肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「聖戦士ダンバイン 初視聴の感想 これは面白いわ」富野由悠季総監督(日本サンライズ)

 

今さらながらダンバインを初視聴しましたところ、大変おもしろくてこれは確かに色んな人に影響与えたやろなあということが直感的に理解できる名作でかんたんしました。

 

なお、私の視聴前ダンバイン知識はスーパーロボット大戦シリーズのEX、第4次、F、α、およびバスタードのシーラ姫の元ネタというものくらいです。

初期のスーパーロボット大戦シリーズがいかにダンバインから強いインスピレーションを得ていたのかが実感できて楽しかったっす。「胞子の谷」とかこだわり感じましたもんね。

 

www.dunbine.net

 

 

以下、印象に残った点をつらつらと。

ネタバレをうっすら含みますのでご留意ください。

また、ガチ聖戦士勢からすると素人意見くさすぎると思いますがご容赦ください。

 

 

 

主人公のショウが序盤めっちゃ受け身

序盤のショウさんが流され・巻き込まれ体質すぎて驚きました。

スパロボやと南無三いいながら敵陣に突貫していくイメージが強いわけですが、原作はじめの方は等身大に苦労されていたんですねえ。

というか異世界にいきなり召喚されて正気を保っていられただけすごいのでしょう。

 

作品全体を通したオーラ力の設定を踏まえれば、内面は情熱的でありながら日ごろの姿勢は抑制的なショウさんだからこそ、上手くオーラバトラーを操れたのかもしれません。ショウさんがもっとオラオラ系だったらもっと早くハイパー化して不幸になっていそうです。

 

 

ビルバイン、格好いいじゃないか

ファンはビルバインよりダンバイン派が多いみたいな話を耳にしたことがあるのですが、実際にアニメで動いているところを見るとビルバインめっちゃ格好いいじゃないですか。

生物っぽさが後退したという点が不評だったという話ですけど、むしろメカベースに僅かな生物っぽさが残っている点が画期的でイケてるデザインやと思いますわ。

スパロボスタッフが夜間迷彩仕様を毎々こだわって実装するのも分かります。いまからFをプレイするならめっちゃ贔屓してショウのレベル48かるがる達成できそう。

 

 

マーベルがしっとりしている

この人こんなにしっとり系の魅力持ちやったんですね。

ときどき話を聞いてくれるような友人に恵まれてほしいものです。

 

 

トッドがかわいい

この人こんなにかわいい子やったんですね。

年とってから視聴したんで、かわいい息子感がハンパないです。

これは人気出るわ。

私のなかでは、戦死して哀しかった人ナンバー2です。

記憶を消してスパロボF・F完結編をプレイしてみたいものです。当時の私がダンバイン視聴済だったらトッド生存フラグに熱狂したであろうに。もったいないことをした。

 

 

バーンが想像以上に悪党

悪役やけど騎士やしライバルやし格好良さ重視の人かと思っていたんですが。

落ちぶれるのはいいとして、落ちぶれたときの逆恨み方や関係ない人の巻き込み方が同情できないやつで、人間らしいと言えば人間らしいのですが格好よくはないな……となりました。

でも、印象にはものすごく残りましたので悪役としては大成功している気がしますし、物語の厚みを増してくれている感じがしますので作品にとっては功労者だと思います。

 

 

ドレイク、割とまとも

悪役ですし相応に悪人ではありますが、政治家としては理解できるし器量もあるという、見どころのあるお人でした。

家庭がちょっとアレなところも含め、まさしく昭和の大物という感じですね。

 

 

エレ様の悲劇

「髪型w」みたいないじり方をされている印象しかなかった人なのですけれども、物語を通して視聴するとこの方の登場は想像以上に早く、この方の人生は想像以上に過酷で、一貫して応援したくなるし同情してしまうし、最期まで哀しすぎて胸に刺さりまくりました。

私のなかで視聴前から一番印象が変わった方がエレ様ですし、戦死して哀しかった人ナンバー1です。生まれ変わったら幸せになっていただきたい。

 

 

シーラ様の登場が遅い

スパロボでいつもエレ様と同時期に加入してくる印象だったのですが、ダンバイン原作やと中盤過ぎまで全然登場しないんですね。

登場後はさすがの貫禄と器量で、立派なお姫様でした。正統派美少女なので大人気だったというのも納得です。

 

 

オーラバトラー、強い

地上に出てからのオーラバトラーたちの強さ、ハンパなくて変な笑いが出ました。

核ミサイルを防ぎきるオーラバリアってなんなんそれパネェ。

 

