肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

漫画「君に届け 感想 友達のちづとやのちんがすごくいいよね」

 

今さらながら「君に届け」の原作漫画を全巻読みまして、全編通した丁寧な心理描写にかんたんするとともに、ちづとやのちんみたいな女友達ちょういいよねという気持ちがみなぎりました。

 

betsuma.shueisha.co.jp

 

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絵の線が感じいいなあ、完結したら全部読もうと思っていて忘れていて、いつの間にやら数年前に完結していたようで。

 

各種メディア展開されていた有名な作品なのでご存知な方も多いと思いますが、貞子似の主人公 爽子さんが、爽やかで男前な風早くんと恋愛する作品です。

 

 

君に届け」というタイトルがそのまま作品テーマになっておりまして、自分の気持ちを人様に伝えるというのは大変難しいことでがすから、各登場人物がなんやかやを通して悩んだり葛藤したりしながら自分の気持ちを自覚して、それを相手に勇気を出して届けよう、としていく流れの描写が全体通してまことに丁寧なんですよね。

主人公の爽子さんが当初コミュ障気味なところが上手く作品テーマに活きていて、成長っぷりを真っ直ぐに魅せてくれるのが素晴らしいと思います。

 

 

物語は、高校1~3年生の3年間を着実に進めていく展開です。

恋愛描写は基本的にキスまでで、それ以上の内容はボカされていますんで、子どもが読んでいてもそんなに不安にならないのもいいですね。

保護者サイドの心情もちゃんと描いてくれていますし。

表紙はプレーンなのに中身が過激なやつも多いっすからね少女漫画。

 

 

 

以下、けっこうネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトル漫画で主人公の戦いよりも展開を読みにくいサブキャラの戦いの方が面白いことがままあるのと同様、恋愛漫画もサブキャラの恋愛の方が面白かったりしませんか。

 

あくまで私の感想ですが、「君に届け」も女友達のちづ・やのちんの恋愛模様にめっちゃグッときました。

この二人、主人公の友人としても描写が最高なのに、それぞれの恋愛パートでも抜群に輝いてくれて、この作品のダブルMVP間違いなしだと思いますわ。

 

 

ちづ(吉田千鶴)

直球系の少女。自慢は足。

幼馴染の真田龍さんと関係を深めていくストーリー。

 

もともとは龍さんの兄へ幼い恋心を抱いていたこともあり、なかなか龍さんへの気持ちを自覚できないまま時間が流れていったのですが。

 

高校野球の選手である龍さんを応援するかしないか(勝利すると彼は地元を離れてしまうだろう、というシチュエーション)でヤキモキされまして。

本音では応援したいんですけどね、気持ちとしてはすねちゃいますよね。

 

 

そんな気持ちを溜めて溜めて、からの25巻。

龍さんの最後の試合。

 

 

詳しいセリフや展開は伏せますが、

私は正直言って泣いてまいました。

 

泣くわこんなん。

ちづさん、ほんまええ子やで……!

セリフの一つひとつに気持ちが乗っかっていて、こんな言葉届けられたらもう男も読者もたまんないですよね。

 

この作品には様々な恋愛のかたちが出てまいりますが、私はちづさんのような姿勢や言葉にいちばん憧れます。

 

 

 

矢野ちん(矢野あやね)

大人っぽい少女。あくまで中身は少女。

めちゃくちゃ察しがよくて周囲に気配りできるのに、自分自身に対しては察しがよくないのがかわいいという。

物語が進むにつれて魅力が深掘りされていくので、ほぼ第二の主人公。

 

 

彼女は高校三年間で数人の男性とお付き合いしたり恋愛したりいたします。

その恋愛遍歴がまた大変リアリティがございまして、

  • ナンパしてきた大学生と流れで付き合う
  • 告白してきた同級生と流れで付き合う
  • 優しいクラスメイトと付き合う
  • 先生に恋をする

 

という満腹セットな内容なのですよ。

 

一般的に漫画のキャラクターが複数人の相手と恋愛をすると読者からはウケが悪くなると言われますけれども、それは読者が漫画に夢を見たいからで、複数人の相手と恋愛をして、経験を積んで、だんだん自分に適した相手を幅寄せしていくというのはとても実際的で実用的な描写ですからね。

同世代の読者は爽子さんに夢を見つつも、やのちんに現実を学ぶのでありましょう。

 

とりわけ、優しくて満足度の高い三浦健人さんと別れたのは英断でした。

ふつうのキャラクター、ふつうの漫画、あるいは現実のたいていの高校生なら、多少の違和感があったとしても付き合い続けちゃうと思うんですよね。

あそこでケントと別れてこその「君に届け」ですし、別れを選んだこと自体がやのちんの大成長だと思います。

 

そして、そこから多少の間隔をあけて、担任「ピン」さんへの恋心を自覚して以降の恋する少女化は目覚ましかったですね。

序盤のクールで大人っぽい彼女からの距離感がすごいし、すごい魅力的です。

 

ピンさんへの恋は真っ当に実りませんでしたけれども、ちゃんと告白してちゃんと振ってもらうことを「必要な経験」として捉えているこの作品とやのちんは、強いなあとかんたんしました。

 

 

なお、ピンさんへの告白はまことに感動的なシーンなのですが、このコマだけは

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そこはかとなく「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」的なノリを感じてしまって惑いました。

