肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「小泉八雲集 感想」訳:上田和夫さん(新潮文庫)

 

小泉八雲さん(ラフカディオ・ハーンさん)の作品集を通して読んでみたところ、よく知られた日本の昔話があらためて面白かったり、小泉八雲さんの観察眼が素敵だったり、上田和夫さんの日本語訳が美しかったりと、非常に満足度が高くてかんたんしました。

 

www.shinchosha.co.jp

 

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小泉八雲さんは明治期に来日し、日本の民話や伝説を収集・発信されていたことで著名な方ですね。

もともと国際派というか無国籍派な方だったようで、生まれた場所はギリシャ、父はアイルランド人、母はマルタ生まれともシチリア生まれともいわれるギリシア人でアラブの血も混じっていた模様、とのことです。

 

 

当著に収められているお話は次のとおり。

『影』

 和解

 衝立の乙女 

 死骸にまたがる男

 弁天の同情

 鮫人の恩返し

 

『日本雑記』

 守られた約束

 破られた約束

 果心居士のはなし

 梅津忠兵衛のはなし

 漂流

 

『骨董』

 幽霊滝の伝説

 茶碗の中

 常識

 生霊

 死霊

 おかめのはなし

 蠅のはなし

 雉子のはなし

 忠五郎のはなし

 土地の風習

 草ひばり

 

『怪談』

 耳なし芳一のはなし

 おしどり

 お貞のはなし

 乳母ざくら

 かけひき

 食人鬼

 むじな

 ろくろ首

 葬られた秘密

 雪おんな

 青柳のはなし

 十六ざくら

 安芸之介の夢

 力ばか

 

『天の川物語その他』

 鏡の乙女

 

『知られぬ日本の面影』

 弘法大師の書

 心中

 日本人の微笑

 

『東の国より』

 赤い婚礼

 

『心』

 停車場にて

 門付け

 ハル

 きみ子

 

仏陀の国の落穂』

 人形の墓

 

『霊の日本にて』

 悪因縁

 因果ばなし

 焼津にて

 

 

 

前半は怪談を含む物語が中心、

後半は日本人論や日本文化論、小泉八雲さんのエッセイも入ってくる感じです。

 

 

耳なし芳一」「ろくろ首」「雪おんな」あたりはお馴染みの怪談話ですね。

「梅津忠兵衛」はいわゆる姑獲鳥伝説の一種です。

「悪因縁」は牡丹燈籠のお話で、オチが味わい深いです。

 

あらためて読んでみるとそれぞれ完成度の高い、上質な物語になっているものだなあと再認識できますよ。

 

 

昔話の中には著名人が登場するものも多く、

「果心居士」の中には名物狩り気味の織田信長さんが出てきますし、

「守られた約束」の中には「老練で豪胆でずるくて残酷」だけれど「他人の誠実を愛する心には敬意を払うことができる」し「友情と勇気には感嘆を惜しまない」尼子経久さんが出てきます。(元ネタは雨月物語でしょうか)

「青柳のはなし」では「美人好み」で「家臣の恋人である若い娘を取り上げる」細川政元さんという激レアなキャラが出てきたりもしますよ。いわゆる「史実を無視した二次創作が過ぎる」というやつの元祖なのかもしれません笑。

 

 

 

印象に残るのは、「男に裏切られた女の祟り」昔話が多いなあ……ということ。

小泉八雲さんの収集フィルターでバイアスがかかっている可能性もありますが、まあ本当に女の情念というのは怖いものだ、女性をむやみに傷つけるものじゃないゾ的な寓意に富み過ぎております。

 

 

女性の怨念系で一番好きなのは「破られた約束」というお話。

 

「再婚しないでね」と約束して妻が若死にしてしまうのですが。

子どもがいなかったため、親族プレッシャーもあって夫は結局再婚してしまい。

後妻が前妻の怨霊に首をむしり取られて死ぬ。

 

という救われない物語でして。

 

著者の小泉八雲さんが最後に

「これは、ひどい話だ」とわたしは、この話をしてくれた友人にむかっていった。

「この死人の復讐は――もしやるなら――男にむかってやるべきだ」

「男はみなそう考えます」彼は答えた。「しかし、それは女の感じ方ではありません」

 

彼の言うとおりであった。

 

と結んでいるところが実にいいんです。

確かになあ。

 

 

 

小泉八雲さんの随筆の中では、「草ひばり」「停車場にて」が好きです。

 

「草ひばり」は虫の鳴き声について書き綴る文章が非常に美しい短編、

「停車場にて」は情趣深い「罪と罰」が表される短編です。

訳のよさもあり、非常に胸に残るものがある、格調高い名文ですよ。

 

詳述はしませんので、興味がある方は読んでみてくださいまし。

 

 

 

 

これから先も味わい深い物語が多数生まれ、多数語り継がれ多数見出されていく人の世でありますように。

 

 

 

 

信長の野望20XX「細川晴元権力 vs 伊邪那美」

自己満足ネタながら、信長の野望20XXにて細川晴元権力再現を実現することができてかんたんしました。

やはりキャラゲーは妄想や思い入れを詰め込んでなんぼですよね。

 

 

完成した細川晴元権力パーティ。

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権力の盟主、細川晴元さん。

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細川晴元さんが関わる戦乱は火力がマシマシになるという史実に則り、味方全体の現代兵器与ダメージをアップしてくれる主君になっていただきました。

元の特性の持ち主には失礼な表現で恐縮ですが、京で何万人もの暮らしを背負っている晴元さんの特性が「小京都の主」「百人組の棟梁」というのはアレですね。

 

ちなみに愛用兵器は織田信秀さんから鷹の代わりに献上してもらったグレネードランチャーオブハルモト1514です。

 

 

 

続いては東の守護神、六角定頼さん。

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近隣に睨みを効かせるには充分な火力を発揮してくださいます。

その辺のボスが相手なら、3連鎖めの定頼ファウストあたりで撃破可能。

 

細川晴元権力の実質的な主体は彼なのではという見方もございますが、本人は裏で暗躍するフィクサータイプを志向しているような気もしますね。

 

 

 

同じく西の守護神、波多野稙通さん。

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六角定頼さん同様、強大な火力で敵を粉砕してくださいます。

 

彼の息子さんもまた、六角定頼さんの息子さんと同じように、細川晴元さんにとことん尽くしたことで知られておりますね。

やはり、細川晴元さんにはどこか見捨てておけない魅力があるのかもしれない。

 

 

 

細川晴元権力のマスコットキャラ、木沢長政さん。

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得も言われぬチャーミングさで味方の士気を高める馬印キャラにしました。

元から異常者なので状態異常に強いという解釈です。

 

どうでもいい話ですが、部隊の中で彼だけは突破師範以外の訓練を受けたことがなく、現場の叩き上げでレベルを上げてきたという私好みのキャリアだったりもします。

 

 

 

最後に部隊のフィニッシャー役、三好長慶さん。

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史実では細川晴元権力そのものをフィニッシュしてしまいましたが。

この世界線では晴元さん配下の内衆として筆頭奉行を務めている、但し晴元さんは彼をあまり信用していないので相模守として東国に出向させて第二の伊勢宗瑞さんにしようと企んでいるとかいないとかという解釈にしています。

 

職業相性導入等を踏まえ、堅固な兵器役に切り替えました。

手練のカッチカチ大筒です。

スキル音にも合います。

永く汎用的に活躍してくれたらいいなあと思っています。

 

 

 

かくして誕生した細川晴元権力パーティ。

畿内の激しい戦乱を兵器火力で再現しつつ、全員戦術家で守りが弱いということで権力基盤の脆弱さまで表現できているのでとてもお気に入りです。

生命力や防御スキルの関係で、基本的に最後まで生き残るのは三好長慶さんというのも史実らしくていいの。

 

 

晴元さんの威光で頼もしい援軍を招聘し、道中の雑魚さえなんとかしていただければ、ボスは兵器祭りで瞬殺できるので意外と強かったりもするんですよ。

 

 

黄金九頭龍さんも楽勝でした。

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1戦目は卜部季武さんに頑張っていただく、

2戦目は長慶さん以外の兵器で瞬殺、

3戦目は長慶さん兵器で瀕死にして卜部季武さんスキルでとどめ、

という感じです。

 

 

 

調子に乗って伊邪那美さんとも戦ってみましたよ。

 

バン!