 

地上人のリモコン特攻作戦、怖い

じゃっかん人道的になったカミカゼアタックでバイストンウェル勢にダメージを与える地上の軍隊もたいがい怖いっす。

バイストンウェル勢の資源に限りがある以上、甚大な被害と引き換えに地上の軍勢が勝利するルートもつくれなくはなさそうです。

が、甚大な被害が不可欠ゆえに、そうはさせなかったシーラ様やエレ様、ショウさんたちの尊さがいっそう実感できますよね。

 

 

後半の面白さは前半あってこそ

率直に言って後半の地上浮上後の方がいろいろ展開やドラマが派手で見ごたえがあるのですが、それは前半のバイストンウェル編があってこそやなあと、見終えてからしみじみ思いました。

緩急というか、ギャップというか。

中世的バトルから一気に近代的&総力戦的バトルに切り替わりますし、前半の幻想的な雰囲気の世界にもう戻れないという喪失感がドラマを引き立てていたように感じます。

製作者さんたちが意図したものではなかったのかもしれないけど、私はこの全体構成好きだな。

 

 

New Story of Aura Battler DUNBINEはワーム型モンスターフェチすぎる

ついでにOVA続編も見てましたが、サーバイン・ズワウスの格好良さよりも、転生した人物たちの人間関係そうなるんや感よりも、製作者の性癖を感じるワームタイプのモンスターの存在感がいちばん印象に残りました笑

キャラデザインが全体的にバスタードっぽいというか80年代後半っぽくて懐かしさを感じますね。

 

 

 

 

 

等々、ほかにもガラリアさん&バストールの美しさとかショットさんさあとか思い浮かぶことはいろいろありますけれども、個々のパーツ一つひとつよりもバイストンウェルの物語総体としての魅力を強く感じる作品でしたね。

没入できる世界を生み出してくれるってすごいことやと思いますの。

 

 

今年で放映40周年ということで、バイストンウェルに惹かれる方が引続き増えていきますように。

昔プレステのゲーム売ってるの確保しとけばよかったわあ。

 

 

 

「陰陽師 天鼓の巻 感想 “器”が特によかった」夢枕獏さん(文春文庫)

 

陰陽師シリーズの天鼓の巻、読みやすい短編ものが多数収められている巻でございまして、その中でも「器」という作品が家族ものとして非常に優れ、かつ哀しいお話で胸を打ちかんたんしました。

 

books.bunshun.jp

 

 

以下、ネタバレは抑えつつもほんのり展開と感想を書いていますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

当巻収録のお話は次の通りです。

  • 瓶博士
  • 紛い菩薩
  • 炎情観音
  • 霹靂神
  • 逆髪の女
  • ものまね博雅
  • 童子

 

 

以下、各お話のちょっとした感想を。

 

 

瓶博士

「まだ、真の神になるまでは、千年もかかりましょうか」

「かかるでしょう」

 

人の身でありながら非常にスケールの大きい会話。

どういう展開でこういう会話になったのかは伏せますが、陰陽師シリーズや安倍晴明さんの奥行きの深さを感じて好きなやり取りです。

 

 

「人という器は、あまりに多くの悲しみに満たされると、心を亡くしてしまうものなのだな――」

 

これも、どういう展開でこういうセリフが出てきたのかは伏せますが、このお話は家族というものを愛する方であればぜひ読んでいただきたい作品です。

派手さはありませんが、家族愛の尊さや悲しさで胸が満ちます。

 

 

紛い菩薩

陰陽師らしい、正当な怪奇事件解決譚です。

いつも冷静に事件を解決する安倍晴明さん、リアクションが常にかわいい源博雅さんという安心感のある展開を楽しめていいですね。

 

 

炎情観音

「人は、一生、そういう答えのない心のことで、じたばたと生きてゆくのであろうかな」

「だろうな」

「なんともそれは淋しいような、逆にまた、妙に、少しはほっとすることでもあるような……」

 

こちらのお話も陰陽師らしい怪奇事件解決譚です。

ラストシーン、この会話が好き。源博雅さんのお人柄がすごく出ていると思う。

 

 

霹靂神

べおむべおむ

ほろろころろ

てんてててん

 

以前もあった、源博雅さんと人ならざる者とのセッション。

今作は蝉丸さんも加わって一層楽しい。

ストリートで、偶然めっちゃイケてるライブに遭遇したときのような読み味です。

 

 