流れを読まずに一コマだけを切り取ってはいけませんね。

 

 

 

 

 

 

君に届け、めっさ面白かったです。

もっと早く読んでおけばよかった。

 

くるみちゃんも好きなキャラなので、番外編も探してみようと思います。

 

健全な青少年の皆様が、ちづさんややのちんのような健全な友人に恵まれますように。

 

 

 

「交易の世界史 シュメールから現代まで 感想 溢れ出る刃牙文法」ウィリアム・バーンスタインさん / 訳:鬼澤忍さん(ちくま学芸文庫)

 

交易の世界史という、交易の観点から世界史の流れを追った書籍のダイナミックかつ巧みなレトリックっぷりにかんたんしまして、どこかで同じようなテイストの本を読んだことがある気がするなあと考え込んだところグラップラー刃牙だわと思い至りました。

 

www.chikumashobo.co.jp

www.chikumashobo.co.jp

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目次は次のとおりです。

 

上巻

はじめに

第1章  シュメール

第2章  貿易の海峡

第3章  ラクダ、香料、預言者

第4章  バグダッド―広東急行――一日五ディルハムで暮らすアジア

第5章  貿易の味と貿易の虜

第6章  貿易の病

第7章  ヴァスコ・ダ・ガマの衝動

 

下巻

第8章  包囲された世界

第9章  会社の誕生

第10章 移植

第11章 自由貿易の勝利と悲劇

第12章 ヘンリー・ベッセマーが精錬したもの

第13章 崩壊

第14章 シアトルの戦い

 

 

上下巻あわせて700ページほどを使い、壮大な人類の交易史を説いてくださります。

 

世界史を700ページで説明するのはもとより無理がありますから、ある程度は因果を単純化して書いていたり、たぶん専門の歴史学者や経済学者が見たら「そうか?」と思いそうな部分が含まれたりしている気もいたしますが、それはそれとしてダイナミックな通史を読む楽しさが充分味わえますので、個人的にはオーライです。

 

少し前にヒットした「銃・病原菌・鉄」という本と方向性が似ているかも。

 

 

 

基軸は、ざっくりと

上巻は「欧州vs中東・アジア」、ヴァスコ・ダ・ガマの登場により欧州の大航海時代イスラム商人やアジア商人に勝利するまで。

下巻は「自由貿易vs保護貿易」、確かに格差は生むし治安悪化のリスクも孕むけど、保護貿易よりは自由貿易の方がマシだよね。

となります。

 

著者は基本的に欧米びいきで自由貿易びいきな印象ですが、その上で文章表現が上手くて、ライバルサイドの「イスラム商人」や「保護貿易主義者」をかなり魅力的に書いてくれているので、極端に偏ったオピニオンにはなっておりませんのでご安心を。

 

と言いつつ、農業生産者等の関税・保護を求めがちな方々を若干煽っているきらいもありますのでその点はご留意ください。

個人的には、農協の人とか農水省の人とかが読むとかえって新鮮でいいんじゃないかなとは思いますが……。

 

 

 

面白いか面白くないかで言えば、世界史を力技で通史語りしているのだから面白くないはずはないですよね。

 

その上で、こうした通史の書き方って、著者の個性がもの凄く出ると思うのですけど、この本はグラップラー刃牙とどこかテイストが似通っていていいんですよね。

 

以下、この本の特徴と、対比する板垣恵介先生レトリックを紹介しますと。

 

  • 「交易」を人類の本能に根差した行為として位置付けている
    ⇔「闘争」を人類の本能に根差した行為として位置付ける刃牙シリーズ

  • 説得力を増すために、しばしば引用される各界有識者のコメント
    刃牙シリーズのインタビュー表現

  • ライバルサイドのイスラム商人や保護貿易主義者を魅力的に描く
    ⇔カマセであろうと魅力的にキャラを掘り下げる刃牙シリーズ

  • 食べもの飲みもの描写が妙に優れている(コーヒー等)
    ⇔食べもの飲みもの描写が妙に優れている(ナポ…モニュ…モグ…)

  • ダイナミックな展開と豊富なウンチク、巧みな表現で説得力を確保
    ⇔ダイナミックな展開と豊富なウンチク、巧みな表現で説得力を確保

  • 伝説的な逸話もどんどん採用
    ⇔伝説的な逸話もどんどん採用

  • テーマはシンプルに「どっちが良いか」
    ⇔テーマはシンプルに「どっちが強いか」

 

等と適当に書きましたが、じっさい読み味はかなり似ていると思いますので刃牙シリーズが好きなビジネスパーソンなどにはおすすめしたいところであります。

 

 

 

その他、個人的なツボとしましては、アラビア・フェリックス(幸福のアラビア……香料の産地)の“フェリックス”って、そうか、スッラさんのフェリックスと同じフェリックスだわと気づけたのが嬉しかったです。

 

あとは、リチャード・コブデンさんのヒーローっぷり描写が素晴らしいですね。

ここまでコブデンさんを格好良く書いた本もなかなかないと思います。全体的に19世紀の交易経済についての記述が充実していますので、界隈に興味がある人はご覧いただくといいんじゃないでしょうか。

 

 

 