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バン!!

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バン!!!

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まあ攻撃されたらあっさり沈むので2回コンティニューしたんですけどね。

京から追い出されてもすぐに舞い戻ってくるのが細川晴元さんなので、コンティニューに抵抗がなくなってしまいました。

いけないいけない、政権運営に締まりがなくなっている。

 

 

本家も含めて、好きな武将で好きなように遊べるのが信長の野望シリーズのいいところだと思うんです。

これから先の20XXも、特定武将が必須にならず、推し武将中心のパーティでも工夫すればなんとかクリアできるようなゲームバランスを保ってくださいますように。

 

 

 

 

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おまけ

 

以下、いわゆる二次創作です。

即興で書いた細川晴元パーティの物語。

痛いやつなのでそうゆうのが苦手な方は何卒ご遠慮くださいませ。

あと、201X第1部ラストのネタバレ要素を含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

「なんだあれは」

「あれが伊邪那美だというのか」

「化け物ではないか、あんなやつとわしが戦うのか!? そ、宗三はどこじゃ!」

「宗三殿を外の国へ視察に出したのは晴元様でしょう」

 

細川晴元たちが喚いている。

無理もない。

眼前に現れた化け物は、女神と呼ぶには醜悪に過ぎる存在だった。

 

 

 

細川晴元は、錚々たる大名たちが伊邪那美封印のために上洛してきたのは、自分の威光のおかげだと信じ込んでいた。

その上で、最後の敵は京の主たる自らの手で討ち果たしてこそ、と言ったのだ。

 

それが、戦闘が始まったとたんに後悔の悲鳴を上げている。

 

 

好都合だった。

この戦いは、晴元の指示通り、「偵察用どろーん」によって大名たちや京の町衆たちへ映像が送られている。

伊邪那美に対する戦いぶりが、そのまま戦後の力関係に反映する。

晴元が怯懦な本性を示せば、細川京兆家の権勢が揺らぐ。

逆に、木沢長政が――成り上がった下衆として知られる自分が――戦功をあげれば、希望なき民どもを奮い立たせることができる。

 

 

瞬間、地が揺れた。

伊邪那美が放った光が大地を割ったのだ。

大木の杭を何百人がかりで打ちこんでもこのような威力は出せまい。

 

 

 

「な、何をしている、わしを守れ、守らぬか!」

「晴元殿、落ち着かれよ。外の国の銃も、威力では負けていない。巨体とはいえ、神とはいえ、これまで打ち倒してきた化け物とそうは変わらぬ。皆、構えを」

六角定頼が冷静に晴元をなだめ、そのまま部隊を指揮し始めた。

定頼からすれば、自慢の六角家弓衆を指揮するのとそう変わらないのかもしれない。

 

……気に入らない。

定頼の身体が、いつものように金色に輝いている。

長政の目につけている「すかうたあ」を通してみると、武将たちの「格」を見ることができるのだった。

 

定頼は「金」。

晴元も「金」。

波多野秀忠、いや、稙通も「金」。(いつの間に改名したのだ?)

 

特筆すべき家格や能力を有する者は、どうやら金色に輝いて見えるらしい。

凡愚は「緑」や「青色」。

没落した守護も「緑」や「青色」。

 

三好長慶は虹色に光っているが、これはよく分からない。

長政は他に虹色の光を見たことがなかった。

三好家は呪われた家系だから、元長の死霊でも憑りついているのかもしれぬ。

 

 

自分は「銀」だった。

あの筒井や柳生たちですら「金」なのに、その上位に君臨する自分が「銀」なのだ。

成り上がり者の限界を見せつけられているようで、無性に気に障った。

 

 

 

定頼や稙通の放った銃弾は、確かに伊邪那美に効いていた。

 

だが、伊邪那美は倒れる素振りもない。

 

……埒が明かない。

 

 

「陣を組もう」

この戦いで、初めて意見を述べた。

皆の視線が自分に集中する。

「縦に陣を。わしが先頭に立つ。隙をつくってみせる」

 

「危険です」

長慶がしたり顔で言う。

前に出るなら自分が、という態度。

それも気にくわない。

 

「わしの命が一番軽い。

 わしはお前の父に借りがある。

 わしは京を放棄して逃げたこともある」

 

仲は悪いが、付き合いは長い。

これだけで一同が納得した。

 

 

 

「続け!」

先頭に立ち、「えむしーきゅーびー」を放った。

たいした威力はないが、敵の隙をつくり、後続を支援するのに向いている銃だ。

 

突破力に優れた縦陣から、次々と銃が放たれた。

轟音と、硝煙の匂い。

伊邪那美の切り裂くような悲鳴が重なる。

 

 

そして――

 

激怒した伊邪那美の光線が、長政の胸を貫いていた。

 

 

 

これでいい。

一番槍をつけたようなものだ。

残った四人なら、後は何とかするだろう。

 

木沢長政のおかげで勝てた。

木沢長政のようになりたい。

この戦いを見ている民の中から、そのうち金色の成り上がりも生まれてくる。

下衆共の「えむしーきゅーびー」になれたのなら、それでいい。

 

身体から、銀色の光が消えていく。

金色にはなれなかった。

だが、銀色とて、あの足利義晴と同格なのだ。

 

悪い気分ではなかった。

 

 

 *

 

木沢長政の働きは極めて大きかった。

 

波状攻撃に耐えられなくなった伊邪那美が、翼を拡げ、なりふり構わず襲ってくる。

攻撃は酷くなったが、それだけ余裕がない証だ。

 

このまま押せば、

とりわけ長慶の銃をあと数度撃ち込むことができれば――

 

 

そこまで考えた時、初めて頭を覆っている違和感に気づくことができた。

 

なぜ、あの長慶なぞを当てにしているのか。

 

天下之執権として名高い、この六角定頼が、である。

 

 

定頼の記憶にある長慶と、いま眼前にいる長慶。

 

どこかが違っていた。

 

 

定頼の記憶にある秀忠と、いま眼前にいる稙通。

 

何かが違っていた。

 

 

何より、

記憶にある己と、いま「ふぁうすとぴーすりー」を振り回している己が。

 

 

「全く違う」

 

 

「何か仰ったか、定頼殿」

「稙通殿、この世界、何かおかしいと思わぬか」

「…………」

 

稙通の表情に微妙な揺らぎが伺えた。

言葉にしたことはないのだろうが、感じるものはあるのだろう。

 

 

「おのぉれええ!」

伊邪那美が腕を叩きつけてくる。

 

鬱陶しい。

再度「ふぁうすと」を放って距離を取った。

続けざま、稙通も「ふぁうすと」を喰らわせる。

二人の連携に、晴元は喜色満面だ。

 