逆髪の女

「鉄輪」が好きな方に刺さるであろう、女の情念と、男の受け止め方の一例が示されるお話。当然私も好きです。

「鉄輪」よりは救いのある、そして愛の一種のありようを感じさせてくれる名作で、しみじみいいなあと思ってしまいますね。

 

 

ものまね博雅

ただただシチュエーションが面白いお話ですので、ぜひ読んで場景を想像してくださいませ笑。

 

 

童子

平安時代の方違えこえぇよ! とおののけるお話。

皆さまも方角にはお気をつけくださいませ。

 

 

 

 

しっかし夢枕獏先生という方は毎回毎回クオリティの安定っぷりがハンパないですね。神々の山嶺といいゆうえんちといい。

夢枕獏先生の他のシリーズも、陰陽師を一通り読んだら手を伸ばしてみようかしら。

 

 

天災も事故も起き続けている世の中、一組でも多くのご家族が健やかに暮らしを送れますように。

 

 

絵物語「陰陽師 鉄輪 感想 白い脚は蠱惑的で、お尻も可愛くて可愛くて」夢枕獏さん / 村上豊さん(文春文庫) - 肝胆ブログ

「陰陽師 醍醐ノ巻 感想 バランスの良い巻、新キャラも魅力的」夢枕獏さん(文春文庫) - 肝胆ブログ

 

 

 

信長の野望20XX「松永久秀の追憶 感想 筒井順慶さんもよかった」

 

信長の野望20XX、三好家に追憶二度打ちが来ていてかんたんしました。

星5も3人目。西日本勢のなかでは突出して三好家が優遇されてしまっていますがいいんしょうかというか商売は成り立っているんでしょうか。

 

松永久秀の追憶イベント実装リリース

nobu201x.gamecity.ne.jp

 

 

以下、攻略に役立つ情報はありませんのでご留意ください。

ネタバレも含みます。

ていうかEX難易度高すぎませんか。

 

 

 

 

 

星5松永久秀さん実装。

 

大志バージョンの顔グラでご登場。

どこまでいっても「三好家」所属で出てくれるあたりにキュンとしますね。

 

大志久秀さんは大志長慶さんとのイベントがあまりによかったので今も思い入れ深い顔グラです。顔を見るだけで(わしが仕えるに相応しきお方よ……)という独白が思い浮かぶ。

信長の野望・大志の「松永久秀言行録(三好家崩壊)」 - 肝胆ブログ

 

今回実装された星5久秀さんも、クセは強いものの育てまくったら強くなりそうな大器晩成感がありますので、時間をかけて確保・育成していきたいと思います。

(予算内で1人しかゲットできなかった)

 

 

 

さて、「松永久秀の追憶」イベントです。

 

前説。

 

1557年、信貴山城の戦い起こる。

この世界線の久秀さんは行動が早いのか、河内・大和侵入前から大和で包囲されているようです(たぶん誤字でしょう)。

 

 

久秀さん登場。

 

さっそくダークサイド堕ちしていると見せかけて。

 

 

 

ていよく幽魔さんを転がしているだけのご様子。

実休さんといい、三好家関係者は悪辣な意味で幽魔を上手く利用しがちです。

信長の野望20XX「三好義賢の追憶 感想」 - 肝胆ブログ

 

 

 

久秀さんの回想その①。

 

三好義継さん足利将軍に取って代わろうとした説という、最近の新説の中でも一番三好過激派な説が採用されていてびっくり。

そして、三好御前さんという20XXオリキャラがますます「ごはんよー」みたいになっているのが明るい家庭的で楽しいですね。「そなたの父上」=三好長慶さんという設定なので、20XXの久秀さんはますます殿のことを忘れられなくなっておいでです。

 

 

 

久秀さんの回想その②。

 

信長の野望本編でもおなじみのイベント、信長さんと久秀さんのご対面。

「身も心も我に捧げ(尽力せ)よ」って、なんだか信長さんが未亡人を口説いているようなテイストでいと熱し。

 

 

 

久秀さんの回想その③。

 

元カレ後継者の若い男を選んだ久秀さん。

あんなに情熱的に口説いた信長さんとしてはツンとしたくもなりましょう。

ここでも、久秀さんが主体的に信長包囲網に参画したのではなく、主家である三好家に従ったという最近の解釈が採用されています。

 

 

 

そして現在。

 