冗談みたいなことばかり書きましたが、この本で描かれている

「交易は国家間の平和に繋がる」

「交易は国内に敗者を生む(他国商品に負ける自国生産者等)」

社会保障等で格差を補いながら、徐々に自由交易を広げていく/関税を減らしていくのが望ましい」

という主張は、賛成するにせよ反対するにせよ、現代人が避けて通れないテーマですから、考えるきっかけのひとつとして当著は優れていると思います。

一般的には「経済優先の人=社会保障を減らそうぜという人」のイメージが強いと思いますので、当著のような「経済を優先するならむしろ社会保障を厚くするべき」という思想は耳に優しいですしね。

 

 

人類がマクロな経済的成長を果たしつつ、ミクロな個々人の不遇にも寄り添えるような英邁さを手に入れることができますように。

 

 

 

「じゃりン子チエ 文庫版14巻 感想 掛け合いが楽しい巻」はるき悦巳先生(双葉文庫)

 

じゃりン子チエ文庫版14巻、周センセやジャリ屋の玉ちゃんが登場してますます賑やかになるとともに、各キャラのイキイキとした掛け合いが面白い、満足度の高い巻になっていてかんたんしました。

 

 

www.futabasha.co.jp

 

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14巻に収録されているお話は次のとおりです。

 

  • 秋風にいきなりギックリ
  • 不幸な顔でシアワセに
  • 鍼でイチコロ
  • 不幸がいっぱい
  • 逆襲の関節はずし
  • 花井センセのおみやげ
  • 眠る小鉄(上京編)
  • 眠り続ける小鉄奥多摩編)
  • テツのバクチ相手
  • おバァはんの出張カブ
  • 周センセとアベックカブを
  • 周センセのイジワル
  • 誰にでも出来る催眠術
  • ラクタで大儲け
  • ラクタと一緒にお正月
  • ファイティングポーズのカルメラ
  • 戦うカルメラ
  • 風呂敷をかぶっておたのしみ
  • 風呂敷男の逆襲
  • ジャリ玉が…ダンプに乗ってやってきた
  • 目まいのする一日
  • テツからの手紙
  • カレンダーがこわい
  • おバァはんのバースデー

 

 

以下、少しネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鍼の名人でカブ狂いの周センセがようやく登場です。

周センセは好きなキャラなのですが、こんなに登場が遅かったんですね。もっと早期に出てきていたものだとばっかり。

 

収録されているお話としては、周センセの登場、小鉄・アントニオジュニアの上京、カルメラ兄弟の過去、おバァはんの旧友ジャリ屋の玉ちゃん登場……という流れです。

濃いなあ。

 

ブリキのおもちゃが高騰し始めていたり、●年殺しという最近耳にしない空手の奥義が登場したりと、当時の時事ネタも嬉しいです。

 

 

 

この巻はそれぞれのエピソードが面白い上に、キャラ同士の掛け合いもレベルが高いのでいくつか紹介したいと思います。

 

 

小鉄&アントニオジュニア

小鉄

「どぉしたらええんや
 もぉチエちゃんの頭からワシは消されてしもたんやないやろか」

ジュニア

「おまえチエちゃんがらみになると全くタダの猫やな」

 

悪人と勘違いして周センセをKOしてしまい、焦る小鉄がかわいいのです。

 

 

 

ヤクザ×2

ヤクザA

「正ちゃん……そろそろ潮時やないかなぁ」

ヤクザB

「…………」

ヤクザA

「ワシら会社の帰りによぉ一緒にこぉして飲んでたよな

 こんなカッコしてぶつぶつ文句言いながら」

ヤクザB

「……ワシもずっとそれ考えてたんや

 文句ばっかりゆうてたけど今みたいな中途半端なヤクザやってるよりはまだ……」

 

テツの企みに巻き込まれて、サラリーマンの格好をすることになった通りすがりのヤクザ二人組。

サラリーマンのふりをしてチエちゃんの店で飲んでいるうちに、足を洗うことを意識し始めるのが結果オーライで好きな展開です。

 

 

 

周センセ&花井センセ

周センセ

「でも…今日初めて会ったけど ヒラメちゃんいい子ねぇ」

花井センセ

「ああヒラメちゃん

 あの子はええ子やワシも好きや

 あれでなかなか気持ちの繊細な子でな」

周センセ

「そ…それ分かるね わたし会ってすぐ分かったね」

 

いないところでヒラメちゃんを褒める大人ふたり。

ヒラメちゃんは、この作品の裏ヒロインというくらいに登場人物からも読者からも愛されていますね。

この後、チエちゃんの催眠術で爆睡してしまうヒラメちゃんも子どもらしい表情で大層愛らしいんですよ。

 

 

 

テツ&おバァはん

テツ

「誰か喜んでる奴がおったら 必ずどっかで誰かが泣き見とるんじゃ」

おバァはん

「うーん……なかなか現実的なええ意見だす

 そやけどテツがゆうとまちごうてる」

 

この二人にしては珍しく含蓄のある会話ですね。

いいセリフは、言う人間にもそれだけの器量が求められます。

 

ちなみにこの後、テツはおバァはんに拉致されて堺で監禁されます。

カルメラ兄弟の昔話をバカにした罰で。

カルメラ兄のキックボクサー時代のお話、いい話でした。

カルメラ兄弟は出てくるたびに株を上げていきますね。

 

 

 

チエちゃん&ヤクザ

チエちゃん

「なんか知らんけどその…

 ウチちょっと聞きにくいんやけど」

ヤクザ

「な…なんでしょうか」

チエちゃん

「失礼やけどその…オッちゃんヤクザとちゃう」

ヤクザ

「エッ

 わ…分かる?」

チエちゃん

「やっぱり」

 