 

「ふぁうすとぴーすりー」はよい武器だった。

しかし、いったい自分はいつ、このような武器の操り方を覚えたのだろう。

使い方は分かるのに、どうやって使えるようになったのかは思い出せない。

 

 

「…………」

「定頼、どうした」

「晴元殿。わしも長政に続こうと思います」

「な、何を。お主は最後までわしの傍におれ。突撃ならば長慶にさせよ」

「いや、ここはわしでなければ」

 

問答を続けようとは思わなかった。

「ふぁうすと」に次弾を装填し、稙通・長慶に連携を指示。

 

伊邪那美に的を向ける。

ひとつ、ふたつ。

呼吸を整えた。

 

「早く撃て! 何をしておる!」

 

晴元が叫んだ瞬間、伊邪那美の口許が怪しく輝き始めた。

同時に引き金を引く。

 

刹那、いままで以上の爆炎が周囲を包んだ――――。

 

 

 

 

「殿、ご無事で」

「ご苦労。お主に借り受けていたもの、役に立ったわ」

 

迎えに現れた三雲定持に「すてるす迷彩」を手渡す。

舞い上がる粉塵に身を隠し、定頼は京の郊外まで無事に辿りついていた。

 

「よろしいのですか、戦列を離れて」

「よい。邪神などと争うておる暇はないことが分かったのでな」

「は……?」

 

 

元々、晴元のために六角家の力を使い切るつもりなど毛頭なかった。

 

そして、それ以上に、やらねばならぬことができた。

 

 

「定持よ、外の国のえーじぇんとは、観音寺城にほとんど現れぬだろう」

「浅井や蒲生の館にはしばしば訪れてくるようですが」

「それよ。近江に来るえーじぇんとは多い。されど、六角を相手にしておらぬ。公方、京兆家、近国の領主ども、比叡山本願寺。誰もがわしの顔色を伺おうとするのにな」

「言われてみれば……」

「外の国の者どもに、なぜか六角は知られておらぬのよ」

 

今後は、外の国の武器や知識なしには戦も政も成り立たない。

 

「新たな戦は、六角の徳と武威を外の国に知らしめる戦ぞ」

「雲をつかむような話ですが、難儀な戦になりそうですな」

「わしがその気になれば、出来ぬことなど何もない」

 

 

わしたちの戦いはこれからだ。

 

伊邪那美との戦いは、あの長慶が首尾よく仕上げるだろう。

わしの記憶よりも大きくなっていた、あの長慶ならば。

 

 

 *

 

「まさか……定頼まで……馬鹿な……こんな……」

「晴元様、お気を確かに」

「ええい、煩い! なぜお主らが残ったのだ! なぜ宗三がおらぬのだ!」

「宗三殿に頼り切りのように見られたくないと、宗三殿を外の国に送り出したのは」

「わしじゃ! 分かっておるわ!!」

 

事態は最悪と言ってよかった。

 

先ほどの連続砲撃が功を奏し、伊邪那美を相当追い詰めた手ごたえはあった。

それはよい。

だが、そのせいで定頼を失った。

後に残ったのは、あまり信の置けない波多野稙通(息子ならよかったのだが)と、全く信の置けない三好長慶である。

 

このままだと、おちおち伊邪那美を攻撃してもいられない。

とりわけ長慶は、涼しい顔をして背中を撃ってきかねない不気味さがあった。

 

 

すると。

 

「……晴元様、お退きくだされ」

「えっ」

「ここは、わしと婿殿で引き受けましょうぞ」

 

稙通が、唐突に、渡りに船な提案をしてきた。

 

 

「よいのか」

「このままでは禁裏に被害が及びかねませぬ。晴元様は皇宮を守護し、我々は晴元様の指示通りに伊邪那美を討伐した。そういう筋でどうでしょう」

 

長慶も事も無げに言う。

 

 

考えてみれば、こやつらの言う通りではあった。

自ら言い出したこととはいえ、このような危険な場に京兆家当主たる自分がいつまでもいていい道理はない。

むしろ、晴元の身を全力で守るのがこやつらの役目である。

 

「うむ、苦しゅうない」

「それでは、あのコケラを撒かれ身動きが取れなくなる前に、疾く疾く――

 むっ、晴元様、危ない!」

 

一瞬のこと。

 

今までないほどに凝縮された呪力が伊邪那美から放たれた。

そう理解できたのは、長慶が身を挺して晴元をかばい、重傷を負ってからだった。

 

「ご無事で」

 

長慶。

なぜ微笑む。

なぜわしを庇う。

わしは、お前の。

 

「晴元様の身に何かあれば、美しい京の都は再び戦乱に塗れてしまう。

 そのような光景はもう、見たくはありませぬ」

「な、長慶……」

「今のうちに、お退き、あそばせ……」

 

 

もう見たくはない光景。

 

もう見たくはない光景だと。

 

わしは。

わしが、もう見たくない光景は。

 

 

「晴元様、早う! 次の攻撃が参りますぞ!」

「ええい!」

 

二人を避難させようとした稙通を突き飛ばし、駆けた。

 

駆けて、駆けて。

 

伊邪那美の眼前に躍り出た。

 

 

「図が高いぞ! このタワケ神がァ!!」

「な……私を……タワケ神……だと……」

「わしを誰だと思っておるのか!!」

 

呆気にとられた伊邪那美を睨みつけ、両腕をいっぱいに広げて叫んでいた。

 

「我こそは細川京兆家正嫡、天下を統べる細川六郎晴元であるぞ!

 タワケ神よ、望みがあるならば媚びよ! 憐憫にすがってみせよ!

 気が向けば社のひとつも建ててやろうぞ!」

「愚かな……あの人の子は……これほどに愚かな……」

「妄執と笑わば笑え!」

 

伊邪那美の全身から、幾筋もの光が襲いくる。

そのすべてを、晴元は身を挺して受け止めていた。

 

「稙通! 長慶!

 いまのうちぞ、手当せよ! 次弾を装填せい!」

呪力の帯が晴元の身を縛り上げ、無防備な肉体を光が貫く。

 

「苦謀なり……苦謀なり……」

「黙れ! 

 思い出したわ、わしは、次こそは! 

 誰も見捨てぬ! 誰からも見捨てられぬ!

 真の天下管領の位を、築いてみせると誓ったのよ!!」

「次の命も……まもなく果てよう……」

「ぐっ……ゴフッ」

 

血が止まらない。

意識が朦朧としてきた。

痛みはとうに通り越し、痺れが全身に広がる。

 

だが、背後の二人が準備を終えたことは分かった。

 

 

ゆけ、誇り高き我が内衆よ。

細川の、天下の敵を滅して参れ――――。

 

 

 *

 

終わりは近い。

晴元と引き換えに、二人は伊邪那美に決定的な傷を与えていた。

 

だが、伊邪那美はいまだ斃れてはいない。

 

決着に向けて互いに気を練り上げている、奇妙な静けさ。

戦のさなか、不意に訪れるそんな瞬間が稙通は好きだった。

 

「二人きりで話をするのは、久しぶりだな」

「ええ、養父上」

 

自慢の婿は今日も朗らかで、冷静で、大きい。

 

伊邪那美は、自分を棄てた旦那を恨んでいる」

「……はい」

「そして、旦那にもう一度会いたいとも願っている」

「…………」

「二柱の婚姻を寿いだ神々たちも、天で怒っているだろうな」

「養父上、目が怖いのですが」

「肝を冷やすのはこれからぞ」

 