「わしは生涯、三好家の忠臣よ!」

もはや長慶さんの後継者がいない(阿波にいるといえばいる)にもかかわらずこのセリフ。思い出の中の長慶さんに殉じるというお覚悟でしょうか。

信長の野望シリーズでの最近の描かれ方ベースの話ですが、破壊者のようでいて常識人な面もある織田信長さんより、常識人のようでいて破壊者な面もある三好長慶さんの方が久秀さん好みなのかもしれませんね。コワモテ紳士とベッドヤクザどっちが好みですか的な。

 

 

 

久秀さんの活躍で幽魔も退治されます。

 

大変格好いいですね。

 

 

 

ところで、ここまで紹介を省略していましたが、実は久秀さんは織田家の面々&筒井順慶さんに攻め寄せられていて大ピンチなのであります。

 

わたし、20XXシナリオ特有の「いやはや」リアクション大好き侍。

 

筒井順慶さん、こんな流れでユーザーのヘイト集めムーブをしていると見せかけて……

 

 

 

逸話どおりに久秀さんが爆ぜ散る流れになったところ。

 

燃え盛る信貴山城を前に、織田家諸将が平蜘蛛を回収できずに慌てる中、筒井順慶さんは「おぬしに相応しき見事な散り様」と久秀さんを称えはるのです。

この20XX順慶さん超格好良くないですか。

宿敵久秀さん討伐という目的はきっちり果たしつつ、ライバルたる久秀さんの人柄や器量はしっかりと評価しているという。こういう風に順慶さんが描かれる信長の野望イベントは極めて珍しいので大きく歓迎したいのですよ。

 

 

 

なお。

 

生きとったんかワレ!

 

 

 

かくして「松永久秀の追憶」は従来の追憶イベントと趣が違い、

久秀さんは「妻」「三好義継」「織田信長」という面々を追憶し、

筒井順慶さんは久秀さんというライバルを追憶するという、

多面的な追憶を堪能できる良シナリオなのでございました。

 

直接的に久秀さんが長慶さんとのやり取りを追憶しない辺りがかえっていいですね。

過度に湿っぽくならなくて。

 

長慶さん、20XXになって先に追憶イベントだけが実装され、自身が大活躍するようなイベントが実装されていない辺り、キャラづけ含め鋭意検討中なのでしょうか。

 

 

そのうち三好長慶さん自身が活躍する江口とか教興寺とかのイベントが実装されますように。その際は星5長慶さんのスキルがもう一声強化されたりしますように。

 

 

 

 

 

「鬼太郎夜話 感想 原作水木のその後」水木しげる先生(中公文庫)

 

中公文庫でゲゲゲの鬼太郎本編以外の鬼太郎作品刊行が始まり、初めて読んだ「鬼太郎夜話」に「鬼太郎の誕生」以降の水木さんや美人版猫娘等が登場してかんたんしました。映画「鬼太郎誕生」も面白かったことですし、この界隈にますます注目が集まっていくといいですね。

 

www.chuko.co.jp

www.chuko.co.jp

 

 

住む場所をなくし、あてもなくさまよう鬼太郎親子は、いくつもの怪事件に巻き込まれる。危機に直面する鬼太郎を襲う悲劇とは? 第1~10回を収録。

傷心の鬼太郎は家を出てスリルと刺激を満喫するが、人にだまされ、お金のための仕事を頼まれ、はては水神に命を狙われる。第11回から最終回まで収録。

 

掲載誌は何と「ガロ」。

マガジンの初期鬼太郎シリーズや「鬼太郎の誕生」と同時期に執筆されていたようで。

 

掲載誌がガロということもあってか、ストーリーはあるようであまりない、どちらかというと一場面一場面の展開の妙やおかしさを鑑賞する系の作品な印象です。

それでも、あの水木さんのその後や、美人版の猫娘、何よりクセが強過ぎるセリフの数々を拝めるのでなかなかの値打ちものだと思います。

 

 

以下、印象に残った場面やセリフを。

 

  • 牛鬼vs4代目ドラキュラが怪奇的な迫力があってよい。

  • 血液銀行頭取や水木氏が再登場。二人とも地獄に落とされてしまって気の毒でなりません。水木氏はなんとか生還することになりますが。
    それにしても水木さん、原作でもなかなかの男前であります。

