肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

2020-01-01から1年間の記事一覧

「神仏と中世人 宗教をめぐるホンネとタテマエ 感想」衣川仁さん(吉川弘文館)

平安時代後期~鎌倉時代頃の記録をもとに、中世の人々が神仏を実際のところどれほど信仰していたか、どのように接していたかを探る本が面白くてかんたんしました。 こういう、特定の人物や事件を掘り下げるのではなく、その時代全体の雰囲気や相場観に着目し…

「めしばな刑事タチバナ 38巻 感想 連載史上一番格好いい立花さん」原作:坂戸佐兵衛さん/作画:旅井とりさん(アサヒ芸能)

めしばな刑事タチバナが気づけば38巻とかなりの長期連載になっている中、連載史上で一番格好良くハードボイルドな立花さんに出会えてかんたんしました。 www.tokuma.jp 以下、内容の一部ネタバレを含みます。 めしばな刑事タチバナはタイトル通り食べものの…

「アクタージュ12巻 感想 名ゼリフ・名シーン連発の総決算巻」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ)

アクタージュ12巻、羅刹女・乙篇がこれまでのアクタージュの物語をまとめ上げるような完成度になっていてかんたんしました。 デスアイランドの時といい、百城千世子さんは本当にこの作品そのものをまとめ上げてしまう力に満ちていてすごいキャラクターですね…

信長の野望20XX「老虎の絆~外伝~加納口の戦い 感想」

20XXの加納口の戦いイベントが久しぶりに20XXらしい悪ノリの効いたシナリオ展開でかんたんしました。 ↓イベントのリリース nobu201x.gamecity.ne.jp 以下、イベントの一部ネタバレを含みます。 攻略に役立つ内容はほとんどありません。 何が良かったって、イ…

「ビビ式歩行住宅 感想 この読切がスゲェ」影革先生(くらげバンチ)

くらげバンチの読切漫画「ビビ式歩行住宅」がめっちゃ面白くてかんたんしました。 ビビ式歩行住宅 - 影革 / ビビ式歩行住宅 | くらげバンチ ※但し冒頭ゴキブリ描写があるので苦手な方は注意 以下、ネタバレを含みます。 発明家の少女ビビさんが、自宅のアパ…

正岡子規さんの「犬」と「蝶」(青空文庫)

正岡子規さんが病床で記した短編小説(エッセイ?)「犬」「蝶」が子規さん独特のユーモアや美的センスを醸し出しつつ隠しようもない諦念と哀しみに直面させられる佳品でかんたんしました。 www.aozora.gr.jp www.aozora.gr.jp それぞれ1-2分で読める作品で…

「寛容についての手紙 感想」ジョン・ロックさん/訳:加藤節さん・李静和さん(岩波文庫)

ロックさんの「寛容についての手紙」が非常に高度な精神性に満ちた名文でかんたんしました。 政教分離や信仰の自由といった、現代社会の常識や前提のルーツのひとつになっていることが読むだけで伝わってきますよ。 https://www.iwanami.co.jp/book/b369932…

小説「大黒屋光太夫 感想 置かれた状況で望みは変わる」吉村昭さん(新潮文庫)

吉村昭さんの小説「大黒屋光太夫」が、壮大な漂流小説の中で変遷していく人の望みのありようをビビッドに表現していてかんたんしました。 www.shinchosha.co.jp www.shinchosha.co.jp 大黒屋光太夫さん。 有名人なのでご存知の方も多いと思いますが、 江戸時…

「天下人と二人の将軍 信長と足利義輝・義昭 感想」黒嶋敏さん(平凡社)

都鄙……畿内と地方との関係性という切り口で、天下人論や織田信長さん、足利義輝・義昭兄弟の評価に挑んでいる当著にかんたんいたしました。 これまでの畿内史研究では不足していた視点だと思いますので、色んな意味で刺激的なよい本だと思います。 www.heib…

映画「雨月物語 感想 日本固有の美と物語の普遍性」溝口健二監督(大映)

1953年に制作された映画「雨月物語」が映像も物語も美しくてかんたんしました。 おおきくは上田秋成さんの原作をベースにしながら、日本固有の美と物語の普遍性を兼ね備えた傑作に仕立てられています。 海外での評価が非常に高いと耳にしますが、さもありな…