婿は苦笑いするのみである。

自分に向ける表情はそれでよかった。

 

 

「動くな、婿殿はもう少し充填に時間をかけた方がよい」

「充分でなくとも、二人で同時にかかれば」

「そんな甘い敵でないことは分かっているだろう。

 次はわしの番だ」

「借りがあるのは私の方です」

「返す相手はわしではないはずだ」

 

拳を長慶に突き出す。

長慶もまた、拳を突き出して当て合う。

 

 

「婿殿よ。

 神々も不便なものよな、不滅であるが故に来世へ往くことができぬ」

「…………」

「夫婦の契りは二世の契り。

 人は来世でまた、結ばれればよい」

「……今この時が来世なれば」

「そう、娘も孫も婿殿も。健やかに、長生きするのだぞ」

 

 

 

右手に「ふぁうすと」を、左手に「予備弾倉」を。

 

棄てられし女神よ、来たれ。

丹波は鬼の住まうところ、神の喉笛噛み砕く馳走で迎えようぞ。

 

さらば。

さらば――――。

 

 

 *

 

「なぜ……なぜ……私を滅ぼそうとする……

 私は……あの人のことも……

 あの人の子……お前たちのことも……」

 

「……神よ。

 貴女を滅ぼすのは我々ではない。

 貴女自身の怨念であろう」

 

「愛する者を失う苦しみ……

 お前は……お前こそは……

 誰よりも分かっているはず……

 分かってくれるはず……」

 

「どれほどの嘆きを孕んでいようと。

 高位の者が私心に囚われていては

 天下のためにならぬ。

 それが神であれば尚更よ。

 旧き神々は異界に大人しく控え、

 人の世は人にすべてを委ねるがよい」

 

「おのれ……おのれ……許せぬ……許せぬ……

 その魂……黄泉に連れてゆく……」

 

崩れゆく伊邪那美の総身から黒い炎が吹き上がり、長慶を包んだ。

 

 

されど。

 

 

長慶の周囲は藍色に眩しく輝き、黒炎が身を焼くことはなかった。

 

 

「馬鹿な……

 なぜ燃えぬ……なぜ滅びぬ……

 その力……いったい……」

 

「もはや思い出せぬか。

 これこそ貴女が失った力。

 寛容の力である」

 

「寛容……

 許す……力……だと……」

 

伊邪那美命に畏み申す。

 貴女を許し、貴女の苦しみをほどいてみせよう。

 三好長慶介錯し奉る――」

 

 

引き金を静かに引いた。

 

「じゃべりんわんふぉーえいと」から放たれた巨弾が、伊邪那美に吸い込まれてゆく。

 

 

やがて、悲嘆にも喜悦にも聞きとれる叫び声とともに、伊邪那美の存在が過ぎ去っていった――――。

 

 

 

 

 

「――さん、長慶さん。大丈夫ですか?

 勝利の反動でいつもの症状が出ていませんか?」

 

「む……気分は晴れやかである。

 聞いてみよ、伊邪那美を封じた穴から、

 妙なる音色が漏れ聞こえてくる」

 

「あーー本当ですね。

 はつなさんが言ってたんですが、

 たまに他の時代と穴が繋がっちゃうらしいですよ」

 

「この調べは、長慶子であろうか」

 

「長慶子といえば、宴の閉幕を知らせる雅楽ですね。

 平安時代源博雅さんという公卿が作曲したと伝えられています。

 (この場面、そして長慶さんにぴったりかもしれませんね!)」

 

「王朝時代の京へまことに繋がっているのなら、

 九条稙通卿がこの場にいれば歓喜するであろうな」

 

「あはは。そうかもしれませんね。

 魔境が頻繁に発生していても、さすがに平安時代へ行く

 機会なんてないでしょうし。

 たぶん……。

 あっ、京の各地を守護していた方々がお見えですよ」

 

「おう、お主らは下がっておれ。

 殿! よくぞご無事で……くう」

「殿の大勝利じゃ!」

「この上もなくめでたいのう!」

「はっはっは!」

 

 

神は去った。

細川家の一同は行方知れずとなった。

諸大名の処遇も含め、当面は大きな混乱が続くだろう。

 

それでも、

この生、この時を、いまはただ慈しんでいたい。

 

長慶を必要とする民や家臣、家族がいる限り――――。

 

 

 

おしまい。

 

 

 

 

イザナミさんと戦っているとだんだん前世の記憶が戻ってくる」という余計な設定を思いついてしまって、さらさら書き始めたらこんなに長くなってしまいました。

 

最後まで読んでくださった方がいるのなら申し訳ございません。

暇つぶしになったのであれば幸いです。

つまらなかったり気持ち悪くなったりした方にはマジすみません。

 

 

 

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おまけ2(2020/9/5追記)

 

イザナミさん、このパーティで戦えば楽勝でした。

やっぱり防御キャラは大事ですね。

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麒麟がくる「第二十二回 京よりの使者 感想 足利義輝=ノンマルト説か」

 

円谷チャンネルで無料公開中のウルトラマンマックス9話「龍の恋人」を観ていたら、もしかして麒麟がくる復活22話「京よりの使者」はウルトラセブン「ノンマルトの使者」オマージュだったのかなあと思い当たりかんたんしました。

 

www.nhk.or.jp

 

www.youtube.com

 

 

以下、畿内戦国史およびウルトラセブンに関する浅薄な知識をベースにした戯れ言ですのでご留意ください。

 

「ノンマルトの使者」についてはあえて解説しませんが、初代ウルトラマンジャミラ回同様、子どもたちに「正義とはなんぞ」を問いかける名作ですので興味があれば調べてみてくださいまし。

 

 

 

 

 

 

再開した大河ドラマ麒麟がくる」。

 

やっぱり面白いなあとか、

三好長慶さんお亡くなりになっちゃったなあとか、

でも明智光秀大河の折り返しまで三好長慶さんが生きてたのは奇跡的だなあとか、

色々とかんたんする点が多くてタイトル名がウルトラセブンオマージュなんじゃないかという話題をすっかり失念しておりました。

 

どちらかというとパッと連想したのはハイロウズの「日曜日よりの使者」の方で、越前に逼塞している明智光秀さんを「どこか遠くへ連れてってくれる」「(出家しますとか)適当な嘘をついてその場を切り抜けるのも上手な」細川藤孝さんステキだなあとか当初は考えていたんですよね。

 

 

 

以前、第6回「三好長慶暗殺計画」と「セブン暗殺計画」を引き合いに、確かに三好長慶さんがウルトラセブンに似ているのは周知の事実ですよねということを書いたことがあるのですが、

麒麟がくる「第六回 三好長慶襲撃計画 感想とウルトラセブン」 - 肝胆ブログ

 

 

今回の「京よりの使者」=「ノンマルトの使者」であることを踏まえれば、

足利義輝」=「ノンマルト」

ということは確実視してよいでしょう。

 

 

地球の先住民ノンマルトが、現在の人類に追われて海底に逃げ延びたのと同様。

室町幕府の足利将軍もまた、三好家や織田家に代表される成り上がりどもによって京から追放されてしまうのであります。

 

 

「京は公方様のものなんだ」

 

「三好家が京を侵略したら、公方様はだんぜん戦うよ」

 

「公方様は悪くない! 三好家がいけないんだ! 足利家は三好家より強くないんだ! 攻撃をやめて!」

 

 

ハマり過ぎててヤバイ。

 