  • 生還後も、鬼太郎父子と一緒に暮らす羽目になる水木さん。映画を見たあとだとエモく感じますが映画抜きで考えるとエンドレス恐怖でしかありません。

  • ねずみ男の頭をリアルに齧りとる猫娘(寝子)さん。そのせいで一部の記憶を失いつつピンピンしているねずみ男さんもタフであります。
    その後、歌手として成功したりおつらい目にあったり鬼太郎さんとの関係性であったりと、この作品の猫娘さんはヒロイン性ばつぐんですね。
    「そりゃあ お前の顔では無理だ ねこさんのようなきれいな子は つげ義春ぐらい男前でなくちゃウンと言わないよ」
  • 「もしもし はなはだ突然で おそれいりますですが そこの上品な喫茶店「ザ・パンティ」に行ってコーヒーでもいかが」
    相変わらず普通の頭では思い浮かばないようなネーミングです。

  • 鬼太郎世界では権威と実力をしっかり発揮する日本学術会議
    「インチキダ イカサマダ」
    の表情がものすごく良い。

  • 「うまく二つ取り立てれば二百万円か ボロイ」

    鬼太郎夜話の鬼太郎さんは荒んでいて底知れない怖さとかわいさがあります。なんかあるたびにタバコ吸うし。

 

鬼太郎夜話のオチ的に結局水木さんがどうなったのかは分からぬままですが鬼太郎父子と離れられたのであればそのうちまともな暮らしにもありつけることでしょう。

 

妖怪や幽霊族に遭遇した一般人がなんとか命や生活を保持できますように。

 

 

「ゲゲゲの鬼太郎 決定版 4巻感想 “鬼太郎の誕生”って墓場の鬼太郎時代じゃなかったのか」水木しげる先生(中公文庫) - 肝胆ブログ

 

 

 

 

 

大相撲2024初場所感想「休場多いのにレベルの高い場所だった、故に照ノ富士関の強さが引き立つ」

 

大相撲2024初場所、休場者がとても多く出て残念でしたが、取組一番一番は見ごたえがあり力士たちも全体的に好調そうで嬉しく見ておりましてレベルが高い場所になってよかったなあと思っていたところに照ノ富士関が後半になればなるほど力強さマシマシになっていかはって結果として格の違いを見せつけてくださる形になってかんたんしました。

 

www.sumo.or.jp

 

www3.nhk.or.jp

 

 

今場所、幕内で勝ち越した方々は次の通りです。

 

13勝 照ノ富士(優勝)、琴ノ若(技能賞)

11勝 霧島、大の里(敢闘賞)

10勝 豊昇龍、若元春(殊勲賞)、王鵬、隆の勝、阿武咲

  9勝 大栄翔、朝乃山、明生、剣翔、琴勝峰、島津海

  8勝 阿炎、錦木、平戸海、玉鷲

 

人数が少ない!

 

ちなみに休場者(復帰者含む)は次の通りです。

豊昇龍、貴景勝、高安、北勝富士、朝乃山、北青鵬、碧山

 

仕上がりよさげだった方が無念の休場になるケースも目立ちました。

熱戦ゆえのケガの多さは痛しかゆしであります。

 

 

優勝した照ノ富士関はお見事でした。

中日までに2敗して、心が折れるどころか力強さを増していったのがすごいと思うの。

千秋楽は鬼のような強さで、次世代の主役2人を吹っ飛ばしたのは圧巻というしかありません。地力、相撲勘ともにまだまだ図抜けているのを自ら証明されましたね。

今年も照ノ富士関の活躍に胸を熱くすることができる。とても嬉しいことです。

 

琴ノ若関が遂に優勝同点! そして大関

待っていたよ。霧島関や豊昇龍関に先を越されてさぞ悔しかったであろうに、大栄翔関や若元春関が先に大関挑戦してさぞ焦ったであろうに、辛抱して地力をちゃくちゃくとつけていった姿をファン皆が知っているだけに感動もひとしおです。

大関の座に安住することなく、これからも一層実力をつけていってほしいところ。

 

霧島関は横綱昇進は厳しいか。

最後の照ノ富士関戦はともかく、他の負け方はもったいないものが多かった印象です。

またチャンスが回ってくること間違いなしの実力者なので、更なる奮起を期待したい。

 

大の里関も鮮烈な幕内デビューでしたね。

大器は疑いようもありません。熱海富士関のように、そうそうに優勝争いに絡んでプレッシャー受けまくるような経験も積んで慣れていっていただきたいですね。稀勢の里関の弟子だけに。

 

10勝勢のなかでは、若元春関と隆の勝関の復調が大変うれしいのがひとつ。

それと、大一番で負けた際の豊昇龍関、阿武咲関それぞれの悔しそうな顔が実によかった。胸を打ちました。もちろん力士たるもの平常心、克己心が大事ではあるのですが、必ず腕と男を磨くことに繋がるであろう悔しさ、めっちゃ応援したくなります。

 