一目で客がヤクザであることを見破り、テツに乱暴される前に帰らそうとするチエちゃん。どんな小学生なんでしょうか。

ヤクザは既にテツに乱暴されて店で待つように指示されているので、帰ろうにも帰れないところが涙を誘いません。

 

 

 

ヒラメちゃん&小鉄

ヒラメちゃん

「こ…小鉄

 店手伝うて~~」

小鉄

「ニャ!?」

 

チエちゃんが玉ちゃんに拉致されてしまい、残されたヒラメちゃんがホルモン屋をやることに。

半泣きで小鉄にすがるヒラメちゃんが涙を誘います。

 

 

 

チエちゃん&ヨシ江はん

チエちゃん

「そやからテツは今ジャリ玉のオバちゃんとこで住み込みの就職してるてゆうてるやろ」

ヨシ江はん

「アホなこと言いなさんな」 

 

テツが玉ちゃんのところで強制労働させられているのですが、ヨシ江はんはテツが働くことなどある訳ないと全く信用しようとしません。

夫に対するある種の厚い信頼を感じさせられますね。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、じゃりン子チエは14巻まで来ても特に中だるみすることもなく面白いですね。

こち亀とかゴルゴとかもそうですが、長期連載作品の息切れしなさってのはえらいものであります。

 

以降の巻でもヒラメちゃんがますますヒロイン力を高めていってくださいますように。

 

 

「じゃりン子チエ 文庫版13巻 感想 小鉄の巻き込まれ属性が板につく」 - 肝胆ブログ

「じゃりン子チエ 文庫版15巻 感想 お好み焼き屋のオッちゃん(百合根)の火力マシマシ」はるき悦巳先生(双葉文庫) - 肝胆ブログ

 

 

 

「Bloodstained:RotN クラシックモード 攻略した感想」

 

Bloodstained:Ritual of the Nightに懐かしい仕様のクラシックモードが実装されていてかんたんしました。

いまどきこんな2D(風)のステージクリア型アクションゲームを楽しめるなんて本当にありがたいことであります。

 

playbloodstained.com

 

 

 

クラシックモードのタイトル。まんまやないかい。

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タイトル画面で上上下下左右左右BAコナミコマンドを入力すると、より難易度の高い1986モードが登場したりもします。

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主人公はミリアムさんで、通常版だとリヒターさんっぽい挙動、1986モードだと初代のシモンさんっぽい挙動になります。

 

 

通常版のミリアムさん。やや猫背気味に歩くようになりました。

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通常版だとバク転やバックステップやスライディングやジャンプ軌道調整や階段上でのジャンプや鞭伸ばし(電撃鞭)等ができる感じですね。

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一方、1986版のミリアムさんは赤っぽいシモンさんのカラーリングを彷彿とさせるような姿です。

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髪の天使の輪が、なんとなくシモンさんやラルフさんのバンダナ?っぽく見えなくもありません。

 

1986版のミリアムさんは機動性が低いので、当然難易度は高くなります。

が、できることが少ない分、反射神経に頼らず、敵の動きを見極めて勝ち筋を見つけていく分にはかえってよかったりもするんですよね。

 

 

 

今回のクラシックモードで、一番かんたんしたのはマップ構造と敵の配置です。

 

ステージ全体像からしてコレですからね。

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ステージ3のクリア後、いったん地下まで落とされるのが原作リスペクトですね。

 

 

更に。

分かる人には分かる的な画像になりますが、各ステージが……。

 

ステージ1。

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ステージ1のボス。

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ステージ2。

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ステージ2のボス。(ステージ3以降のボスはいちおう伏せておきます)

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ステージ3。

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ステージ4。

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ステージ5。

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ステージ6(5-2)。

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ラスボス直前。案の定隠し階段もあり。

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もう、まんまですわ。

ステージ構造も、敵の配置も、敵の挙動も。

悪魔城ドラキュラ年代記再びですよこれは。

著作権関係とか大丈夫なのか不安になります。大丈夫だと信じたい。

 

BGMも、全体的に初代ドラキュラオマージュ感があり、とりわけステージ2から感じるstalkerリスペクトはすごいものがあります。

 

 

 

他、細かいことを言えば。

 

オープニングは、神像に祈ってからウィップソードを振るうという、悪魔城伝説SFC悪魔城ドラキュラっぽいものになっています。

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お肉はカレーになっています。なぜ箸なのだろう。

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相手の画像は貼りませんが、ラスボス第1段階は血の輪廻のドラキュラさんを、ラスボス第2段階はSFCのドラキュラさんを倒せるなら問題ないと思います。

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クリア玉は何かの心臓?になっていますね。

取った時点で画面が固定されますので、格好いいポーズで取るようにしましょう。

 

 

その他、ステージ攻略は初代悪魔城ドラキュラをクリアできるなら大丈夫です。

歴代悪魔城ドラキュラをプレイしたことがない方でも、コンティニューは何回でもできますから暇なときにコツコツ触っていたらいつの間にかサクサク攻略できるようになることでしょう。

 

 

 

てな訳で、通常ハードモードも1986ハードモードもノーミスクリアできましたぜ。

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そんなにやり込んではいませんけど、サブウエポンは初代リスペクトで聖水が圧倒的に使いやすい気がします。短剣も連打が効くので意外といい感じ。