NHKさん、これは大胆過ぎやしませんか。

 

 

 

かつてのちびっ子たちがノンマルトに同情し、ウルトラセブンやウルトラ警備隊の正義に揺らぎを感じたのと同じように。

 

現代の大河ドラマ視聴者も、まずは足利義輝さんに同情し、三好長慶さんや三好家の横暴に憤りを覚える訳なのです。

 

 

 

されど。

 

 

 

原典のノンマルトの使者も、そう単純な話ではございません。

 

そもそもノンマルトは本当に地球の先住民だったのか。

侵略宇宙人がフカしていたんじゃないのか。

ノンマルト側にも海底に追いやられるだけの罪や問題を抱えていたのではないか。

ノンマルトは海底資源探査船を攻撃したりと人類に現実の危害をもたらしており、ウルトラ警備隊はあくまで防衛に努めただけではないのか。

 

等々の「よく考えるとどっちかだけが正しいというものでもないよな……」「どうしたらよかったんや……」要素に満ちておりますので。

 

 

麒麟がくる視聴者も、やがては「三好家には三好家の言い分や道理があるのでは」「どうしたらよかったんや……」という気持ちを抱くに至ることでありましょう。

さあみんな畿内戦国史に触れてみようぜうひひ。

 

 

 

 

いや、本当にノンマルトオマージュというのは深いものがあると思うんですよね。

 

 

ウルトラセブンたる三好長慶さんは、足利義輝さんが放ってくる刺客や軍勢を撃退はしたけど、足利義輝さんを直接弑逆してはいない。

むしろ、足利義輝さんと敵対することに葛藤し続けている。

それでも、民の平和のために葛藤を呑み込んで、足利義輝さんが相手でも戦うんだ。

 

 

ウルトラ警備隊たる三好三人衆は、当初は足利義輝さんを弑逆するつもりまではなかったけれど、現場での咄嗟の判断で永禄の変を起こしてしまう。

「やっぱり攻撃だ!」

二条御所は完全に粉砕した! 我々の勝利だ! 天下も我々三好家のものだ!」

 

※美濃のマムシに育てられた明智光秀さん=毒蝮三太夫さん説は一旦忘れてください。

 

 

足利義輝さんは、それらしい大義名分を有してはいるものの、計画性のないテロリズムで治安を乱しているのも事実。

更に、大事な大事な取次の人選や方法でもミスっている気がするぞ。

 

 

そもそも、ノンマルトを海底に追放したのは現人類の発展によるものなのだから。

足利将軍が何度も京から追放されたのもまた、当時の社会そのものの発展に伴う構造的帰結だったのではないか?

 

 

 

こんな風に、畿内戦国史において現在進行形で議論が盛り上がっていて、いまだ定説の形成にまで至っていないような難しい論点を、「ノンマルトの使者」を投影することで非常に分かりやすく視聴者に伝えてくれるNHK!!

 

学問とドラマ演出の、クオリティ高過ぎるマリアージュに脱帽です!!!

 

 

 

以上、NHKさんやっぱ半端ねェわという記事でございました。

 

こんな深い仕込みをしているくらいですから、麒麟がくる全般においてまだまだ気づいていない演出や伏線もあるんでしょうね。

 

 

来週あたりかもしれませんが、足利義輝さんの散り際が美しいものでありますように。

三好家へのフォローも時々はありますように。

  

 

麒麟がくる「第二十三回 将軍の器 感想 足利義輝の美しさ」 - 肝胆ブログ

 

 

「室町幕府分裂と畿内近国の胎動 感想」天野忠幸さん(吉川弘文館 列島の戦国史④)

 

天野忠幸さんによる畿内戦国史の通史本が近年の各領域の研究をふんだんに取り込んだ完成度の高い逸品でかんたんしました。

さいきん歴史好きの間では注目を集めていますし、まさに足元では大河ドラマで取り上げられているテーマでもありますし、これからもこの界隈のコンテンツは増えていく気がしますので、広くおすすめしたいと思います。

 

www.yoshikawa-k.co.jp

 

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16世紀前半、明応の政変などを経て室町幕府は分裂。分権化が進み、新たな社会秩序の形成へと向かう。三好政権の成立、山城の発展、京都や大阪湾を取り巻く流通などを描き、畿内近国における争乱の歴史的意味を考える。

 

 

 

まず、大事なことなので、この本の目次を細かめに引用させていただきます。

将軍の更迭・追放・殺害の反動――プロローグ

    混迷の畿内

    足利将軍の秩序

    胎動する「天下」

 

一 将軍家・管領家の分裂

 1 復位する将軍足利義稙細川高国

    京兆家内衆たちの綻び

    永正の錯乱

    細川澄元と三好之長

    畿内近国の大名による連立政権

    畠山尚順の構想

    大内義興の苦悩

    義稙と高国の決裂

 2 朽木大樹足利義晴堺公方足利義維

    柳本賢治の挙兵と三好元長の渡海

    堺公方の内憂外患

    大物崩れ

 3 天文の宗教一揆

    一向一揆の蜂起

    法華一揆の成立

    天文法華の乱

    和睦から復興へ 

    義晴を支える六角定頼と内談衆

 

二 三好政権の成立

 1 守護家を越える守護代

    木沢長政の台頭

    細川晴元権力と三好宗三

    遊佐長教の基盤

 2 三好長慶の台頭

    摂津の本国化

    京都で将軍になれない足利義輝

    江口の戦いの構図

    将軍家・管領家の分裂の終焉

    足利義輝の追放

 3 将軍を擁しない支配

    守護代・国人の後見

    三好長慶足利義輝批判

    三好長慶の裁許

 4 東アジアとの関係 

    大内氏日明貿易と聖一派

    池永一族から日比谷一族へ

    三宅国秀と朝倉義景琉球貿易参画

    臨済宗大徳寺派琉球の交流

    法華宗日隆門流と鉄砲

 

三 畿内社会の様相

 1 荘園・村落の世界

    日根荘と『政基公旅引付』

    上久世荘における被官化

    大和の三里八講

    河内十七箇所と淀川中下流域の大荘園

 2 都市の発展

    京都と都市共同体

    奈良と興福寺

    堺と会合衆

    大坂と寺内町

    災害からの復興

 3 首都を取り巻く流通

    戦争と撰銭

    京郊の土豪

    六角氏の流通統制

    撫養隠岐守後家阿子女

 

四 宗教と文化

 1 顕密寺社の力

    根来寺

    白山平泉寺

    石清水八幡宮寺と淀川流域の都市

 2 新たな宗教勢力

    本願寺教団の苦悩

    証如と『天文日記』

    法華宗寺院の結合と永禄の規約

    キリスト教の受容

    キリシタンの誕生

 3 公家の活動

    山科言継の生活 

    久我家の経営

    苦悩する天皇

    公武の架け橋となった広橋保子

 4 武家と民衆を結んだ文化

    御成記の世界

    清原氏と学問の広がり

    洛中洛外図屏風の世界

    京都の町衆の文化

    茶会記の世界

    千句連歌

 

五 領国の支配

 1 城と城下町の構想

    山城の発展

    魅せる城

    惣構の志向

 2 支配の枠組み

    新しい地域の形成

    新たな課税

    戦争への動員

    村落間相論の裁許

 3 惣国の一揆

    伊賀の惣国一揆

    甲賀郡中惣と宇陀郡内一揆

    宇智郡の二つの一揆

 4 諸大名の支配

    赤松氏と女当主洞松院

    山名氏の凋落

    若狭武田氏と小浜

    朝倉氏と一乗谷

    能登畠山氏と七尾城

    飛騨三木氏と国司姉小路

    伊勢国司の北畠氏

    斎藤道三と一色義龍父子の国盗り

    浅井氏と菅浦

    六角氏と式目

 