9勝勢のなかでは、大栄翔関と朝乃山関が9勝にとどまらないでほしいのと、明生関ももうちょい上の番付に戻ってほしいのと。

剣翔関の重みが増していた点、琴勝峰関のポテンシャルがより開かれた感じがした点、島津海関が地味ながら好印象で相撲勘も優れたものを有しているように見受けられたのがよかったです。

 

このほかにも今場所は北陸出身力士の姿、師匠を喪った阿炎関の表情等、伝わってくるものが多くて応援にも力が入りました。

全体として非常に満足度の高い場所だったのではないでしょうか。

 

武将山関が4勝に終わったのは悔しいですが。。

幕内に上がると緊張するんでしょうか? 君もっと底力ある人やん。

まあ、今の幕内下位は妙義龍関や遠藤関といった緊張せざるを得ないレジェンドクラスがごろごろいる魔境ではあるんですけれども。

 

 

伸びしろがまだまだある人たちが番付を昇っていく、いい時期に相撲界が入ってきていますね。

春場所もそれぞれの力士が更なる魅力を発揮してくださいますように。

 

 

 

 

 

 

「雨月物語 感想 透明度の高い面白さ」上田秋成さん / 校注:長島弘明さん(岩波文庫)

 

映画の雨月物語が面白かったので、あらすじくらいしか把握していなかった原文の雨月物語をあらためて読んでみましたところ、日本型ドラマのオリジン感、純粋に面白い部分を抽出して蒸留したような透明感が際立つ面白さでかんたんしました。

「読む能」とでも言いますか。

 

古典の文章に抵抗がなくて、短編の物語文を読みたい場合は雨月物語めちゃくちゃいいんじゃないでしょうか。江戸時代の文章なので平安期や鎌倉期ほど単語や文法も難しくないですし、この本には質の高い脚注もついているので理解が容易ですし。

有名武将もちらほら登場するので、戦国時代好きの人にもおすすめですよ。

 

www.iwanami.co.jp

 

 

雨そぼふる薄暗き午後,あるいは皓々たる月の夜,この世とあの世が交錯する.荒ぶる先帝の怨霊,命を賭した義兄弟の契り,帰らぬ夫を待つ妻の悲しき末路,男にとりついた蛇性の女の執念…….中国や日本の古典をさまざまに取り入れ,美しくも妖気ただよう作品に仕上げた上田秋成(1734―1809)の珠玉の短篇集.「白峰」ほか全9篇を,平明な注と解説で.

 

 

目次は次の通りです。

凡 例
雨月物語』あらすじ

雨月物語

巻之一
 白 峰
 菊花の約

巻之二
 浅茅が宿
 夢応の鯉魚

巻之三
 仏法僧
 吉備津の釜

巻之四
 蛇性の婬

巻之五
 青頭巾
 貧福論

解 説……………長島弘

 

有名なエピソードも多いので、ネタバレすることはあまり気にせず、以下さっくりと内容と感想を書いていますのでご留意ください。

 

 

白峰

西行さんが崇徳上皇の霊に遭遇するお話。

崇徳上皇の陵(お墓)の寂しさに涙する西行さんの人柄の良さ、

平家滅亡を予測してうきうき喜ぶ崇徳上皇(霊)の哀しさ、

魔道に堕ちた崇徳上皇の姿を見て再び涙する西行さんの人柄のほんま良さ、

等々が胸を打ちます。

 

 

菊花の約

尼子経久さんを敵ボス役にして、男二人の友情と信義が発揮される話。

いつの時代も男同士のバディものはいい。

敵ボス役ながら大物らしい器量を最後に見せる尼子経久さんも格好いい。

 

 

浅茅が宿

妻を残して出稼ぎに出た男が家に戻ってみると……というお話。

映画の元ネタ。

舞台背景が享徳の乱だったことに気づいて驚きました。

足利成氏さん、上杉憲忠さん、東常縁さん等々の活躍を知ったいまとなっては没入感が深くなって満足度が高い。こういったお話を読むと、享徳の乱に対する印象や感情が重層的になって、自分のなかではいい読書経験だとしみじみ思うのです。

 

 

夢応の鯉魚

三井寺の僧で絵が上手い興義さんが魚になる不思議な夢を見る……というか魚に転生して世の中を垣間見る、不思議なお話。

お話も面白いのですが、挿入画が非常に漫画表現的なモダンさで、江戸時代の画家さんの表現力に一目置いてしまいます。

 

 

