアントニオ
- スカーフの秘密
- 怪しい釣り大会
- もう一人の雷蔵
- その後の梅若
- ジュニアの初恋【前篇】
- ジュニアの初恋【後篇】
- 山の中のあいつ
- 「月の輪の雷蔵」を訪ねて
- 輪が三ツでアメンボウ【前篇】
- 輪が三ツでアメンボウ【後篇】
- 特別収録 じゃりン子チエ 予告篇
既に本編の復刻文庫で収められている話もありますね。
以下、一部ネタバレ含みで感想を。
主役が猫の小鉄とアントニオジュニアになった場合、この漫画は任侠映画じみた気配をまとうことが知られております。
「あの頃のアントニオ」はアントニオが百合根と一緒にバクチ屋をやっていた頃のお話ですし、「怪しい釣り大会」は猫をヒロポン漬けにして毛皮をはいで売り飛ばすような外道ヤクザ猫が登場するお話だったりします。
少しずつ小鉄の過去、「月の輪の雷蔵」時代の活躍が明らかになっていくのも興味深いですし、見て見ぬふりできぬ悪党を小鉄やアントニオジュニアが成敗する展開が本編と違った明瞭な勧善懲悪ドラマになっていて満足度高いですね。
我ながら猫の話を書いているように思えませんが笑
私が好きなセリフは次のとおり。
小鉄
ゆうとくけどワシはおこってるからな
ヤクザ猫たちを貫目の迫力だけで圧倒する小鉄が格好いいんですよ。
こういう任侠映画や時代劇や銀魂によくある「元最強の男、現在はプラプラ」ていうのは不変の魅力がありますね。
アントニオジュニア
どこからともなく現れるような奴どことなくヤクザっぽくてそれでどこか冷たそうで
ふん
そんな奴が神秘的に見えて女は弱いのさ
初恋の傷を語るアントニオジュニア。
ジュニアは小鉄と違って成熟していませんので、ときどき繊細で傷つきやすい面を出してくるのがかわいいんです。
また、さりげなくジュニアの成長を見守る小鉄の姿もあたたかくていいの。
こんな二匹の猫を見ていると、それぞれの過去や戦いはもちろん魅力的なんですけど、それ以上にチエちゃんや百合根のオッちゃんの世話になっている現在の暮らしがまた言葉にならないような幸せを感じられていいですね。
落ち着いたいまの豊かさがあってこその番外篇だと思いますし。
猫の世界もいろいろあるようですが、猫の世界も人間の世界も平穏な日々が続いていきますように。
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