六 相対化される幕府

 1 室町幕府三好政権の対立

    永禄改元をめぐる葛藤

    将軍に結集する主家に代わった大名

    楠氏の勅免

    三好長慶足利義輝の緊張緩和

 2 足利義輝の改革

    近衛一族との連携

    積極的な栄典付与

    進まぬ和睦調停

 3 永禄の変と天下再興

    教興寺の戦い

    甲子改元

    永禄の変

    三好三人衆松永久秀の対立

    足利義昭織田信長の上洛の構図

 

統一政権の前提――エピローグ

    「天下」の変革

    京都盆地から大阪平野

    長慶と信長、そして久秀

 

あとがき

参考文献

系図

略年表

 

赤字のパートは、畿内近国トピックスで、耳新しいしこれから一層注目されていくんじゃないかなあという要素です。

 ※あえて三好長慶さん関係は控えめにしています

 ※あくまで私の主観で取り上げています

 

武家で言えば畠山家や六角家、朝倉家等。

足利家については、天下や秩序に対する将軍家の役割。

新興層の成長や広域での結合が認められる地域社会のありよう。

公家や宗教界が担った役割と苦悩。

普及していく学問と新進アート。

 

これまで歴史ファンの間でも空白気味だった畿内戦国社会が、こんなにイキイキ面白そうな様子であることがよく分かりますね。

室町時代の社会の仕組みや、畿内戦国史の経緯が一層広く知られるようになり、その延長線上で織田信長さん以降が語られるようになれば、我々が触れる戦国時代はますます重層的に、魅力的になっていくと思います。

この本は完成度がとても高いので、できれば戦国時代系のライターさん等、世の中に戦国時代を紹介する役目を担う方には是非読んでいただきたいなあ。

 

 

各方面の最新研究を丁寧に取り上げてくださった著者の天野忠幸さんはさすがだと思います。

例によって三好家贔屓は隠しようもありませんし、足利義輝さんへの厳しい評価も健在ですが、一方で足利将軍家が規定する天下秩序機能や、三好長慶さん以前の六角定頼さん・柳本賢治さん・木沢長政さん等の評価向上が見られ、天野忠幸さんもまたご見識をアップデートされていることがよく分かりますね。

詳しくは紹介しませんが、「あとがき」が名文なので皆さん最後まで読みましょう。

 

 

 

個人的に「おっ」と思ったことを三点ほど。

 

一つ目は遊佐長教さんの弟=杉坊明算(根来寺)さん説。

ぜんぜん知りませんでした。

詳しく知りたいものですし、遊佐長教さんという魅力的な人物がもっと深掘りされていってほしいですね。

 

 

二つ目は撫養隠岐守さんの後家の阿子女さん。

撫養氏は徳島県鳴門市界隈の領主なのですが、阿子女さんは天文十六年(1547年)、幕府の徳政令関係史料に名前が登場する人物でして、どうもやり手の金貸しなようです。

天野忠幸さんは、三好家伝統の阿波藍交易のアガリを元手に金融業を手掛けていたのではないかと推察されています。

 

以前、この本とは別のどこかで「三好家大河ドラマ化には女性が必要。ここはひとつ阿子女さんを」と聞いたことがありまして。

じっさい、三好長慶さんの物語をつくる上では、財政面を支援してくれる方がいると活躍の説得力が増すと思われ、通常では堺や西宮の方々がそれに嵌まりがちなんですが、確かに阿波弁でがめつくてアクと押し出しの強い萬田銀次郎系の女性がドラマにいても面白そうですね。

 

 

三つ目、個人的に一番盛り上がったのは奈良の饅頭屋林宗二さん。

林宗二さん! と言えば塩瀬饅頭の中興の祖として有名な方で、徳川家康さんと昵懇、長篠の戦いでも饅頭を献上したことが和菓子好きの間で知られています。

もともと関西で創業し、徳川家康さんとの関係で江戸に移って、いまでは東京名物の中でもトップクラスにもらって嬉しい饅頭であることは存じていたのですが。

www.shiose.co.jp

 

 

この本で、林宗二さんが清原宣賢さんから和漢の学問を学んだこと、吉田兼右さんたち京都の社交界とも親交があったこと、古今伝授を受けた連歌師でもあったこと等々に加え、松永久秀さんから饅頭の独占販売権を与えられたことを初めて知って、「ということは、塩瀬饅頭は徳川家康さんだけでなく、松永久秀さんも食べたことがあるのだろう。もしかしたら三好長慶さんにも献上されていたかもしれない」等と思うと非常にアガるものがあり、思わず塩瀬饅頭を買ってきてもらっちゃいました。

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桐紋が入りつつ落ち着いた色合いの紙袋デザインが好き。

ちなみに塩瀬家は、三好長慶さんよりも100年くらい前に天皇から桐紋を拝領している桐先輩なのだそうです。

 

塩瀬饅頭はスタンダードに大変美味しい薯蕷饅頭でして、薯蕷饅頭好きなら間違いありません。東京駅の大丸1階で売っていますので、東京に行く人が身近にいるならお土産にリクエストするといいと思いますよ。

 

 

 

以上、饅頭の件は完全に私の趣味ですけれども、

この本は畿内戦国史を通観する上でたいへん高品質ですので、初学者のとっかかりとしても、各方面ファンの学びを拡げる上でも、胸を張って推薦したいと思います。

 

「列島の戦国史」シリーズ、他の本も読んでみようかしら。

 

畿内戦国史の魅力がますます普及して、ファンも研究者も増えていきますように。

 

 

「享徳の乱と戦国時代」久保健一郎さん(吉川弘文館 列島の戦国史①) - 肝胆ブログ

「応仁・文明の乱と明応の政変 感想」大薮海さん(吉川弘文館 列島の戦国史②) - 肝胆ブログ

「大内氏の滅亡と西日本社会」長谷川博史さん(吉川弘文館 列島の戦国史③) - 肝胆ブログ

「東日本の動乱と戦国大名の発展」丸島和洋さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑤) - 肝胆ブログ

「毛利領国の拡大と尼子・大友氏 感想」池亨さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑥) - 肝胆ブログ

「東日本の統合と織豊政権」竹井英文さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑦) - 肝胆ブログ

「織田政権の登場と戦国社会 感想」平井上総さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑧) - 肝胆ブログ

「天下人の誕生と戦国の終焉 感想」光成準治さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑨) - 肝胆ブログ

 

 

 

 

 

 

小説「陰陽師 付喪神ノ巻 感想 1巻2巻より更に好き」夢枕獏さん(文春文庫)

 

小説「陰陽師」の3巻め「付喪神ノ巻」が、1巻2巻よりも更に抒情性を増した仕上がりになっていてかんたんしました。

好みは人それぞれだと思いますが、私はこの巻好きだなあ。

 

books.bunshun.jp

 

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以下、一部ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

付喪神ノ巻」に収録されている話は次のとおりです。

 

  • 「瓜仙人」瓜を使った術を操る方士に出会うお話
  • 「鉄輪」男に裏切られ生成(なまなり。鬼になる手前)になった娘のお話
  • 「這う鬼」男に裏切られ悪霊となった娘のお話
  • 「迷神」蘆屋道満さんが初登場し、死者を蘇生させるお話
  • 「ものや思ふと……」村上天皇の内裏歌合にちなむお話
  • 「打臥の巫女」蘆屋道満さんが再登場して藤原家を乱すお話
  • 「血吸い女房」雨乞いの儀式にちなむお話