仏法僧

高野山へお参りに行ったら豊臣秀次さんや紹巴さんの亡霊に遭遇してしまうお話。

夜が明ける段になって、「いざ石田、増田が徒に今夜も泡吹かせん」と勇んで立騒いで消えていく秀次さん一行がいかついです。あの世で三成さんたちに嫌がらせし続けているんでしょうか笑。

いかついのに嫌らしさや小物臭さは感じないあたりに人物描写の冴えを感じるんですよねえ。

 

 

吉備津の釜

浮気して妻を捨てたら、妻の怨霊にブッ殺されるお話。

陰陽師シリーズっぽいお話でして、女の情の深さと恐ろしさを突き付けてくださるのがマジあなや。

妖怪譚がお子様に原始的なモラルを植え付けるのと同じように、怨霊譚も定期的にリバイバルされてアホな男性に引き際を思い知らせたらいいと思います。

 

 

蛇性の淫

いわゆる道成寺伝説の一種です。みんなで行こう和歌山県

能や歌舞伎の道成寺以上に、女の執着心の恐ろしさが強調されている点に目を引かれます。ラストの決着の仕方が「霊験あらたかな袈裟で包み込んで妖力を封じる」という、鬼太郎祖先霊毛ちゃんちゃんこみたいでありつつ風雅な感じもする方法なのも趣深いの。

 

 

青頭巾

高僧快庵禅師が食人鬼に成り下がったゲイ僧を成仏させるお話。

美少年を喪って魔に堕ちるありさまがドラマ性高い。

主人公快庵禅師のビクともしない高徳っぷりも世紀末救世主的なヒーローさがあって格好いいのです。

 

 

貧福論

蒲生氏郷さん配下の岡左内さんが黄金の精霊さんと語り合うお話。

お金に善悪はないので、徳や性格がどうであろうがお金はお金を大事にする人のところ、お金の稼ぎ方を知っている人のところに集まるのだ、というリアリズムあふれる内容がたまらない。現代にあっていよいよ注目されるべき訓話だと思いますわ。

人柄がいいからってお金まで集まるべきだというのは変な話ですし、お金を持っているから人柄もいいはずだというのも変な話なんですけれども、人物と貧富につい因果を見出そうとしてしまうのが人間のよくある勘違いなのでしょう。

 

 

 

 

以上の物語9本で200ページ程度。それでいて描写や展開は豊かで広くて、読後感も多くのものを得たかのような満足に満ちています。文字密度に頼らず、エッセンスの抽出力・蒸留力の高さによるものなのでしょう。

色あせない面白さがあると思いますのでおすすめですよ。

 

 

たまには私の夢にもイケてる人や精霊が現れてイケてる知恵とかを授けてくださいますように。怖くも哀しくもないやつでお願いします。

 

 

映画「雨月物語 感想 日本固有の美と物語の普遍性」溝口健二監督(大映) - 肝胆ブログ

 

 

 

 

「悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん 久々攻略の感想」悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション

 

悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション、FC版のぼくドラキュラくんまで収録されていてかんたんしました。GB版は未実装なところだけは残念ですね。

 

www.konami.com

 

 

「初代悪魔城ドラキュラ 久々攻略の感想」悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション(コナミ) - 肝胆ブログ

「ドラキュラ2(北米版) 久々攻略の感想」悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション(コナミ) - 肝胆ブログ

「悪魔城伝説 久々攻略の感想」悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション(コナミ) - 肝胆ブログ

「ドラキュラ伝説 久々攻略の感想」悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション(コナミ) - 肝胆ブログ

「ドラキュラ伝説Ⅱ 久々攻略の感想」悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション(コナミ) - 肝胆ブログ

「SFC版悪魔城ドラキュラ 久々攻略の感想」悪魔城ドラキュラアニバーサリーコレクション - 肝胆ブログ

 

 

 

ドラキュラ伯爵の息子ドラキュラくんが一万年眠っている間に、魔界を征服してしまった大魔王ガラモスさん。ドラキュラくんとガラモスさんの戦いがいま始まる……!