歴史秘話ヒストリア「松永久秀回の感想」NHK'20/6/3放送

NHKで松永久秀忠臣説フルスロットルなヒストリアを放映していてかんたんしました。 www4.nhk.or.jp 放送はざっくり次のような内容でした。 松永久秀は三好家の家老として天下を動かした、最強のナンバー2なんだよ。黒田官兵衛とか竹中半兵衛的な存在だと思っ…

「椿井文書――日本最大級の偽文書 感想」馬部隆弘さん(中公新書)

中世畿内史の研究で有名な馬部隆弘さんの新書が大手書店の目立つコーナーで平積みになっていてかんたんしました。 内容も大変面白いもので、こういう本が評価され売れるというのは世の読書家さんたちの目利きに安心感を抱いてしまいますね。 www.chuko.co.jp…

信長の野望20XX「三好長慶さんの☆5昇格」

信長の野望20XXにて、三好長慶さんや松永久秀さんたち初期武将の星5昇格が実装されてかんたんしました。 ↓新たに昇格可能となった方々のリリース nobu201x.gamecity.ne.jp 星5への昇格は、開眼率を50%まで高めた一部星4武将だけが実施可能です。 ご覧の通り…

「ウィザードリィ4 地上への道 感想」ログイン編集部監修/ゲームアーツ著/ビジネス・アスキー刊

ウィザードリィ4が面白かったので、オリジナル版当時の攻略本を入手してみたところ、往年のゲーム攻略本らしい著者の個性・情念がこもりまくりな逸品でかんたんしました。 怪作ウィザードリィ4の攻略に向けて、仲間モンスターの能力、アイテムの効果、そして…

「じゃりン子チエ 文庫版7巻感想 テツのヤクザ拉致監禁事件」はるき悦巳先生(双葉文庫)

じゃりン子チエの7巻、テツの悪行が個人的に「さすがにそれはアカンやろ」案件でかんたんしました笑。 www.futabasha.co.jp 収録されている話は次のとおり。 遅れた年賀状 値上げはほどほどに 百合根を待つ者達 落ちつかない屋根の上 必殺のトランペット 復…

「アクタージュ11巻 感想 羅刹女編は単行本でまとめ読みがいいね」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ)

羅刹女(甲)編の後半が収められているアクタージュ11巻が、最初から最後まで登場人物が怒り狂っていてかんたんしました。 www.shonenjump.com 表紙は夜凪景さん版の羅刹女です。 キレ散らかす美女ってのはいいものですね。 11巻では羅刹女(甲)編の後半。 …

「中国古典名言辞典【新装版】 感想と好きな言葉10選」諸橋轍次さん(講談社)

諸橋轍次さんの「中国古典名言辞典」を読んでみたところ、知の巨大な集積っぷりに圧倒されてかんたんしました。 いい本を手に入れたものです。 bookclub.kodansha.co.jp 諸橋轍次さんは新潟出身の、漢学の大家ですね。 こちらの辞典は諸橋轍次さんの目で、広…

フリゲRPG「Ruina 廃都の物語 ススメと攻略のコツ」

久しぶりにRuinaをプレイしてその面白さに再びかんたんしましたのでおすすめするとともに攻略のかんたんなコツ的なものを書きたいと思います。 ↓製作者枯草章吉氏のサイト。 blackhat.a.la9.jp RuinaはRPG2000製のフリーゲームRPGです。 その界隈では傑作と…

「ぜいたく列伝 感想」戸板康二さん(文春文庫)

往年の富豪・文化人・政治家等の個性際立つ贅沢エピソードを記したエッセイ本がなかなか読み応えがあってかんたんいたしました。 books.bunshun.jp 著者は戸板康二さん。 「ちょっといい話」で知られる、歌舞伎評論、小説、エッセイ等様々な文章で才を発揮し…

「桃助の豚まん・シュウマイ 感想(551との比較を含め)」大阪市阿波座界隈

大阪の阿波座・靭公園あたりに数年前できた「桃助」というお店の豚まん・シュウマイがたいそうおいしくてかんたんしました。 momosuke.com こんなお店ができていたんですね。 友人がお取り寄せした商品をおすそ分けしてくれて知ったんですが、おいしさにびっ…