 

 

2話め、3話めと男に裏切られた女の話が続きます。

平安時代らしい感じもしますね。

 

とりわけ「鉄輪」の完成度は素晴らしいものがございまして、男を恨んで生成になってしまった気の毒な女性「徳子」さんに対する源博雅さんの真っすぐな心、

「徳子殿。あるのだよ。泣こうが、苦しもうが、どんなに焦がれようが、どれほど思いをかけようが、戻らぬ人の心はあるのだよ……」

「―――」

「徳子殿。わたしはそなたに何もしてやれぬ。何もしてやることができぬのだ。ああ、なんという、なんという、力のない愚かな男なのだ、このわたしは……」

 

と涙する姿がまことに貴く、

 

また、人にはもはや戻れない徳子さんが、せめてもの慰めに源博雅さんの笛の音を所望する様、

「わかっております。みんなわかっております。わかっていても人は鬼になるのでございますよ。憎しみや哀しみを癒すどのような法も、この人の世にない時、もはや、人は鬼になるしか術がないのでございます」

「徳子殿――」

「お願いがございます。死して後、鬼となってあの為良を啖いたくなったおりは、博雅さまのところへ参ります。その時、笛を、吹いてはくださりませぬか」

「おう。いつでも、いつでも!」

博雅が言った時、女が、がっくりと首を落とした。

博雅の腕の中で、女の身体が急に重くなった。

 

まことに切なく、透きとおったものがございます。

 

各登場人物の魅力を存分に味わえる上、胸に残る余韻までが美しく、1~3巻のなかでもこの回は特におすすめしたいと思いますね。

 

 

 

もう1点この巻の見どころは、お馴染み安倍晴明さんと源博雅さんの関係性について。

 

 

陰陽師たる安倍晴明さんに対して、

 

初登場したライバル 蘆屋道満さんは

「晴明、人の世に関わるのもほどほどにせい。我等が人の世に関わるは、所詮座興よ。どうだ、晴明、ぬしもそうであろうが」

 

と言い、

 

数百年を生きる女性 八百比丘尼さんは

「人と、何かが違うというのも、何かが人より優れてしまうのも同じです。そういうことでは、お淋しいのは、晴明さま、あなたもおなじでございましょう」

 

と言い。

 

 

異能の持ち主である安倍晴明さんの孤独について焦点が当たるところ、源博雅さんだけは同じく孤独を指摘しつつも少し違った情趣をまといます。

「おまえが、どんなに世間に対して冷たくふるまってもだ、おまえのことがおれには時々わからなくなることもあるにしてもだ、おれは、おまえの、本当に本当のところはわかっているよ」

「何がだ」

「おまえが、本当は、自分のことを独りだと思っていることがだよ。正直に言えよ晴明。おまえ、本当は、淋しいのだろう。この世に、自分しかいないと思っているのだろう。おれは、おまえのことが、時々、痛々しく見える時があるのだよ」

「そんなことはないさ」

「本当か」

「おまえがいるではないか、博雅」

ぽつりと晴明が言った。

博雅は、とっさのことに、次の言葉を口にできずに、

「ばか」

そう言って、怒ったような顔をして歩き出した。

その後方から、晴明が微笑を浮かべながら歩いてゆく。

 

 

…………ッ!!

 

この関係性、この抒情性、もはや質量すら感じるのは私だけでしょうか。

 

 

陰陽師シリーズの安倍晴明さん、源博雅さんという土の上でだけ咲く花みたいでめちゃくちゃキュートですよね。

源博雅さんはもとよりキュートですし。

キュート×キュートで読者に「呪」がかかる陰陽師シリーズ。

これはハマる読者が続出するのも納得であります。

 

 

今さら陰陽師シリーズに手を出したおかげで、いつでも続巻を買うことができるという幸せ。

これから読み進めていく次巻以降にも、この「付喪神ノ巻」に匹敵するようなお気に入り回がたくさん収録されていますように。

 

 

小説「陰陽師 飛天ノ巻 感想 止まらない晴明と作者の源博雅アゲ」夢枕獏さん(文春文庫) - 肝胆ブログ

小説「陰陽師 鳳凰ノ巻 感想 書き出しの文章がいいよね」夢枕獏さん(文春文庫) - 肝胆ブログ

 

 

「とんかつの食べ方(食の軍師1巻by泉昌之先生より)」

 

新規開拓した近所のとんかつ屋さんがおいしくてかんたんしたので、名著「食の軍師」で取り上げられていたとんかつの食べ方を思い出しました。

 

www.nihonbungeisha.co.jp

 

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「食の軍師」はトレンチコートの男「本郷さん」が、脳内軍師とあれこれ脳内軍議しながら食べものを食べたり、勝手にライバル視している「力石さん」と張りあったりする漫画です。

 

巻が進むにつれて実在の飲食店のレポ漫画みたいになっていきましたので、作品独特の味わいや力石さんとの戦を楽しむのであれば1巻がおすすめ。

 

 

その1巻はまことに名作揃いなのですが、中でも5話「とんかつの軍師」は秀逸でして、主人公の本郷さんがとんかつ定食をどのような組み立てで食べ進めていくかを丹念に描いておられます。

 

 

流れを紹介いたしますと。

 

注文はまず「瓶ビール」

からの「上ロース定食(肉6切れ)、お新香だけ先、ご飯みそ汁後から」

 

食べ進め方は

  1. ビール
  2. お新香
  3. 右から2番目の肉を「塩レモン」
    (追ってビールを流し込む)
  4. 一番右の脂が多い肉を「ウスタジャブジャブカラシベッタリの計」
    ※この時、同時に一番左の肉にとんかつソースをたっぷりたらしヅケにする
  5. ご飯とみそ汁の援軍投入
  6. 「醤油カラシ」で肉
    (追って食う白い飯のうめえこと)
  7. キャベツにとんかつソース
  8. 「塩カラシ」で肉
  9. 「とんかつソースカラシ」で肉とご飯
  10. みそ汁で落ち着く
  11. 最後の「とんかつソースヅケ」肉でご飯をかっこむ
  12. 天下統一

 

というもの。 

 

 

とんかつの食べ方だけを抜き出せば、順に

  1. 塩レモン
  2. ウスターソース&カラシ
  3. 醤油&カラシ
  4. 塩&カラシ
  5. とんかつソース&カラシ
  6. とんかつソースヅケ

 

ということになりますね。

さすが泉昌之さん(泉晴紀さん&久住昌之さん)、とんかつの食べ方ひとつで、あたかも美しいオーケストラのような流れを組み立てておられます。

この「食の軍師」や「夜行」を読んで、マイ「食べ進め方」に開眼した方も多いことでありましょう。

 

 

食べ方は個人の好みですから、どんな調味料をつけようが味噌カツ一本槍になろうが何もつけずに食べようが全部OKですし、各々が自分なりのこだわりを持ってそれを語るというのも人類らしい高等な知性を感じられておつなものだと思います。

(押し付けなければ) 

 

 

参考事例として、私の場合の食べ方もメモらせていただきます。

とんかつやハンバーグやお好み焼は端から順に食べていきたい派なので、左から右に向かって順に食べていきます。

 