Ⅱ連射・Ⅲ連射アイテムがあればクロスが輝くんですけどねえ。

 

 

 

EDは、ミリアムさんのコミック風画像が挿入されるのが素敵です。 

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クレジットの開発スタッフを見る限り、主に西洋人スタッフの手で制作されたようですね。世に名高いキャッスルヴァニアガチ勢というやつでしょうか。

本当にありがとうございます。 

 

 

 

気がつけばBloodstained:RotNを100時間以上プレイしているようです。

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こんなに何度もアップデートしてくださって、本当にいいゲームですね。

製作陣や投資家の方々が満たされるよう、着実にユーザーが増えていきますように。

 

 

 

「Bloodstained:Ritual of the Night」が探索型悪魔城の集大成過ぎて感動した - 肝胆ブログ

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「東日本の統合と織豊政権 感想」竹井英文さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑦)

 

東日本の戦国時代後半通史を記した当著が、最新の研究反映、視点の広さ、読みやすさ等を兼ね備えたハイレベルな一冊でかんたんしました。

 

www.yoshikawa-k.co.jp

 

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16世紀後半、関東では武田・上杉・北条らの領土紛争が激化、奥羽では伊達の勢力が急拡大する。戦乱の中で進化する築城技術や経済活動、領国支配の構造などを描き、織豊政権の介入で統合へ向かう東日本の姿を追う。

 

 

詳しい方が内容をイメージしやすいよう、細かめに目次を引用します。

 

統合へ向かう東日本―プロローグ

    本巻の対象地域

    戦国末期の東日本

    大規模化する領土紛争と「国郡境目相論」

    東日本の社会・文化史

    本書の構成

 

一 三国同盟の崩壊と領土紛争の激化

 1 越相同盟の衝撃

    上杉・北条氏の抗争と周辺大名・国衆

    足利義昭織田信長の台頭

    武田信玄駿河侵攻と三国同盟の破綻

    今川氏の滅亡と信玄包囲網

    越相同盟の成立

 2 混迷を深める東日本情勢

    「甲越和与」と信玄の小田原襲来

    「御国」の論理の登場と諸城の築城・修築

    謙信と下越越中情勢

    越相同盟の破綻

    佐竹氏の勢力拡大

 3 甲相同盟の復活と東日本情勢

    甲相同盟の復活とその影響

    再度翻弄される東国諸領主

    信玄の死と勝頼の家督継承

    拡大する北条領国

 

二 群雄割拠の北関東・奥羽

 1 佐竹氏の台頭と北関東・南奥羽

    佐竹氏の南奧進出と白河氏

    岩城氏と相馬氏

    北関東諸氏の動向

    北関東と南奥羽・越後

 2 伊達・蘆名・最上氏とその周辺

    天文の乱後の伊達氏

    蘆名盛氏の活躍

    最上義光の勢力拡大

    大崎氏と葛西氏

    仙道の領主たち

 3 北奥羽の諸勢力

    永禄~元亀期の南部氏の内訌

    津軽の情勢

    出羽小野寺氏と大宝寺

    下国安藤氏と湊安藤氏

 

三 領国支配の進展

 1 領国支配と軍事

    家臣団構造

    検地・貫高制

    年貢・公事体系

    諸身分集団の編成

    軍勢の構成と軍制改革

    東日本と鉄砲

 2 城館と地域社会

    本拠の城

    重要支城

    境目の城

    城下の宿・町と「宿城」

    東日本の築城技術

    城館の維持管理と在番制

    城破り・破城と「古城」

    城館・街道の変遷と地域社会

 3 領国経済の構造

    東日本の城下町

    宿・町・市

    交通網の整備と伝馬制

    貨幣流通

    鉱山と産金・製鉄

    陶磁器の生産と流通

    軍需物資と戦争経済

 

四 十六世紀後半の東日本社会

 1 過酷な戦国社会

    頻発する自然災害・飢饉

    止まぬ村落間相論

    都市・寺社での紛争

    大名間戦争による地域の被害

    禁制・制札

    半手・半納・半済

 2 ひとびとの交流

    東国への旅、西国への旅

    使者・飛脚の往来

    渡り歩く武士たち

    移動する商職人、遍歴する宗教者

    奔走する女性たち

    東日本と唐人・アイヌ

 3 文化・芸術・宗教

    領主の年中行事

    贈答品と食文化

    東日本の武士と芸能

    絵画・工芸品の制作と流通

    高野山、伊勢御師の動向

    曹洞宗一向宗

 

五 迫り来る織田信長

 1 信長の勢力拡大と東日本情勢

    長篠合戦とその影響

    足利義昭と甲相越三和計画

    北条氏と「東方之衆」の激突

    御館の乱と里見氏天正の内乱

    甲相同盟の破綻とその影響

 2 天正年間前半の奥羽

    佐竹氏の「奥州一統」

    天正前期の伊達・蘆名氏とその周辺

    天正前期の北奧

    天正前期の出羽

    奥羽諸氏と織田信長

 3 武田氏滅亡と「東国御一統」

    高天神城落城と新府築城

    武田氏滅亡す

    追い込まれる上杉景勝

    滝川一益の上野入部と「惣無事」

 