 

的なお話になります。

悪魔城ドラキュラシリーズのドラキュラ伯爵は単なるヴァンパイアやヴァンパイア・ロードにとどまらず、あらゆる魔物を支配する魔王としての性格づけがなされているのが地味にスケールでっかいですよね。

 

 

なお、ドラキュラ伯爵の息子と言われるとみんなが思い浮かべるのはアルカードさんかと思います。

実際に月下の夜想曲ではガラモスさんやその部下たちが登場しますし、銀髪やの妖気弾やのの要素も似ている気がしないでもありませんが、今回アニバーサリーコレクションに収録されたおまけガイドによれば「別人らしい」とのこと。

 

右上のコラムご参照。

もしかしたら悪魔城伝説の時点で歴史が分岐して、アルカードさんが起きずに眠り続けたまま一万年経ったifシナリオがドラキュラくんだったりするのかもしれませんね。寝すぎて幼児退行した感じで。

アルカードさんが起きないと悪魔城伝説はともかく月下の夜想曲事件や1999年事件を解決できなくなりそうですし、ベルモンド家とドラキュラさんの争いがもっとグダグダになって確かにガラモスさんのような第三勢力が現れることになっても不思議ではありません。

実際のところはドラキュラくん制作時点では特に何も考えていなくて(むしろゴエモンシリーズとの距離の方が近い気がする)、後に月下スタッフたちがあふれるドラキュラくん愛を後乗せしまくっただけなんでしょうけどね。

 

 

 

ゲームに戻って、1面。

 

1面は悪魔城ライクステージになっておりまして、後期ファミコンアクションゲームらしいポップさに生まれ変わっているのがかわいらしくていいですね。

 

ちなみにドラキュラくん、かわいらしいゲームですが難易度はけっこう高いです。

ドラキュラくんは強いし敵もそんなに強くないものの、ステージギミックとして落下やトゲ等の一撃死トラップが充実しているのである程度やりこまないと安定クリアはおぼつきません。むしろ初見クリアという意味では難しい方の作品になるかも。

 

 

ステージをクリアすると、新しい技を覚えたりあみだくじを楽しめたりします。

 

あみだくじ後はミニゲーム(運試し)で残機を増やせます。

それにしてもこの時代の芸能人は肖像権もへったくれもないのにしみじみしますね。

ちなみにこの逸●アナは後半髪型等が変わっていきます。とことんフリー素材。

 

 

 

2面。

 

2面の時点でジェットコースターが登場し、落下死リスクがマシマシに。ひどい。

このステージをクリアして得られるさくれつだんは威力が高く、基本的に溜め撃ちはノーマルかこのさくれつだんでずっと戦っていける感じです。

 

 

 

3面。

 

水中エリア。

水の中にいてもまったくダメージを受けないので、やはりアルカードさんではないのかもしれない。血を吸わずにトマトジュースを飲んでいますし、晴れの日に外出もしているようですので、実際のところヴァンパイア化しているかすら怪しいっすね。

 

 

 

4面。


こうもりに変化して空を飛べるようになり、万能感が高まった瞬間に対空アイスキャンデーで撃墜してきたり一撃死トゲを増やしたりしてくるの、本当にえぐいと思う。

 

 

5面。


たぶん一番ドラキュラくんっぽいステージ。

一万年後の世界はバブル期の日本のクイズ番組みたいな世界だった模様です。

さかさ歩きを覚えますが、よく考えると月下の逆さ城やブラステのインバートのルーツなのかもしれません。

 

 

 

6面。

 

私としてはここのボスが一番強敵だと思います。

なぜなら1回でもダメージを喰らうと落下死するから。

 

 

 

7面。


このボスはガラモスさん本体ではないようです。

ボスよりも強制縦スクロールのステージの方がしんどいと思いますよ。

 

 

 

8面。


ふだんは義理100くらいに感じるデス様が裏切って襲いかかってくるのが涙を誘います。デス様の忠誠心すら超越するあたり、やはりガラモスさんは相当の実力者なのでありましょう。

 

 

ラスト、9面。


ボスラッシュのようなステージです。

中ボス2体はけっこう強敵なので注意しましょう。

ガラモスキングさんは口を開けたらさくれつだんを撃ち込みましょう。

月下にもこの中ボスたちを連れてきていたらもっと手ごわかったでしょうに。

 

 

 

めだたしめでたし。


それにしても一万後の世界ではドラキュラ伯爵さんなにしてはるんでしょうね。

ガラモスさんに捕まっていたのか、

なんらかの事情でお亡くなりになったのか、

●●さんに転生済なのか。

 

いずれにせよ、ドラキュラくんという頼もしい後継ぎに恵まれたので悪魔城の将来は安泰のご様子、祝着に存じます。

 

 

 

月下以降のシリーズでも時々ドラキュラくんネタがこすられていますし、いつの日か悪魔城シリーズが本格的に復活した際はドラキュラくんやガラモスさんも再び光を当てられますように。

 

一万年くらい先の話になるかなあ。