信長の野望20XX「細川晴元さん登場!」

20XXにとうとう細川晴元さんまでおいでなすってかんたんしました。 しかも同じタイミングで相国寺の戦い跡(かもしれない)まで発掘されて二度びっくりです。大河ドラマにもちゃっかり登場していますし、細川晴元政権の波が来ているのかもしれません。 ↓細川…

信長の野望20XX「平安女流絵巻 万葉の夢物語 感想 止まらない公式の源博雅イジリ愛」

20XXで開催されているイベント「平安女流絵巻 万葉の夢物語」が、小イベントでなおかつ女性陣ピックアップだしサラッと攻略してしまおうと思っていたのに内実が大変なことになっていてかんたんしました。 ↓イベントのリリース nobu201x.gamecity.ne.jp 以下…

小説「陰陽師 飛天ノ巻 感想 止まらない晴明と作者の源博雅アゲ」夢枕獏さん(文春文庫)

小説陰陽師シリーズの2作目「飛天ノ巻」を読んでみたところ、安倍晴明さんは引続きシュッとしていて格好よく、それ以上に源博雅さんの褒め称えられっぷりがまさしく飛天の如しでかんたんしました。 books.bunshun.jp 以下、ネタバレを含みます。 収められて…

「ウィザードリィ#4 ワードナの逆襲 クラシック版の感想」PSニューエイジオブリルガミン

ウィザードリィ#4(ニューエイジオブリルガミン)のクラシック版もプレイしてみたところ、インターフェースや謎解きその他諸々は不親切なものの、テキスト関係についてはオリジナル製作者の個性が立っていておおいにかんたんしました。 ※アレンジ版の感想は…

「じゃりン子チエ 文庫版6巻感想 百合根の哀愁」はるき悦巳先生(双葉文庫)

じゃりン子チエ文庫版6巻、お好み焼屋のオッちゃん(百合根)の悲哀を中心に、往年の日本映画のような味わいに富んだ巻になっていてかんたんしました。 www.futabasha.co.jp 表紙はすごろく。 よく見ると鬼畜な難易度で、大阪の下町で生き抜く覚悟が問われる…

信長の野望20XX「キックオフ!20XX学園 越後ドラゴンイレブン(学園上杉) 感想」

20XXの上杉家学園イベントのシナリオが凄まじい完成度でかんたんしました。 これは、シリアスイベント最高峰の「関ヶ原異聞」と並ぶ、おふざけイベント最高峰の出来栄えとして永く語り継がれるのではないでしょうか。 ↓イベントのリリース nobu201x.gamecity…

「ウィザードリィ#4 ワードナの逆襲 初攻略/周回の感想」PSニューエイジオブリルガミン(アレンジ)版

異色作と名高いウィザードリィ#4をプレイしてみたところ、思いのほか肌にあって楽しくて何周も周回するほどかんたんしてしまいました。 昭和の作品なのに、「1作目のラスボスが主人公」「従来の敵モンスターを仲間に」「モンスターの組み合わせで攻略難易度…

「HGAC 1/144リーオー ガンプラ初挑戦の感想」

生まれて初めてガンプラをつくってみたところ、素組みなのにけっこうそれっぽく仕上がってかんたんしました。 ガンプラってこんなにつくりやすくて上手いことできるもんなんですね。 bandai-hobby.net つくったのはガンダムWが誇る名量産機リーオー。 乗り手…

小説「蒲団 感想 中年男の気持ち悪さがリアル過多でいいね」田山花袋さん(岩波文庫)

田山花袋さんの自白小説「蒲団」を読んでみたところ、評判以上のリアルな気持ち悪さに塗れていてかんたんしました。 これはひどい。すごい。 www.iwanami.co.jp 岩波文庫版で読んでみました。 併収されている「一兵卒」も、まさしく一兵卒の切ない/儚い運命…

「松永久秀小説 じんかん 感想」今村翔吾さん(小説現代'20.4)

小説現代に掲載されている松永久秀さんを題材にした小説「じんかん」(人間)が、その名の通り人の世の本質に迫るような迫力と、松永久秀さんを筆頭に魅力的な人物の生き生きとした活躍とを楽しめてかんたんしました。 shousetsu-gendai.kodansha.co.jp ※'20…