六 豊臣政権の成立と東日本

 1 天正壬午の乱と北条・徳川同盟の成立

    大混乱に陥る旧武田領国

    天正壬午の乱の展開

    北条・徳川同盟の成立と「惣無事」

    「沼田・吾妻領問題」の発生

 2 秀吉の台頭と東日本

    「織田体制」と秀吉・家康

    小牧・長久手の戦いと沼尻合戦

    北条氏の金山城・舘林城接収

    秀吉の「富士山一見」計画

    伊達政宗家督継承と奥羽

    戦国期南奧の中人制

 3 家康の上洛と東日本

    佐々成政攻めと越中国

    信濃情勢と景勝・家康

    秀吉の北条・徳川同盟攻撃計画

    景勝・家康の上洛と「惣無事」

    争乱止まぬ北関東・南奥羽

 

七 秀吉による東日本統合へ

 1 強まる秀吉の介入

    北条領国の総動員体制

    北条氏規の上洛

    「沼田・吾妻領問題」裁決

    天正十六年の南奧・中奧

    蘆名氏滅亡と伊達政宗の南奧平定

    北奥羽の諸問題と豊臣政権

 2 小田原合戦、そして奥州仕置

    名胡桃城事件

    小田原合戦の経過

    家康の江戸入部と宇都宮仕置

    奥羽仕置

    奥羽再仕置

 

「天下統一」と東日本―エピローグ

    地域の繋がりと断絶

    地域的統合の進展

    東日本の豊臣化の実態

    朝鮮出兵、そして関ヶ原

 

あとがき

参考文献

系図

関連地図

略年表

 

 

これだけ充実した視点を、よく通史としてまとめあげられたものですね。

素晴らしい。

 

 

 

本シリーズの特長としまして、やはり三章・四章で取り上げられる経済やインフラ、文化・芸術方面の記述に目を惹かれます。

 

とりわけ当著では、東国戦国社会の魅力であり、研究が進んでいる領域でもある「検地」「軍制」「城館」等の記述が豊富ですので、一般的な戦国時代ファンからすれば大変満足度が高いものがあるのではないでしょうか。

こういう領域って、いわゆる学術的な戦国時代研究(政治方面中心になりがち)ではあまり語られないことが多い一方で、一般的な戦国時代ファンからはむしろ注目を集めることが多いものですから、こうした通史本で一体的に語られることは喜ばしいことだと思います。

 

特に、北条家におけるこうした裾野が広い戦国時代研究の蓄積は凄いものがあります。この本でも鮮やかに描かれていますが、北条家も凄いし、北条家研究もすごい。そこから周辺の東国大名への研究の広がりや比較論もすごい。

 

率直に申し上げて、当シリーズでの叙述も含め、戦国時代に関する「最新の研究」は西国に比べて東国の方が成果量が多く、かつ成果が共有されている印象を抱いています。「大差」という訳ではなく、「やや」くらいの感覚論ではあるんですけど。

各研究者の質の問題ではなく、純粋に「量」で東国の方が勝っている感じというか。

現代での東国・西国の人口の違いや、西国は古代史や幕末に関心が寄っている点等が影響しているのかなあ等と想像しつつ。

そういう意味で、去年の大河ドラマ畿内中心だったのは良かったし、そのうち九州あたりの戦国時代を舞台に大河ドラマが製作されるといいのかもしれない。

 

 

 

そのほか、当著では「北関東」「南奥羽」「北関東・南奥羽と越後の関係」等、一般的にあまり取り上げられない地域的結合の視点から動向を記してくださっているのも魅力的ですね。

 

結果として伊達氏や上杉氏に加え、佐竹氏や蘆名氏の記述量が多いのもファン的に満足度が高いでしょうし、そこから個々の掘り下げに勉強や研究が進んでいけばいいなあと思います。

 

同じように、徳川家康さんが、本能寺の変後の東国社会の安定にいかに苦心していたかもよく分かる内容になっています。

 

こうした取り上げ方は「東国」という視点で通史を取り扱ったからこそでしょうし、甲斐あるハイクオリティな文章なので、東国戦国時代の入門冊子としても良いのではないでしょうか。

 

 

 

その他、個人的に面白かったのは

  • キレた時のボキャブラリーが「ばかもの」になりがちな上杉謙信さん
  • 東国でもたくさん流通していた備前焼
  • 八王子城で出土したベネチア産レースガラス
  • 南部氏等の下でアイヌ戦力が参加していた可能性
  • 安東愛季さんが描いた「鷺の図」がイケてる
  • 佐竹氏が北関東・南奥羽の結合を進めていく様がイイね

 

あたりです。

 

 

それにしても全体的に通史として文章が読みやすい上に、視点が広く深いので、著者の竹井英文さんすごいなあとかんたんしたのが一番印象的でした。

 

列島の戦国シリーズともども、当著が広く長く世に読まれますように。

 

 

 

「享徳の乱と戦国時代 感想」久保健一郎さん(吉川弘文館 列島の戦国史①) - 肝胆ブログ

「応仁・文明の乱と明応の政変 感想」大薮海さん(吉川弘文館 列島の戦国史②) - 肝胆ブログ

「大内氏の興亡と西日本社会」長谷川博史さん(吉川弘文館 列島の戦国史③) - 肝胆ブログ

「室町幕府分裂と畿内近国の胎動 感想」天野忠幸さん(吉川弘文館 列島の戦国史④) - 肝胆ブログ

「東日本の動乱と戦国大名の発展」丸島和洋さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑤) - 肝胆ブログ