  1. とんかつソース(肉とソース両方のおいしさに満足する)
  2. 塩で食べて分かっている感を出す(おいしい)
  3. 醤油で食べて分かっている感を出す(おいしい)
  4. とんかつソース(でもやっぱりソースが一番やなと再認識する)
  5. とんかつソース&カラシ(「なんぞ大事なモン忘れてへんか?」「カラシや!!」と極道めしごっこをする)
  6. とんかつソース&カラシ(最高においしい)

 

書き起こしてみると、どろどろしたソースがやっぱり好きなようです。

おいしいんだもん、ソース。

 

 

こんなしょうもない話で盛り上がれるような人と、食事をともにしたいものですね。

 

とんかつを食べたい食べ方でいつでも食べられるような、えら過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいの暮らしを送れる人々が着々と増えていく世の中でありますように。

 

 

 

漫画「食の軍師とは 概要と力石」泉昌之先生(週刊漫画ゴラク) - 肝胆ブログ

 

 

 

肝胆ブログについて③

 

ぱんぱかぱん。

当ブログの記事数が600に到達いたしました。

 

もう3年以上続けていることになりますね。

これからもボチボチと無理のない範囲で続けていけますように。

 

 

節目ということで、ブログの文章や題材についてつらつらと書こうと思います。

 

 

ブログの文章については、文句ばかり言う年寄りにならないよう、ポジティブで、いいところを見つける系の内容になるよう、心がけてきたつもりでした。

新しい知識や経験を素直にインプットできて、素直にかんたんできるような生活習慣を身につけたいなあという動機だった訳なのですが。

 

あらためて記事を読み返していると、悪い意味でブログに慣れてきているのか、ところどころ偉そうであったり、それらしく批評しているようであったりして、本来のボケ防止という趣旨に沿っていない文章も散見されるなあ、と反省するに至りました。

 

分際を知るというのは大事でありまして、多少長続きしたり記事数が増えたりしても、あくまで当ブログは信頼性皆無の匿名素人ブログですし、もっと謙虚で、もっとおそるおそるした気持ちを大事にしなきゃなあと。

 

セルフ評価に基づく改悛ではありますが、せっかくのこの機に初心を思い返して、より無垢でフレッシュな文章を目指していきたいな、と感じた次第です。

自分なりによくよく頭を使い、題材についてしっかり理解しようと努め、的確で面白くて爽快な文章を書くことができれば、世間様に読んでいただくにせよ自分で読み返すにせよ満足度が高くなると思うのですが、なかなかハードルは高いものでありんすね。

 

 

 

ブログの題材については、自分のかんたんした気持ち優先で、自分が書きたいものを書くというスタンスにしています。

なんのマネタイズもしていないので収益ゼロですし、今後の仕事に繋げたい等の気持ちもゼロですので、世の中ウケを意識しなくていいというのは気が楽でよかったなあと、今にして感じ入っております。

 

例えば、愛好者の多いゲームや漫画の記事はアクセスを集めやすく、古い小説やマニアックな書籍の記事はアクセスが僅少なのですが。

前者へのアクセスを見て、「同好の士がこんなにいるんだなあ」というのもモチベーションが上がりますし、

後者へのアクセスを見て、「同好の士が存在するんだなあ」というのもモチベーションが上がるんですよね。

 

自分の好きな題材について語って、それに共感してくれる人がいてくれることに喜ぶ、多いと嬉しいし少なくても嬉しい、どっちの同好の士にも厚く感謝、というスタンスでこれからも続けていければなあと考えております。

 

 

なお、記事数が増えたので、少し前にカテゴリーという機能を使い始めてみました。

各記事にタグをつけたり、PC画面では右側にカテゴリーが表示されたりしています。

 

記事数が多い順に各カテゴリーについて触れますと。

 

「漫画・アニメ・特撮」

最近では、漫画は週に単行本10冊+主要週刊誌、アニメは気になったやつだけ、特撮はウルトラマンシリーズを主に見ている感じです。

記事にしていないけど最近注目している漫画は「忍者と極道」です。

 

「文学・一般書」

本は雑読で、週に1冊程度読んでいます。

まれに官能小説も読みますが、記事にしにくいです。

 

「歴史(畿内戦国史以外)」

時代や地域を限定せず、歴史は好きです。

本も読みますし史跡も訪れます。

ただ、あくまで素人レベルで、専門知識を持っている訳ではありません。

世界史ではスッラさんやヌールッディーンさん、韓琦さん等に関心を持っていますが、研究書や史跡にアクセスするのが難しいんですよねえ。

 

「三好家・畿内戦国史

土地勘があるのと、三好長慶さんが好きなのとで、歴史ジャンルの中でも特に関心を持っている領域です。

土地勘があると理解がはかどるし愛着も湧くので、お住まいの地域の歴史に親しむのはおすすめですよ。

 

信長の野望20XX」

毎日、朝と晩に20~30分ずつくらいプレイしています。

課金額は月に1万円。課金制のゲームをやるのは初めてなんですが、毎日1時間楽しめるならいいかなあと思っています。

主なプレイ目的は推し武将を使って良質な歴史創作ストーリーを楽しむことなので、強行戦はビビッて手を出せていません。

 

「アート・映画」

アート関係は月1-2回、映画は週1本見るようにしています。

終活している方から古い名作映画のDVDを100本以上いただいたので、しばらく楽しめそうです。

ただ、昔の映画は倫理観のズレとかで記事にしにくいことも多いんですよね。

例えば「掠奪された七人の花嫁」は、ダンスミュージカルとしては素晴らしい傑作なんですが、「女なんて攫ってきて一緒に暮らせば惚れてくれるんだよ」という漢らし過ぎる内容を穏便に説明するのが難しくて記事にできていません。

 

「おいしいもの」

各地域の名産品や、チェーン店で手に入るような品は記事にしやすいです。

一方、個人店や、人数限定イベントで食べたものは、特定性が高いので記事にするのを躊躇しちゃいますね。

ちっちゃい話ですが、匿名ブログでよかったなと思うのは、Aさんからもらったものを記事にして、Bさんからもらったものを記事にしないとBさんから睨まれる、みたいなややこしさがないところです。美食評論家を職業にしている人は、気遣いとか大変なんだろうなあ。

 

「ゲーム」「信長の野望

信長の野望20XXとは別に、1日30分程度ゲームをプレイしています。

やりたいゲームはたくさんあるのにプレイ時間の捻出が難しい。

こう書くと、数多の名作ゲームよりも優先度が高い信長の野望20XXはやっぱり凄いんだなあと再認識しちゃいますね。

 

「相撲」

スポーツ観戦では相撲がいちばん好きです。

特定の後援会等には入っていませんが、さいきんの一番の推しは大栄翔関です。

こないだ国技館に行ったとき、大栄翔タオルを買おうか悩んだのですが、万が一テレビに自分が映ってしまったらと思うと恥ずかし過ぎて耐えられそうにないので買えませんでした。冷静に考えればタオルを振らずにかばんにしまっておけばよかったんですが、買ったら振りまくってしまいそうですし。

 

 

 

 

最後に、アクセス数関係はこんな感じです。

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ときどき、ツイッターフェイスブック、ブログ等で記事を紹介いただいております。

また、定期的に当ブログを読んでくださっている方もいらっしゃるようです。

恐れ多いことで、また、なんの御礼もできませんが、心から感謝しています。

 

訪れていただいた方にとって時間の無駄にならないよう、もっといい文章を書いていければなあと思います。

 

今後とも何卒宜しくお願いいたします。