「毛利領国の拡大と尼子・大友氏 感想」池亨さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑥) - 肝胆ブログ

「織田政権の登場と戦国社会 感想」平井上総さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑧) - 肝胆ブログ

「天下人の誕生と戦国の終焉 感想」光成準治さん(吉川弘文館 列島の戦国史⑨) - 肝胆ブログ

 

 

 

 

 

「高村光雲 幕末維新懐古談 感想」青空文庫

 

青空文庫に、彫刻家高村光雲さんの懐古談が掲載されていてかんたんしました。

 

上村松園さんであったり、青空文庫は芸術家関係の文章を復刻してくださっているのがありがたいですね。

 

www.aozora.gr.jp

 

 

高村光雲さん(1852-1934)は写実的な生き物の彫刻で名高い方であります。

上野の西郷隆盛さん像、シカゴ万博に出品された老猿像、皇居の楠木正成像(原型の頭部&全体統括担当)等で有名な方でして、私としては数年前の皇室展でいくつかの作品を拝見して惚れ惚れしたのが記憶に新しいところです。

 

(感想)「皇室の彩 百年前の文化プロジェクト」東京藝大美術館 - 肝胆ブログ

 

 

↓ 参考:皇居の楠木正成さん像(だいぶ前に皇居見学したとき撮ったもの)

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銅像が武将のイメージに与える影響力は大きいものがあると思います。

こうした立派な銅像がある限り、楠木正成さんへのリスペクトはそうそう衰えないことでしょう。

 

 

 

こちらの懐古談では、そんな高村光雲さんの生い立ちから晩年までを昭和初期に振り返ったものであります。

 

  • 実家はけっこう暮らし向きが厳しかったこと
  • 師匠の高村東雲さんへ弟子入りした経緯
  • 幕末・明治維新当時の世相
  • 師匠の死と独立
  • 象牙彫りが海外向けに人気になる一方、木彫りは衰える一方であったこと
  • 美術界の勃興
  • 著名な作品の制作経緯
  • 弟子の話

 

等々、多岐に及ぶ話材がどれも興味深いですね。

一つひとつの話が短編かつよくまとまっているので、暇つぶし的に読みやすい構成なのも地味にありがたいです。

 

 

変化の激しい時代を生き抜いた方だけあって、例えば浅草の大火事を振り返りながら「当時は火災保険なんてなかったしなあ」といった感想が出てきたりするのがいいんですよね。

民間の一私人の立場から、幕末~昭和のリアリティを語ってくれている感じが読んでいて楽しいんですよ。

 

 

高村光雲さんは上野・浅草の界隈で暮していたので、彰義隊上野戦争を近所で見ていたとのことです。

「あした戦になるらしいっすよ」「マジか」みたいな会話をして皆で慌てたり、彰義隊壊滅後に群衆が寛永寺に押し入って寺宝を分捕る様が激しかったり、そうした群衆は後でそうとう厳しく絞られたようであったりと、「個人の感想です」ではありながらまことに興味深いものであります。

 

 

廃仏毀釈等により、伝統的な仏教美術が顧みられなくなっていた時代の話も濃いものがございます。

本所に螺旋寺という寺があって、そこに立派な百体の観音が納められていたが、そうした世相の中でお堂を壊すことになって、観音像はまとめて燃やして残った金だけ回収しようぜという話が進んで……少年期の高村光雲さんが頼み込んで出来の優れた観音像5体だけでも焼かれずにすんだ話ですとか。

 

 

 

本業の木彫りについても面白い話が様々。矮鶏や狆のモデル探しに骨を折った話や、老猿の材料となる木を求めて栃木県まで行った話等々。

老猿については、シカゴ万博でたまたまロシアの向かいに飾られたため、「猿=日本、猿の持っている鷲の羽=ロシア」といった風刺的な意味合いに取られて盛り上がってしまったという有名な「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」案件のことも語られていて楽しいですね。

 

制作の統括をした楠木正成像についても、天皇陛下に御覧いただく際、兜の鍬形と前立の剣とを楔で固定するのをうっかり忘れていて、御覧いただいている間、ずっと剣がゆらゆら風で揺れていたのにヒヤヒヤしましたというやらかしエピソードにくすりと笑ってしまいました。

 

 

 

全体を通じては、高村光雲さん、「慎ましやかだけど言うべきことはしっかり言う」タイプの人だったのかな、という印象を強く抱きました。

師匠没後の差配、彫工会立ち上げ時の木彫り代表者としての意見表明、大隈重信さんの妻 大隈綾子さんへのフォロー等々、強い言葉を使わずに意志を示しているのに好感を抱きます。

懐古談ですので後知恵的に言葉が整理されている面もあるかもしれませんが、現代より礼儀や筋目が煩わしい時代に、謙虚さと自分の考えを述べるのとを両立させている言葉遣いがとても勉強になりますよ。

 

 

 

高村光雲さんの人物や作品が、あらためて顕彰されるといいですね。

いずれまた高村光雲さんメインの展示会等開催されますように。

 

 

 

「Bloodstained:RotN ブラッドレスモードをナイトメアで攻略完了」

 

Bloodstained:Ritual of the Nightにいつの間にかブラッドレス姐さんモードが実装されていてかんたんしました。

いままでの悪魔城シリーズになかったふわふわ操作感や上方向ガードが使っていてとても楽しいです。

 

playbloodstained.com

 

 

ブラッドレスさんはブラッドステインドシリーズの人気ボスであります。

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傘とゴスロリが印象的な悪魔で、いつも血液風呂に入っております。

おおきくは闇堕ちしたしずかちゃんですね。

血を操る悪魔なので、いかにも吸血鬼ゲームの系譜を感じますが、さいきんだと赤血操術と表現したほうがウケがいいのかもしれない。 

 

 

 

ブラッドレスモードは斬月モード同様、本編と同じステージを操作感の違うキャラクターで攻略してみようというモードです。

 

とりあえず、ノーマル→ナイトメアと2回クリアしてみました。

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ブラッドレスさんのステータス。

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キャラ特徴としましては、傘を使ってふわふわ浮遊することができ、しかも傘に攻撃判定と防御判定があるのがポイントです。

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これのおかげで、大型のボス相手には空中浮遊での傘ダメージ&傘殴りダメージ連打で高い打点を与えることができます。

機動的な立ち回りや無敵時間では斬月さんに劣る一方、空中戦や固め技や上方向防御力が非常に優れており、持ち味を活かせば凶悪な攻撃力を発揮してくれますよ。

 

 

 

傘を開いたところ。上ボタン押しっぱなしで開きます。

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防御判定が備わった傘を持ったまま移動できるのは大きいので覚えておきましょう。

 

 

ちなみに上ボタンを押し続けると投げキスをしてくれます。あざとい悪魔だ。

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バックステップは無敵時間があるので大事。さすがに斬月さんほどの壊れ性能ではありませんけどね。

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スライディングも要所要所で大事。斬月さんのような無敵時間はありません。

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それにしてもこのブラッドレスさん、動作の一つひとつに制作者のものすごいこだわりを感じます。私はゴシックやゴスロリを解しませんが、制作者さんがそうとうのゴスロリ者であることは分かる気がする。

 

立ち姿。

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走り姿。

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しゃがみ姿。

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何種類も実装されている座り姿。主役並のこだわりです。

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MP消費技を使うと、血液でできたドレスがだんだん脱げて半裸になるという熱意あふれる仕様も。

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裸と傘、というモチーフはなかなかアートだと思います。

 

 

 

基本仕様に続いて、主な必殺技の紹介を。

 

アンブレラトス。傘投げ。

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出が速いのが特徴で、全般的に技の出が遅いブラッドレスさんにとっては貴重なクイック攻撃技です。

ステージの硬い雑魚敵や、アルフレッドさんのような素早いボス相手に重宝します。

 

 

レッドピラー。血の柱。

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攻撃性能・ガード性能を併せ持つ柱を左右に放出します。

盾を撒くような使用感なので、斬月さんやグレモリーさんのような攻撃が苛烈なボスに接近する際、あらかじめ置いておくといいですよ。出がけっこう早く、空中で発動可能なのも大きい。

 

 

ブラッドスティール。

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壁や地面に付着した血液を吸収し、HPとMPを回復できる便利な技。出が遅いので使うタイミングは吟味しましょう。

アルカードさんのソウルスティールのように、生きている敵からダイレクトに血を取り出せたら壊れ技だったんだけどなあ。

 

 

レッドサイクロン。

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血の竜巻をぶっ放す技です。

例によって傘にガード判定があるので、敵の飛び道具を防ぎながら一方的に攻撃可能。

固め性能が強力なので、動き回る人間ボス相手に重宝します。また、必殺技の中ではもっとも効率的に血を壁に付着させられる技なので、ぶっ放した後にブラッドスティールで回復することも可能です。

 

 

ブラッドレイン。

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血の雨を降らす技です。

攻撃範囲が狭い代わりに、当たれば大ダメージを期待できます。局地的ハイドロストームですね。

 

 

 

最後に攻略のチップスを少しだけ。

ミリアムさんや斬月さんのナイトメアをクリア済ですので、以前ほどは詰まらずに攻略できましたが、やはりアルフレッドさんとグレモリーさんは強敵でした。

 

 

ルフレッドさんは逃げ回って、アンブレラトスでチクチクやるのが堅実です。

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カースドオーダーを傘で防げるのが楽でいいですね。

 

 

 

グレモリーさんは、傘を開いて端っこでしゃがめば面倒な飛び道具を防げます。

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基本はダメージを受けないように防御重視、イネスやアベンエズラの際にレッドピラーを出しながら空中で殴りまくるのがいいと思います。

 

 

ブラッドレスモードのストーリーは、グレモリーさんに下克上して城主の座を奪うのが目的のようですね。

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なお、ラスボスの●●さんと××さん。

(闇ミリアムさん戦はありません)

 

●●さんはレッドサイクロン固めを活用しつつ、バックステップやジャンプで敵の攻撃を避けながら殴って頑張りましょう。

××さんはブラッドレインと空中殴りでめっちゃダメージを与えられる、ブラッドレスさん的には得意なタイプの敵なので楽勝です。

 

 

 

ブラッドレスさんはビジュアル面も手触り感もたいへん特徴的なので、普段の悪魔城シリーズとは違った楽しさがあって満足度高かったです。

ブラステ、魅力的なコンテンツを次々に実装してくれて、本当にすごいですね。

 

こうした制作サイドのモチベーションがファンに上手く伝わって、じわじわと人気の裾野が広がっていきますように。

 

 

 

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